【可夢偉レポート】アメリカGP DAY3(Race) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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Circuit of the Americaでの初めてのF1レースが終わりました。


興行的には、大成功だったと思います。
個人的には、CARTとIndycarシリーズで、多くのアメリカのサーキットでのレース経験があるのですが、サーキットはもちろんのことダウンタウンの人の集まり具合も、何年も続いているアメリカンシリーズの市街地コース戦のようでしたし、コースへの道が限られていることから、初開催による渋滞も予想していたのですが、さすがアメリカのフレキシブルな交通整理が行き届いていて、渋滞によるイライラは経験しませんでした。

さらに、F1に関係の無い一般の人たちにも、例えば一番迷惑な渋滞などの迷惑は掛けていないと思います。
週末の教会の礼拝や、ショッピングモールへ出掛ける事、そして空港を利用する人たちにも、違和感は無かったものと思います。
これで、関係者はもちろん、スポンサーのお客様、他州や海外からのF1観戦に来る人たちがホテルやレストランで利用するお金は、オースチンとテキサス州の税収を押し上げることになるでしょう。
これは、凄い事だと思います。
もちろん、参加する側としても、サーキット内のインフラに関しては、向上の余地はたくさんありますが、いずれも解決可能なことばかりで、このレースは、今後(運営資金が枯渇しなければ)も成功を続けるのではないかと思います。

サーキットとしても、ラグナセカのようにアップダウンに富み、マシンの走りが眺望の中で見えて、また、天候は安定していて、朝焼けも夕焼けも美しく写真家も腕の見せ所という感じです。
国家斉唱の後のお約束のフライ・バイは、P38、P51(x2)、F16の菱形飛行というもので、なかなか見応えがありました。
こういうこと柔軟な対応が出来る州、そして自治体を持つ国は羨ましいの一言ですね。

さて、レースは成るべくしてなった結果に終わりました。
グリッド右側の裏面がキレイな奇数側のドライバーが順位を上げ、1ストップで、タイヤをオーバーヒートさせたら後退する・・・。
実は、タイヤには摩耗を計測するための小さな穴があって、そこにノギスを当てて摩耗度合いを計るのですが、2番目に長い42ラップを走ったKOBのタイヤには、この計測用の穴が残っていて、さらにゴールを迎える最終ラップにベストラップを記録するという結果になりました。
(ほとんどのドライバーが、最終のL55かL56に自己ベストを記録しています。)


もちろん、これもレースと言えば、レースですが、ドライバーやチームが、何か出来る・・・という状況では、残念ながら、ありませんでした。
ポイント争いをしているチームとドライバーには、虚無感が残る、ちょっと酷なレースでした。

KOB視点でいうと、KOBの右後ろのグリッドからスタートしたROSが固い方のプライムタイヤでスタートして、L34までタイヤ交換を引っ張ってP13でゴール。
ちなみに、グリッドの右側からスタートしているので、T1までにKOBを抜いて行っています。
KOBは柔らかい方のオプションタイヤでスタートして、全車中2番目に早いL13でタイヤ交換して残り42ラップを走りきってP14でゴール。
KOBはタイヤ交換後、KOBの翌周のL14にタイヤを交換したものの、タイヤをオーバーヒートさせたMSCに引っかかり、L39にMSCが再度ピットインするまで毎ラップにつき1秒前後タイムロスしています(L34で一旦はKOBはMSCをオーバーテークしたものの、周回遅れ車両を利用したDRSアクティベーションで抜き返された)が、それが無くてもせいぜいROSの前止まりでした・・・。
KOBのあたりでは、唯一タイヤの「暖め」の技を持っていたMcLarenのBUTがROSと同じくプライムタイヤでスタートして、序盤に暖まりの良さを利用して順位を上げ、タイヤ交換時期を引き延ばし(ROSの翌週のL35。1ストップ組の最後。)、かつROSとは違ってオプションタイヤの暖まりの良さも利用して、順位を上げたことが目立ったくらいでしょうか。
KOBは、予選時に痛い目にあったタイヤのオーバーヒートこそしませんでしたが、暖まりの早さの違いから、スタート直後にP15に後退してきたBUTに追従することはできませんでした。

他のドライバーも、ほぼKOBと同じような内容だったものと推測されます。
ギアボックス・ペナルティを利用して、2台とも路面のグリップが良い奇数グリッドに移行したFerrariは、スタート・ダッシュをうまく決めて、戦略勝ち・・・と、いったところでしょうか。


さて、次はいよいよ今期最終戦のブラジルです。
残念なことに、使用するタイヤは、今回と同じミディアムとハードの組み合わせで、戦略的に何か出来ることは少ないかも知れませんが、諦めずにビッグポイントを目指して頑張ります。

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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。
KOB=小林可夢偉
ROS=ニコ・ロズベルグ
BUT=ジェンソン・バトン