Eテレで放送中の『100分de名著』という番組をご存じですか?

もう10年もやっているご長寿番組です。

聞き役は伊集院光さんとNHKの女性アナウンサー。

取りあげる名著に関して詳しい専門家や研究者をゲストに呼んで番組は進行していきます。

伊集院さんの聞き役、素晴らしいよね。花

きっと、ご自身は物知りですし好奇心も旺盛な方だから、知っていてもおかしくない事柄を「自分はそんなに歴史に詳しくないので、知らなかったです」と初見の視聴者に視点を合わせた合いの手が全く嫌味が無く、手短に自身の体験や身近にありそうなシチュエーションに置き換えてまとめられる頭の回転の良さ。適切な質問。

 

番組タイトルは以前から知っていましたけど、観たことはなかったんです。

取りあげている本が難しそうだから。(難しいからこそ、解説している)

 

先日、あるキッカケでこの番組を観たのですが面白くて。

もっと早く観たら良かったよね~。

ま、興味が出たときがその時ですからまあいいか。興味が出たとき最終回だったら悲しいけどね。

見逃し配信とかアーカイブとかも今の時代はありますから、便利ではあります。

ありがとう、デジタル。

 

今月は『アイヌ神謡集』を取り上げています。

著者はわずか19歳で亡くなった知里幸恵(ちりゆきえ)さん。

アイヌ民族の間で口伝えで伝えられた物語を書き留めた作品です。

17歳の時に言語学・民俗学者の金田一京助氏にスカウトされて上京し、この作品を仕上げたそうです。幸恵さんはもともと重度の心臓病を持っていたそうなので、この上京はなみなみならぬ覚悟をもってのことだと思われます。

彼女が亡くなって、今年はちょうど100年。

その当時も、アイヌの言葉や習慣は存続が危ぶまれていたわけですから、100年経った現在はどうなんでしょう。

 

言葉の響きは歌のようであり、祈りのようであり、しかも文字は持たないので口伝え。

アイヌ民族は縄文人の唯一の生き残りだというようなことを耳にしたりしますが、実は土着の縄文人とは遺伝子が違うらしいです。

アイヌはアイヌの日本列島にやってきた歴史が異なるとか。

それとそれで興味深いですね。

参照動画⇒分子人類学から読み解く日本人のルーツとは?

29分辺りから解説されてます。

 

この後、ヤマトにまつろわない民族たちはまとめて【蝦夷】というグループに入れられて、鬼だの敵だののレッテルを貼られ、排除され差別され、散々な状態に追いやられます。

彼らが鬼なのではなく、≪まつろわない≫ことを悪としたんですね。

 

まつろわない民族としては、最近こちらの本も読みました。

≪サンカ≫という民族。

本州の山地に暮らしていた移動民族とのことです。昭和の初めごろまでは残っていたそうですが、度重なる戦争(日露戦争やら太平洋戦争やら)のため、人員の確保をどうしてもしたかった政府が、≪サンカ狩り≫をしたらしいです。

【定住しないで山で移動してくらす怪しい集団】だというレッテルを貼って、警察に通報させるような罠を仕掛けたんでしょう。

真偽のほどは分からないですが、時代によってはサンカは忍術を身につけていた話もあります。山で移動しながら暮らすので、地理にも詳しいし、強固とした民族間のネットワークと掟があったようです。

 

100分de名著の過去の放送で、クロード・レヴィ=ストロース著【野生の思考】を取り上げた回があります。YOUTUBEで音声を聞くことが可能です。

参照動画⇒100分de名著【野生の思考】

自分たちは近代化していると思っている人間たちは、原始の生活をしている人を下に見て、文明が遅れた民族として蔑むきらいがあるけれど、実は根本を辿れば同じ行動をしている。同じ結果を生んでいる。

【構造主義】というものを分かりやすく解説しています。

特に、わたしはクリスマスを例に挙げた話が大変面白かったです。

100分de名著【野生の思考】第三回 神話への論理へ

 

授業で構造主義の説明を聞いても、絶対に眠たくなるだけですけど、これはすごく分かりやすくて興味深かったなぁお願い