日本ではステビアと言えば、「甘味料ステビア」が有名ですが、これはステビア草の葉から甘味成分のみを抽出して、精製した白い粉状のものです。


ステビア甘味料は日本で発明された天然甘味料であり、原料のステビア草を栽培する農家も全国的に広がっていきました。ところが甘味料の原料としての「葉」ではなく、それまでは無用の長物として捨てられていた「茎」に、すばらしい抗酸化活性をはじめ多くの薬効のあることが、研究者の手によって判明したのです。


ミカンの木の伝説


宮崎県のあるステビア草栽培農家が不思議な体験をしました。ある日の1本のミカンの木の下で子どもたちが騒いでいました。『この木になるミカンは、ほかの木より甘くておいしい』というのです。


「おかしいな?」と農家の方は思ったそうです。以前はその木になるミカンは酸っぱくて子供たちは見向きもしなかったそうなのです。ミカンを1つもいで食べたところ、「あっ甘い。本当に甘い!」と驚きました。子供の舌は嘘をつきません。


回りを見渡すと、たまたまステビアの葉を出荷した後の「茎」を、そのミカンの木の根元に敷いておいてありました。「ステビアが腐りかけて堆肥代わりになっていた…それ以外の理由は考えられない」というのです。


ステビアは21世紀のキーワード 

「数本あるミカンの木の中でそのミカンだけがずばぬけておいしい。急においしくなったんだ。」ということで、さっそく糖度計で測ったところ、糖度が他の木より確かに2~3度高いのです。しかもばらつきがなく均1化したものに仕上がり、色づきもよく、葉陰になっているところも日光を浴びている部分と同じような色付きだったそうです。つまりステビアの茎が堆肥の替わりになって、その木になったミカンがとても甘くおいしくなり、色・形と3拍子そろったとしか考えられなかったのです。


この話を聞きつけたステビア草研究者は、さらに別の農家で面白い話を聞きました。ステビアの茎を細かく切って鶏小屋に敷き藁がわりに敷くと、鶏がそれを食べ、トサカが赤くなり、卵をよく産むようになったというのです。しかも殻が固く丈夫になった。

研究者はこうしたステビア草の不思議な力に注目して、以来、ステビアに関する研究に没頭することになるのです。