昨年のNHK紅白歌合戦に出演したAKB48をはじめ、多人数のアイドルグループが脚光を浴びている。1980年代のおニャン子クラブ以降、「モーニング娘。」など多人数アイドルはたびたびブームとなっている。その背景を探ってみた。 (桜井学)



コリス go go !!!


総合力

 今月上旬、都内のホテルで行われた記者会見に、フジテレビの番組から生まれたアイドリング!!!とAKB48のメンバーが登場し、AKBアイドリング!!!という合体ユニットを結成すると発表した。

 おニャン子クラブの仕掛け人で、AKB48のプロデューサーでもある作詞家の秋元康は、その席上で、「今の時代、想定外のものが求められている。現在のタレント業は厳しい。弁護士や医者、学者など背景を持っている人がタレントもやっていて、それが面白い。現在のタレント業はそれだけ厳しい」と語った。

 それだけに、彼らを超えるためには、強い個性が必要となるのだ。我々が想像できないような新たなアイドル像が望まれていると言えるだろう。

 そういった状況に、多人数アイドルは向いている。自分の得意分野を前面に出し、グループ全体で個々にないものを相互補完できるためだ。オリコン・リサーチ社長の垂石克哉氏は「ものすごい才能を持った人はそんなに出てこないから、総合力で勝負する戦略」と言う。

 また、おニャン子クラブ以降、受け手側にも変化が見られるという。「様々なタイプのメンバーの中から、より身近に感じる人を探せばいいということになった」と垂石氏は指摘する。

親近感

 アイドリング!!!を手がけるフジテレビの門沢清太プロデューサーも「人を好きになるのは、あくまで主観」とし、多人数のグループなら、様々な好みを持つ人を、ファンとして取り込める強みがあり、テレビ向きと語る。

 現在はオーディションで選ばれた、14歳から23歳の女性17人が所属。シングル曲「職業:アイドル。」はオリコンのチャート5位に食い込んだ。

 若い女性の輝いている姿は永遠不滅のあこがれの対象。ただ、昔ながらのお人形さん的なアイドル像は成立しにくくなっている。

 インターネットの普及などで、タレントの私生活の情報もすぐに広がり、イメージをコントロールできないからだ。「DVDやネットで動いている女の子を身近に見られる。神秘的ではなく、身近で接しやすい」(門沢氏)がアイドルの条件のようだ。

別動隊

 送り手側にはメンバーが多人数いることで、グループ内で複数の別動隊を作り、絶えず目新しさを出せるという利点もある。おニャン子からはうしろ髪ひかれ隊などが、「モー娘。」からはタンポポなどが生まれた。

 「例えばグループ内で、ダンスがうまいメンバーだけを集めて別ユニットを組むなど、個々の特性を生かした様々な展開が可能」(垂石氏)。アイドリング!!!も17日にはフリフリアイドリング!!!とギザギザアイドリング!!!という2組のユニットによるシングルCDを出した。

吉本も

 お笑いのイメージが強い吉本興業もYGA(よしもとグラビアエージェンシー)で多人数アイドルに参入する。東京・新宿の劇場「ルミネtheよしもと」の支配人を務める河野康弘プロデューサーは、「劇場には、男のお笑い芸人を見に来る女性が多い。男性客も来るようにしたかった。吉本にもかわいい子がいるし」と狙いを語る。同社では吉本総合芸能学院(NSC)を運営しており、その大阪校には「女性タレントコース」もある。「お笑いだけではなく、アイドルも出していきたい」(河野プロデューサー)と新たな市場開拓に意欲を見せる。



YGA「ひと味違う」16人組


吉本興業のアイドルユニット、YGAは16人編成で、CDや写真集を出している。「粘膜90kg」のキャッチフレーズで売るなんしぃ=写真左=と「恋のスパーリングパートナー」を掲げる浅本美加=同右=に話を聞いた。

 今年夏に結成。「普通のアイドルグループにはいないようなキャラクターもそろっているところが、吉本の心意気」となんしぃ。「急に呼ばれて、明日からアイドルやと言われて、ふざけてんのかなと思った」と笑う。一方の浅本は「もともと『モーニング娘。』に入りたかった。アイドルにあこがれていたので、よっしゃーと思った。水着の仕事も全然問題なし」と元気いっぱいだ。

 学園祭を回ったり、イベントに参加したりと徐々に知名度を上げている。10月に出した「BIN―KAN。VANILLA!」は、ポップで楽しい1曲だ。

 大人数での活動について、なんしぃは「キャラクターはかぶってない。踊れる子も、笑いが取れる子も、トークのうまい子もいる。これまでのグループとはひと味違うはず」と話す。

 「16人全員で何かやりたい。例えばドラマとか」という2人。今後の展開が楽しみだ。