【レンズの収差とは？「色収差」と「パープルフリンジ」】について徹底解説！！

December 14, 2019

テーマ：: 写真のサイト/カメラの基礎講座

カメラのレンズ収差_色収差_パープルフリンジ

前回、逆光とレンズの特性による画質低下（フレア/ゴースト）についてお話しました。レンズの特性による画質低下の原因はほかにもあります。それはレンズの”収差”というものです。

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今回は画質低下の原因「レンズ収差」についてお話します。

非常に難しい内容になっています＾＾

【レンズ収差とは】

レンズの形状や特性によって色が滲んだり、像が流れたり歪んだりすることを”収差”といいます。

各メーカーはこれら収差が出ないよう日々開発していますが、なかなかゼロにすることは難しいようです。

撮影者はこれら収差をレンズの”クセ”として扱うことになります。基本的には高価なレンズほど収差は軽減されています。

自分が持ってるレンズがどういう収差（＝クセ）を持っているのかを知ることも大事かもしれません。

【収差の種類】

収差には大別して７つあります。

●色収差：「軸上色収差」「倍率色収差」
●単色収差（ザイデル５収差）：「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面収差」「歪曲収差」

＊今回は色収差の２つについてお話します。

【色収差】

太陽の光は様々な色（＝波長）の集合体で、それらはレンズを通過する際に色によって屈折率が異なります。

その屈折率の違いによる”色のにじみ”を色収差といいます。

まずは色収差の仕組みをご覧ください。

①軸上色収差

屈折率の違いにより結像位置が色によって前後にずれます。

そうなると色ごとに焦点距離（ピント位置）が異なり、例えば赤にピントが合えば青がにじみ、青にピントが合えば赤がにじみます。

言わば「色の前後ボケ」ですね＾＾

＊軸上色収差は絞りを”絞る”と抑えられます。

②倍率色収差

色によって屈折率が異なると斜め（光軸以外）から入射した光の場合、レンズを通過した後に色の像の大きさ（倍率）が変わってきます。

そうなると被写体のふちに赤や青紫の色ズレが生じます。図の通り画面の”周辺部分”に発生します。言わば「色のズレ」ですね。

＊倍率色収差は絞っても抑えられません。

【パープルフリンジ】

色収差でよく耳にするのが「パープルフリンジ」という現象です。

主に軸上色収差が原因で起こりますが、倍率色収差による場合もあります。

絞りを絞っても抑えられない場合は倍率色収差が原因となります。

＊パープルフリンジ：高輝度と低輝度部分が隣り合うとき、紫色の「偽色」が発生する現象。

①高輝度の花びらと低輝度の背景

②拡大してみると…

③高輝度の背景と低輝度の枝

④拡大してみると…

それぞれの写真で高輝度と低輝度が隣り合うとやはり紫色の「偽色」が発生しています。
拡大すると顕著ですね＾＾

＊パープルフリンジの原因

●レンズに入った光の屈折による色収差
●逆光時など明暗差（輝度差）があるシーン
●絞りを開放気味にしている

＊パープルフリンジの対策

●絞りを絞る（軸上色収差なら発生しない）
●現像ソフトでレタッチする
●収差の出にくい高級レンズにする
●拡大しないと目立たないので見て見ぬふりをする！

次回は単色収差（ザイデル５収差）についてお話します。

【色収差とパープルフリンジまとめ】

●収差：レンズの特性で色が滲んだり像が流れたり歪んだりすること
●高級レンズほど収差は少ない
●色収差：「軸上色収差」「倍率色収差」
●単色収差（ザイル五収差）：「球面収差」「コマ収差」「非点収差」「像面収差」「歪曲収差」
●色収差とは「光の色の屈折率の違いによる”色のにじみ”
●軸上色収差とは「色の前後ボケ」で絞ると収まる
●倍率色収差とは「色のズレ」で絞っても収まらない
●パープルフリンジは色収差によるもので”輝度差”のあるシーンで起こる