貴種流離譚というワードを知っていますか?
なにやら難し気な熟語なんだけれど、読んで字のごとくでありまして、英雄や神のような高貴な生まれの人物が試練を乗り越えて克服して、より尊きものとなるという物語の枠組みの事。
考えてみれば、あれもそうだわ、これもそうねと。
ギリシャ神話だと、【ヘラクレス】なんかそうだよね。
ディズニー版は観たことが無いので分かりません。
ディズニーは原作を大幅にハッピーストーリーにしてしまう傾向がありますからね。。。
大神ゼウスが、例によって婚約している相手のいる女性に手を出し(しかもそのフィアンセに化けて近づくという最低な方法を使う)、正妻のヘラに怒りを買う。そしてこれまた例によってヘラの怒りは夫ではなくて生まれたその子に向けられる。
ヘラクレスはそんなわけで、到底乗り越えるのは困難な試練を乗り越えざるを得なくなる。
結果としては大成功を収めて真の英雄になるわけですけどね。
日本の古事記では、【スサノオノミコト】がそれに当たるかもしれません。
天界で散々なことをして追放されるのは、自業自得であって試練なのか?!と疑問はありますけど、その後にヤマタノオロチを退治して英雄とされます。
過去記事⇒ヤマタノオロチ伝説
日本のおとぎ話で言うと、【鉢かづき姫】もそうみたい。
御伽草子にも載っている古い昔話です。
簡単なあらすじは知っていたけど、改めて調べてみたら面白そうだったから別の記事として書きたいです。
流れとしては、シャルル・ペローの【ロバの皮】にも似てる部分がありますね。
過去記事⇒ペローの童話
他にも、【ラプンツェル】や【ライオンキング】もそうらしいです。
これまた、ディズニー版の【塔の上のラプンツェル】は原作と違うのですが、まあ試練と言えばそうなのかなぁ・・・結構楽しく塔の上で暮らしてるイメージはありますけどね。
いや、この場合はディズニーの方がラプンツェルをプリンセス設定しているのかも。
原作では、農家の夫婦の子どもで魔女との取引で塔に閉じ込められたんじゃなかったかな。
いやいや、待てよ。ラプンツェルだけではなくて、恋仲になった王子の方もだよね。相当な試練が待っていたのは。原作はあんな冒険活劇ではなかったと記憶しています。
それに、試練を乗り越えて尊い存在になったかというと、そこまでではなくてハッピーエンドではあるかなぁ・・・?という話だしね。
ライオンキングは、タイトルからしてキングだし、当てはまる気がしますね。
【甲賀三郎物語】もそうだと書いてありました。
おおー!ありましたね。
以前これも記事に書いたよ。
過去記事⇒浦島太郎要素もある蛇信仰
いままで色々書いた中で、こんだけ出てくるってことは物語の定番と言うか、もしくはわたしが貴種流離譚マニアかどっちかです。
おそらく前者ですけど。
つまり、時代を越えて人間はそういうストーリー展開が大好きだということなんでしょうね。
ワクワクするんでしょう。
わたしはワンピースって読んでないので全然分からないですけど、絶対にその手の登場人物出てきてるよね。みんなそうかもしれないよ。
ドラゴンボールもそうかもしれないよ。孫悟空が貴種なのか忘れたけど。
少年は冒険や試練克服が好きですもんね。
わたしは試練とか欲しくないタイプなので(自分自身に)、アニメとかなら構わないんですけども、実写とかだと観るのがシンドイです。
もしかしたら以前も書いたかもしれませんが、自分のハンデというものを乗り越えるという意味では、苦労を前面に押し出してストーリーにしないで欲しいんです。
『苦しくて、もうやめてしまおうと何度も思いましたが、歯を食いしばって頑張った』みたいなナレーションも、定番過ぎてやめて欲しいくらいです。
本当に本人がそうおっしゃったのかもしれないですけど、そうじゃないなら憶測でそんな風なお決まりのセリフにしてほしくない。
例えば、バスケ選手で背が低い方がいますよね。それでも大活躍されているとか。
もちろん大きなハンデです。しかし、長身の選手と肩を並べられるためにはどうしたらいいだろう?と試行錯誤したと思うんです。
試行錯誤は、イコール試練や苦労ではありません。努力イコール苦しみではありません。
そう思わせて欲しいんです。
苦労や努力を美談にしてほしくない。苦労を味わわないといけないなんて誰が決めたのだ。
ドラゴンボールの孫悟空は、強い相手が現われたらワックワクしちゃうじゃないかw
人は、ワクワクするために冒険をするんだろう? 苦労する為なら冒険の旅なんて出るな。
強ぇぇ相手なんて探すな。
わたしたちが大谷翔平選手を見てワクワクして応援したくなるのは、彼が人一倍努力して苦労してるからではありませんよね。