ドイツGP DAY1(P1&P2) | GOODSMILE RACING 広報ブログ

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難儀なプラクティス日でした。


P1はドライタイヤでやっと走行できる程度の雨がショボショボと降り続き、かつ、インターミディエートではタイヤが壊れてしまうという中途半端なコンディション。

P2は雨量が変化し続け、ウェット、インターミディエートと状況に最適なタイヤが刻々と変わるコンディション。


イギリスGPの金曜日と土曜日に降り続けた雨のために、各チームとも「シルバーストーン・アップデート」のデータ取りが思うようにいっておらず、その確認は今回のドイツGPに持ち越しだったのですが・・・。

また、新型ハードタイヤのテストも、このドイツGPに持ち越しだったのですが、そのトライも出来ず・・・。
(この新型ハードタイヤ、次回搭乗するのは、早くて日本GPとのこと・・・。)

その上、P1では路面温度が20度前後にもかかわらず、チームによってフロントタイヤやリヤタイヤにブリスター(気泡)が発生。
予選の土曜日、レースの日曜日には天候の回復が予想されているため、タイヤの「保ち」にも懸念・・・という、複雑な状況に見舞われました。

こうした状況の中、KOB車両は今後のC31の開発の方向性を定めるべく「シルバーストーン・アップデート」の実測データ回収に的を絞り、
KOBには、路面が濡れすぎて走行が難しい状況の中、ドライタイヤでなんとかコース上に留まってもらいながら、異なるスピードでの定常速度試験で圧力データやダウンフォースのデータを回収。

さらには、インターメディエートタイヤでも、タイヤを壊すリスクを冒して、同様に実測データを回収するために周回を重ねました。

P2に関しては、実は、セッション開始前の予報では雨量に関してはそれほどではなかったのですが、実際にはホッケンハイムは局地的にかなりの雨量となり、結局、セットアップを完全な「ウェット」に変更して臨まねばなりませんでした。

もっとも、そうしているうちに土曜日の予選がウェットになりそうだとの天気予報に変わったので「ウェット」セッティングは「マスト条件」に変わり、同時に使用セット数に制限のあるウェット・タイヤをセーブしなければならなくなりました。

それに、前回のイギリスGP同様に、P3以降のギアレシオの設定もウェットの予選とドライのレースの両方を考慮して申告しなければなりません。
イギリスGPのレースでは、MSCの後ろにピタリと付けたKOBでしたが、バシッと抜くには至らなかったのは、実はKOBがウェット用のショートレシオで、MSCがドライ用のロングレシオだったということもあります。
(なので、なおさらピット作業でMSCと勝負しなければならなかった・・・と、いう背景があったわけです。)

これで、ロール・スティフネス(日本風に言うと、スタビライザーの堅さ)と、その前後バランス、車高、ギアレシオといった重要なセッティングパラメータが、全て根拠のある「妥協」、もしくはドライ用の「ギャンブル」に近いものか・・・という、前戦イギリスGPと酷似した状況となってきました。

加えて、KOB車にはP2においてセッション中には原因が判明しなかったO/S(オーバーステア状況)が発生し、また路面状況が軽いウェットの時点では、装着したインターメディエートタイヤをP1で酷使していたために排水が悪いという状況で、ラップタイムも思ったようには向上せず、辛い状況ではありました。

いずれにしても、こうした変わり続けたコンディションのために、満足の行ける走行内容だったというチームは無いも同然ということで、全てはDAY2のP3の仕上がり次第ということでしょう。

もっとも、ヨーロッパでレースをしてF1にステップアップしてきたドライバ(KOBもそうです!)であれば、ホッケンハイムを知らないドライバーが少ないくらいだし、チームも「ピレリ」タイヤでの走行経験が無いというくらいで、走行データ自体は豊富なので、今回のグランプリの流れで対応に苦慮するというチームは、新興3チームを除いて「無い」と思われます。

ただ、金曜日の義務づけである「ギアレシオ設定」で、まずはレースの運命だけは分かれることになったという状況でしょうか。
KOBは、O/Sの原因がはっきりとして、対策が施されれば、今回はグリッド・ペナルティも無いことだし、基本的には問題はありません。



では、雨が予想される予選セッション、お楽しみに!


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※レポート内のドライバー略称は以下の通りです。

KOB=小林可夢偉
MSC=ミハエル・シューマッハ