仁徳天皇①の続きです。

 

応神天皇の次を継ぐ予定であった弟が死去し、急遽リーダーとなった大雀命(おおさざきのみこと)。

名を、仁徳天皇とします。

この漢字の名前は、唐風の文化を重んじて奈良時代に付けられたものですが、本来は長ったらしい名前があるんです。

古事記と日本書紀では当てている感じが違いますが、わたしは古事記の方が好きなので、こちらがしっくりきます。

 

例を挙げると

仲哀天皇は帯中日子天皇(たらしなかつひこのすめらみこと)

神功皇后は息長帯比売(おきながたらしひめ) 

応神天皇は品陀和気命(ほむだわけのみこと)

 

名前だけでお経みたいです。

 

まずは、仁徳天皇の民に寄り添った逸話を紹介します。

 

村々を視察していると、昼時なのに家から煙が出てる家がほとんどないということに気が付きます。この時間なら、煮炊きをしてる時間ではないのか?と問う仁徳天皇。

 

「天皇、それはここのところ不作続きで・・・年貢を納めた後は自分たちの食べるものなどほとんど残らないからです」と答える側近。

 

な、なんということだ・・・ガーン

これはいかんと思った天皇は言います。

 

今後3年間納税の義務を免除する。

穀物・産物の税も免除、労役の免除も行う。

 

思い切ったことを言ってくれますね~目

こんなことを言ってくれたリーダーが今までいたでしょうか。

世界的に見てもそんなにいないですよ。

民の事は、自分たちや国を支える生産・軍力マシーンくらいにしか思っていないリーダーが多いですもん。

 

自分たち貴族には一切税を掛けないで、やりたい放題して、貧しい民から搾り取るだけ絞るようなやり方をして、フランス革命なんかは起こってる18世紀。

江戸時代でも、なんならここ最近でも、そんなリーダーはざらですよ。

 

まあ、なんでも免除したらいいって問題ではないのは分かりますけど、それにしても、いつの時代も、税金の見積もり計算が大雑把すぎないかというのは、持統天皇物語の時も書きました。

 

労役の者が来ないので、屋敷の修繕が出来ません。

税が入らなくなったので、粗末な食事しか用意できません。

天皇の周りの者は、そう伝えるのですが、それだけ民に支えられて生きてるってことを実感する仁徳天皇。

 

この逸話だけで、もう英雄だわ~を表してますよね。

 

さて、プライベートはどうかと言いますと、

女好きですw

英雄って、みんなこうですね~。もう許してやって。

 

最初に妻にしたのは、あの応神天皇に嫁ぐためにやって来た美女、髪長比売(かみながひめ)。しかし、正妻は石之日売(いわのひめ)という女性。地位が高かったんでしょう。

あの竹内宿禰の孫娘らしいです。

武内宿禰って、髪長比売をゲットするのに貢献してくれたこの人ね。

そもそも竹内宿禰も天皇の血筋らしいです。

 

そしてね、この正妻である石之日売が、ものすごーく嫉妬深い性格だったみたいです。

ゼウスとヘラの関係みたいです。 オオナムチと妻のスセリヒメの関係もそんなでした。

女好きな夫には、なぜ嫉妬深い正妻がいるんでしょうか。

どっちも辛い気がしますけどね。。。

 

正妻の嫉妬に耐えられずに逃げてしまった妻も一人や二人じゃない様子です。

 

源氏物語の主人公の光源氏の母も、低い身分で寵愛を受けた桐壺の更衣という方で、弘徽殿の女御などにさんざん嫌がらせを受けますもんね。

嫌がらせの仕方が、渡り廊下に糞尿をまき散らせて通れないようにするとかいう、犬や猫でもしないようなトンデモナイ下品さで驚くよ。

 

石之日売がどんな手を使ったかは知らないし、知りたくないですけどね。。。

 

そんな妻がいるけれど、公には他の豪族らと繋がりを持って国を統一するという名目で、次々に妻を娶っていきます。

だったら、ちゃんと美女じゃない子も貰えよと思うもんね。

美女じゃないからという理由で実家に帰されるのも悲劇だけど、全然お渡りが無いのも露骨。

美女しか選ばなかったことで神なのに寿命がもうけられたニニギの話もありましたしね。

美女はどんな比喩なのか?

 

中には、周りを巻き込む悲劇的事件も起こりました。

応神天皇は、子どもが多かったですよね。つまり、仁徳には兄弟姉妹がいっぱいいるんです。

 

異母妹の美女の女鳥王(めどりのみこ)を欲しいな~って思う仁徳。

そこで、異母弟の速総別王(はやぶさわけのみこ)に橋渡しを頼みます。

どういう兄弟関係??

兄弟が多すぎて、年も違うと思うし、身内なんだか他人なんだか分からん。

 

女鳥は、あんな嫉妬深い正妻がいて、正妻が怖くて実家に帰っちゃった姫を連れ戻しも出来ない腰抜けなんて冗談じゃないね!と一蹴。

そんな言い方はしてないけどw

 

さらに言います。

わたしが好きなのは速総別王、あなたなのよと。

あなたなら、皇位を奪う事だって出来るわ! 勇気を出して!!と。

昼ドラ的展開です。

 

美貌の女鳥に言われて、完全にその気になる男。

ほんまもんの魔性の女系美女だったんでしょうね。ご愁傷様・・・

 

結局、謀反はすぐに制圧されます。

 

あなたの女好きの結果がこれですよ、もう凝りて大概になさいな!! 返事は!?

と石之日売が言ったか言わなかったか分かんないですけど、完全に尻に敷かれてる風な一面も垣間見えます。

 

英雄の人間らしい一面って言えば聞こえがいいですが、それはそれに巻き込まれなかった部外者が抱く感想でありまして、巻き込まれたらたまったもんじゃないからね。