【可夢偉レポート】ベルギーGP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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約4週間のインターバルを経て、F1の後半戦が始まりました。

そして、後半戦の最初の2戦が、今期のヨーロッパ戦の最後となる2戦となります。

その最初のレースは、ベルギーGPです。
サーキットは、伝統的なコースとして、その名を馳せるスパーフランコルシャン・サーキットです。

コース・レイアウトがアップダウンに富み、距離が長い(約7km)ことで有名です。
(昔はもっと長かった。)

つい最近まではコースの一部が公道でしたが、現在では、完全なクローズドのサーキットです。
天気は悪く、アクセスも悪く、ホテルも少なく、レストランも少ない(マクドナルド及びKFCすらありません。)・・・渋滞も酷い、にも関わらず、ファンもエントラント関係者(ドライバーを含みます)も、不思議に文句を言わないのが、このサーキットの特徴です。

そして、なぜか、海を越えて、イギリスからのファンが大挙してやってくるのも特徴でしょうか。
ベルギー名物のワッフルと、ゴディバのチョコレートを楽しんでいる風でもありませんし・・・。

オー・ルージュという壁のような上り坂の高速コーナーを駆け抜けるF1マシンが魅力なのでしょうか。
バス・ストップシケイン(公道時代に、バス停があった場所あので、その名の由来となっています。)、第1コーナーで、例年、多重クラッシュが発生するからでしょうか。


前置きが長くなってしまいました。
(すいません、今回は、本当に天気が悪くて、ほとんど走っていないので、書くことがあまり無いんです。(汗))

それでは、本題のレースの話に入りましょう。
ヨーロッパ戦の最後の2戦と書きましたが、今回のベルギーの次は、モンツァでのイタリアGPです。

このモンツァ、全開率が高く、エンジンには相当厳しいサーキットなので、ほとんどのチームがイタリアGPでフレッシュ・エンジンを使用する予定と考えられます。

ということで、その直前、つまり今回のベルギーGPで使用するエンジンは、寿命に近いエンジンをやりくりという状況と見て良いでしょう。
(実際、P1でMASのエンジンが壊れてしまいました。)

従って、エンジン単体のパフォーマンスの視点から見ると、寿命末期のパフォーマンスでの勝負となります。
しかも、アップダウンがきつく、ストレートも長いと来ています。
仮に、予選・レースを中距離消化のエンジンで戦えるドライバーがいたら、寿命末期のエンジンで戦うドライバーに対して、かなり有利ですね。

今回、P1、P2は雨量が多かったために、ほとんど価値のあるデータというのは回収できませんでしたが、タイヤの内圧セッティング等、少なくともウェット性能等は確認できています。
すでに11戦を戦っているので、こうした「確認」走行は、計測ラップを重ねなくても、物理的な機能部品については、ある程度は「傾向」で判断できるようになっています。

その代わり、エアロ特性などは、実際に走り込まないとジャッジできません。
エアロ特性(ダウンフォース発生量とドラッグ発生量の最も効率の良いコンビネーション)は、ここスパのコースでは、一般的にカナダGPのモントリオールのコースに似ていると言われているので、車両性能の優劣についてはカナダGPに似た結果になる事が考えられます。


ただ、スパはモントリオールに比べて、中低速コーナーが多かったり、さらにはランオフエリアが広くて、ドライバーもコーナーを攻めやすいという違いがありますので、一概にカナダのような傾向を示すとは言えません。

そうした中で、KOBの操るC31は、中高速コーナーでの性能が、ライバル勢に比べて有利な傾向があるので(実はC29、C30もそうなのです。)、良い戦いが出来る可能性はあります。

ただし、車両の運用となると話は別です。
P1、P2ではドライタイヤで走行していないために、柔らかい方のオプションタイヤ、堅い方のプライムタイヤの性能差(ラップタイムと摩耗)が全く不明で、これをDAY2のP3の1時間でジャッジしなければなりません。
1周が長いので、走行メニュー(RUN)を多く取ることもできません。
また、スパは部分的にいつ雨が降ってもおかしくないコースです。
今回のDAY2は、P3、そして予選と、インターバルも短いことから、時間との戦いといった極めて濃密なものとなるでしょう・・・。


KOB陣営、うまく乗り切れると良いのですが・・・。


そして、ここで、最後に話が最初に戻ることになるわけですが、一旦晴れると、スパは荘厳なまでに美しい緑の自然に囲まれています。
また、レース自体も、例年、天候不順による「予想」と「対応」が常に臨まれ、それ
ゆえ予選やレース戦略に他のレースでは使わない「読み」も生まれ「機械」よりも
それを操る「人間」へのチャレンジ性が高く、成功した場合、その達成感たるや並々
のものではない(これはF1に限らず、GP2、F3、フォーミュラ・ルノーでも
同じです。)ので、スパの悪天候については、ジョークやユーモア話の種にはするもの
の、文句は言わないのだと思います。

現在、多くのサーキットが80秒~90秒で周回するのに対し、ここスパでは105秒~115秒で周回します。
通常よりも20秒~25秒のエキストラの「考慮」時間が増えるのに対し、ミスすると次の判断まで、逆に20~25秒のロスをするという結果になります。

例えば、ピットインのタイミングを、ピットロード入り口直前に逃すと、ほぼ2分を失ってしまう結果に陥るわけです。
しかも、スパは山を下って、ピットロード入り口に向かうセクター2区間~セクター3区間は、そのサーキットの地形的状況から無線の「不達区間」でもあり、ピットから指示を出しても、ドライバーに伝わらないという事態も発生し得ます。

こうした「ヒューマン・エラー」の演出する局面も多々あるので、スパは「特別」となるわけです・・・。

奇しくもP2でMSCがピットロード入り口のルートを外れたカドでペナルティを受けましたが、その状況は、おそらくこうした背景で発生したものと推察されます。
というわけで、P2のMSCの件は、一概にMSCに対して「なにやっってんの!」とは、言えません・・・。

他のチーム/ドライバーでも、十分に起こりえるミスなのです。

さて、DAY2のスパ、DAY1の大雨がウソのように晴れ上がりました。
予報では、終日、天候は安定しているとのこと。(ホントか?)

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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MSC=ミハエル・シューマッハ
MAS=フェリペ・マッサ