エール | スティルマイン

エール

先日、久しぶりに飲んだ友人は、「人生における幸せの総量は決められていると思う」と言った。この種の「悪いことがあればその分良いこともあろう」的な思考については「まあそういう考え方もあるわな、人間だものね」程度の認識だったが、彼女は若いのに中々なステージのガンを患っていたため、その彼女の口からこの種の言葉が出たことに、私の胃はギョッとした。もともとかなりなリアリストであったのに、「辛いことがある分幸せになれる」と断言する彼女の今後に待っている幸せとは、なんだ、と思い、色んな決めつけに犯されている自分に気づき、急激に具合が悪くなった。


急いで飲み屋を出、彼女はリバースしそうな私を介抱してくれ、コンビニで水を買う私に「わたしアイスを食べたい」と言い、私にアイスを買わせ、駅前のベンチでアイスをかじった。
彼女は私の体を心配してくれつつ、「マイン(私、仮名)さんも頑張ってね」と電車に乗った。こりゃ、頑張らねばいけないのだと思う。




追記


その後彼女からメールがぷっつり届かないことに気づきこちらから気まぐれに送ってみても「こんなアドレスありません」的に先方には届かず、「これは、さては死んだか」と思いつつ1ヶ月ほど経過したあたりで「そういえばアドレス変えました、マインさんは元気」なメールが届き、あああと、あああと