異国 | スティルマイン

異国

先日、飲みに出ようと乗り込んだ電車は込み合っておりそれゆえに不機嫌のまま立つ私の2センチ右隣には「日本旅行楽しいです、私たちテンション上がってます」と言わんばかりの外国人カップルがカップアイスを持ちながらキャッキャ、アーンしておるのを目にし不機嫌ゲージが高まる中案の定アイスが零れ私の足元にヴァニラがヴェチョリと落下、うわあ、しかし私の靴、セーフ!カタコトなカップルは私にゴメンナサイゴメンナサイと屈みながら零れたアイスにプチパニック、私は不機嫌をアピールしつつ「気にすんな」な仕草、その私の眼前をポケットティッシュが「スッ」と!逆サイドの女子高生が差し出したそのティッシュを見てカップルはアー!と安堵の表情、アリガトウを言いながら受け取り床を拭き、残ったティッシュを返そうと再び「スッ」と私の眼前をティッシュがリターン、しかし女子高生は「あげます、どうせまた使うだろうし」といった感じでもごもごはにかみつつ私の眼前で押し止める、カップルは激しく微笑み合い、異国の地で天使に会ったと言わんばかりに異国の言葉で喜び合い残ったティッシュを受け取り、それを見て女子高生は「分不相応なことをしました」と言わんばかりに俯いている、それらをただ眺める風景な私もまた俯いたまま「こりゃ異国で冷たい仕打ちに合っても文句言えねえな、よっしゃ」と覚悟を決めました。