前回、オオカミが悪者の話を書いていて、ライオンが悪者の話って何かな?と調べてみたんです。

過去記事⇒グリム童話シリーズ③ オオカミは何を食べたのか?

 

悪者というか、悪者に仕立て上げられているが正しいけどね。

で、グリムではなくてイソップ童話で見つけました。

まあ誰が悪いという話では論じられないんだけどね。

 

それが【ライオンとキツネとシカ】というひねりも何もないタイトルの童話です。

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王様であるライオンが病に伏しています。お見舞いに来たキツネにこう言います。

「鹿のはらわたと心臓を食べたら病に効くらしいんだが・・・手に入らないものか」

そこで、キツネは一計を案じまして鹿に近づきます。

「王が死にかけていて後継者を選ぼうとしている。どうやら君に白羽の矢が立っているらしい。会いに行ってくれないか?」と。

鹿はそれを聞くと喜んでライオンの元に。

ライオンは洞窟で待ち構えて、鹿に飛び掛かるのですが逃げられてしまいます。

その顛末をライオンはキツネに告げ、もう一度鹿を寄こしてくれないか?と頼みます。

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そんなの無理じゃないか?という気もしないでもない。

鹿はもう警戒して、来ないに決まってますよねぇ。

しかし、キツネはそんなライオンの泣きのリベンジに協力するんですw

 

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鹿の流した血をたよりに足跡を追っていきます。

もちろん鹿は騙されたことに激怒していて、キツネを罵倒して追い払おうとするのですが、ここがキツネの真骨頂。

「なんだい臆病者だな。そんなことで王様なんて務まるかってんだ。王としての戦い方を教えようとしていたんじゃないか。ふがいないったらありゃしない。ライオンは次の王にオオカミを推そうとしているぜ。あんな乱暴者に王になられちゃ、こっちも堪ったもんじゃないけどな。頼むからもう一度来てくれないか? 俺が保証するから」

まるめこまれた鹿は、ふたたび洞窟へ。そして・・・食べられてしまいます。

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鹿よ・・・笑い泣き

今回は、丸呑みされたんじゃないから腹を切ったところで鹿は戻りません。

ムシャムシャとがっつくライオン。脇にポロリと鹿の心臓が転がりました。

 

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足元に転がってきた鹿の心臓をキツネはペロッと食べてしまいます。

「手間賃、手間賃っと♪」

ライオンは、はらわたは食べたものの心臓が見つからずにキョロキョロ。するとキツネは言います。

「この鹿にはもともと心臓は無かったんでしょうよ。そうじゃなければ、騙されたと知りつつもノコノコと二度もやって来るはずないじゃありませんか。」と。

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キツネ、天才的な詐欺の手口。

騙しのセリフがエグイ。

ライオンもそう言われてはぐうの音も出なそう。。

 

そして、この童話の教訓は

「偉くなりたいという虚栄心に目がくらんで周りが見えなくなると、命の危険が迫っていることに気が付くことができませんよ」

え・・・まさかの、鹿にダメ押し。

ただ、ひたすらに鹿が気の毒。

 

詐欺グループに騙されるのは、騙す方が最も悪いのはそうなんですけども、

楽して儲けられるとか、あなただけに耳寄りな情報とか、一日15分でモデル体型とか、そんなものに目がくらむと痛い目に遭いますよ!!という話とも言える。

耳が痛いわね。

 

この場合のライオンって、どういう位置なのかしらね。

心臓こそ食べられなかったけど、結果的には楽してちょっと得したような。

でも、病は癒えないけどねってことなのかしら。謎ね。