3月になってしまったので、完全に季節外れなこの物語。

クリスマスは遠くなりにけり・・・

 

さて、過去の世界を覗きにタイムリープしたスクルージ。

若かりし自分の姿、懐かしい景色や知り合いに大感激して、思わず涙・・・という前回のシーンでした。

さらに、見習い修行時代のお店に連れていく過去の精霊。

経営とか、簿記とか、商品の仕入れなんかを学んでいたのではないかな。

そこには、懐かしい親方の姿がありました。

 

名前はフェジウィッグさん

彼の姿を見たスクルージは叫びます。

 

Why, it's old Fezziwig! Bless his heart; it's Fezziwig alive again!

ああ!! なんていうことだ。懐かしいフェジウィッグさんじゃないか。フェジウィッグさんが生き返った!!

 

生き返ったわけじゃないんですけど(自身が過去にタイムスリップ中)、喜びが大爆発してますよね。

少年時代のスクルージは、親方を慕っていたんですね。

 

親方のキャラを表すかのような独特の言い回しがされていて、さらに彼の懐かしい声一つに対して、形容詞が5つも使われています。

 

He laughed all over himself, from his shoes to his organ of benevolence; and called out in a comfortable,oily,rich,fat jovial voice.

 

まず、≪laughed all over himself≫

わっはっはと笑うとお腹が揺れるかのような大笑い。

 

≪from his shoes to his organ benevolence≫

頭のてっぺんから足の先までという意味らしい。benevolenceは頭頂部という単語らしいですが、ただ骨格的に頭頂部を指すだけではなくて、慈悲が宿る頭っていうような含みがあるんだそうです。

イメージw

後光が差してる感じ?

身体全体で楽し気に、わっはっはと笑っていて、その姿は慈悲に満ちてる感じなんですかね。

笑ってる姿を見てるだけで、こっちも嬉しくなるような。

 

そして、≪comfortable  oily  rich  fat  jovial≫な声で呼びかけた。

comfortableまでぐらいならイメージできますけど、oily とかfatもここで使われる形容詞のラインナップとして並ぶような意味合いがあるんですね。

これは、デッカイ辞書じゃないと分かんないわぁ。

 

勝手なイメージだとフェジウィッグ親方はふくよかな体形なんだろうな~とは思うけど、だからのoilyとかfatじゃないですよね。声の形容詞なんだし。

 

お手本としては、心地よく、滑らかで、のびやかで深みのある陽気な声と訳されていました。なるほどぉ。。。

 

人柄がめちゃくちゃ表れていますね。

さて、この親方はWelsh wigを被っているという表現があるんです。

ウイッグっていうとカツラ??

西洋の人って、独特のカツラを使用してたりしますけど、親方は別に貴族でも裁判官でも音楽家でもないわけですし、そんなの被る??と疑問でした。

本では、ここも問いになっておりまして、Welsh wigはどんなものか?分からない人は画像で検索してみましょうとありました。

 

調べてみると、こんなものでした。

毛糸で編んだニット帽です。首のところにヒラヒラがあります。

ああ、なんかこういうの見たことあるような、ないような・・・

 

カツラなのではなくて、帽子なんですね。

フェジウィッグさんの名前は、この帽子を被ってる特徴から付けられたと書いてるものもありました。

なので、その時代のファッションとしてそう珍しい帽子でもないけれど、みんな被ってたわけじゃないんでしょうね。じゃないと特徴にならないし。

 

ここまでこだわって調べてみないと当時の風習やらファッションなんかは分からないですね。

実際、ウェルシュのカツラを被ってると訳されてるものもありました。

それだけ見たら、へぇ・・・なんか分からんけどカツラの親方かと思っちゃいますもんね。

 

親方は、その慈悲に満ちた姿で笑いながら、少年スクルージと、同じく見習いのディックを呼び寄せて、「さぁ、19時になったぞ。店じまいして、片付けよう!!今日はクリスマスイブだからな」と言います。

 

ふたりはきびきびと片づけを始めてます。フェジウィッグさんが見守ってくれてる。

急げ急げ、1、2、3、、、掛け声をかけながらせっせと働きます。

明らかに楽しそうな見習い二人。

 

老人になった経営者のスクルージは、早上がりしたいと申し出たボブに散々嫌味を言い、クリスマスだと、くだらん!と言っていました。

少年時代の彼には、そんな姿は欠片も見られません。

大好きな親方に褒められたくて、喜ばせたくてせっせと働く彼に、その後の人生にいったい何があったのでしょう。