日本GP DAY3(Race) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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ファンと共に走るレーシングチーム『GOODSMILE RACING』

応援してくれた皆さん、期待してくれた皆さん、本当にありがとうございました!

KOB、やりました!!


自身にとって初めてとなるF1表彰台ゲット、それを日本GPという大舞台で達成しました。

サーキット観戦で手を、旗を振って応援してくれた皆さん、TV観戦で、ネット観戦で、ネットで実況live観戦してくれた皆さん、本当にありがとうございました。

さて、こうしてレポートを書いている私、実は、いつものようにレースの進捗の詳細な記録が出来ません!

なぜなら、スタートがうまく行ってからは
「タイヤの戦略はどうなっている?」

MASに先行されたからは
「どうして先行されたんだ?」

BUTが追い上げてきてからは
「大丈夫だよな?」

といったダイレクトでストレートな問い合わせを、様々な方々から、様々な方法で問い合わせを受けまして、その対応に追われておりました故、私のノートは:

「L1」→T1をP2で通過、T2でALO、WEB、ROS、SEN脱落、後方BUT、MASまで書いて・・・・、おしまいです。

その後、ケータイに数々の不在着信、メッセージが積み重なり・・・。

通常は、ゴールまで10周ぐらいから席を立って、たいていのお客様は帰路に付かれるのですが、今回ばかりは「今日は、ゴール見ないで帰れない!」と、他チームのお客様からも笑顔で喋りかけていただいたり・・・。

そして、スタンドの皆さんも、最後まで見て頂いたようで・・・。

最終ラップには、至る所で号泣されるお客様も出て・・・。

そして、表彰セレモニーや、セレモニー後のインタビューまでフルに見て頂いて・・・。

さぞや、帰宅は遅れたことでしょう・・・。

ただ、道中、会話は弾まれたかと・・・。

「良いもの見せてくれた!」と、思って頂ければ、我々は幸せです!


さて、今回のレース、2010年からの新生Sauberにとっては、トップ・チームと同じ戦略を採って表彰台を獲得した初めてのレースとなりました。
予算と規模に勝るトップチームに真っ向勝負で3位。

その素晴らしい内容は、通常は客観的な結果だけを評価するだけの内外のメディアが、格別なレースとして取り上げてくれました。

もちろん、あの時・・・と、いう「もしも」の思いはあります。
MASに先行された局面のことです。
確かにそうですが、チームはBUTからKOBの表彰台フィニッシュを守る戦略を選択しました。

ゴールしてみれば、MASと3.899秒差。届かない差ではありません。
直接的には、最初のL14のKOBのピットアウト後に、ピットインを伸ばしていたRICに引っかかってタイムロスしたのが痛かったですね。
なにより、MASはG10から、新品のオプションでスタートしてスタート直後の混乱によりP4に進出し、続くSCランで差を詰めることが出来ています再スタート後も、タイヤをセーブしながら、KOBが、ピットに入って完全なクリーン・エアとなったタイミングを待って、残存タイヤの優位勢をカッチリと使っていかにもフェラーリ・ピット・コンソールの戦略らしい戦略を駆使されてしまいました。

しかしながら、KOBにとっては、アンダーカットに出たBUTの前に居ることは、必須でした。
ALOをスタート直後に失ったFerrari陣営が、前方を走るKOBとBUTが表彰台を争いに出たという千載一遇のチャンスを逃すはずはありません。

後は、タイヤのマネージメント勝負でした。
KOBは、すぐにラップタイムの調整を始め、最後の数周で訪れるであろうBUTとのP3争いにタイヤを温存・・・。
いくらフレッシュ・エンジンとはいえ、パワーに勝るBUTのメルセデス・エンジンにKERSとDRSを使われたら、ひとたまりもありません・・。なにせ、KOBは同じエンジンを搭載するRICを抜くのに2ラップでタイミングと場所を計ることを要するに対し、BUTは130Rに向かうストレート一本のスリップ・ストリームで良いのですから・・・。

しかし、KOBを猛追するBUTは致命的なミスを犯しました。
ラスト2ラップを残したヘアピンの立ち上がりで、目前に迫ったKOBに焦ったのか、本来のメルセデス・パワーに加えて、KERSを使ってしまったため残りのトレッド面のキツくなったリヤタイヤを過度にホイールスピンさせててしまったのです。
(途中でKERSを切ったことで明らかです。)

これで、実質上、BUTのチャンスは潰えてしまったといえるでしょう。
KOBは、BUTのDRSアクティベーションに捕まらなければよかったのですが、決してKOBのリヤタイヤも楽だった訳ではありません。
終盤のBUTとの自己ベストの応酬合戦時には、KOBはミラクルとも言えるセクター1のS字区間のコントロールを見せました。
そして、BUTにつけいる隙を見せずにゴール・・・。

トップ中のトップ・チームのBUTを一世一代のタイヤ・マネージメントで抑える、素晴らしいレース内容でした。

確かに、スピードの優るALOとWEBの脱落はありましたが、その脱落の原因となる「状況」に巻き込まれない位置に予選位置を持っていくこと、そしてオープニング・ラップで「状況」を、後方に追いやる場所に「居る」事が、真っ向勝負のレースでは不可欠です。
KOBは、この「状況」を乗り越え、タイヤ・マネージメントして、この自己ベストレースを達成したのです。

そして、私は、こうしたレポートを書ける事を誇りに思います。

とはいっても、前にMASとVETが居る事も、また、厳然たる事実です。
初表彰台に浮かれること無く、次戦、韓国GPで、再度チャレンジします!

ただし、今度のSauber14号車はひと味違います!
今回の日本GPで、経験値が大幅に上がったからです。
チーム・スタッフにも、今回のストレート・ファイトは自信に繋がる重要な経験となりました。

目標は、コンストラクター選手権でMercedes-AMGを攻略すること。

引き続き、皆さんの応援をお願いいたします!!

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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MAS=フェリペ・マッサ
BUT=ジェンソン・バトン
ALO=フェルナンド・アロンソ
WEB=マーク・ウェバー
ROS=ニコ・ロズベルグ
SEN=ブルーノ・セナ
RIC=ダニエル・リチャルド
VET=セバスチャン・ベッテル