舞台には
スクリーン・椅子2脚・テーブル

そして
紳士の服着用のマネキン1体
マネキンは
時計うさぎの従兄弟 ハンプティダンプティ

(効果音)流星
(効果音)登場音









「ハンプティダンプティ
 の
 台詞」




私には愉快な友だちがいます
彼は仕事をしていません

無職です


んー、なんとも愉快! 
素敵な身の上でしょ?




何をして生きているか

いうと
戀をしている 


戀をする  
それだけの為に生きているのです



それは  
かなりしんどい人生です

(登場音)





(台詞だけ)
相手は
醜くはないが 美しいともいえない 
中年の女

性格が ひどく悪く
口も ひどく悪かった


つまり
高慢で
横暴で
配下に 情け容赦ない
身分の高い
貴族のおばさん

不思議の國の 
意地悪な公爵夫人



…………彼の飼い主でありました






(モールス信号〜
 タイプライター音入る)
(後に台詞重ねる)




彼は猫であります

不思議の國で一番
有名な存在 


不思議の國のアイドル



そう!  
ちぇしゃ猫です






彼は飼い主に
決して会おうとしません





自分の想いを公爵夫人に
知られたくないから
自分の戀は報われないのを
知っているから




それでも彼は 
その想いを
断ち切ろうとしませんでした




想いを
重ね 重ね 重ね 重ねて
ついには
『愛の定義』を見いだしたのです






想いを
重ね 重ね 重ね 重ねて
見いだした
『愛の定義』は
『真理』なのか?
と 
私はたずねました





ちぇしゃ猫は言いました





『愛の定義』
 はね
『真理』
 ではないんだよ




自分の ふとした思い違いで 
恋をした
思い違いで 
報われぬ苦しみを作った


自分に  
自分自身が
責任をとろうとした末に
見いだした悩み苦しみの為の
【ぐだぐだな結果論】



それは
【おのれひとりを支えるだけの
 信念



それが
『愛の定義』





真理
とは
万民のものだろ?
ハンプティダンプティ?

だからさ
おいらの信念は
『真理』
とは 言えないのさ

           





台詞 に重ねる 効果音『天国』(1.03)










『恋の言葉』とは
誠から出た 800の嘘





『恋の記憶』とは
瞬きの間に通り過ぎた 流星(ながれぼし)




『恋の肉体』とは
千切れて消えゆく 流れる雲




『恋の趣味』とは
探す気のない 四葉のクローバー






『恋の真実』とは
川面に映る 永遠の宇宙(そら)





そして
『愛の定義』とは

おそれを 捨てること だ