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Pepmalibuのブログ

こんにちは(^-^)このブログでは、アメリカ人と日本人の2人の博士号/MBAホルダーが、世界や日本で起こっている出来事に対する多元的な見方、アメリカの最新ビジネスや最先端の情報テクノロジーなどを紹介しています。どうぞよろしくお願いします!!


ブルーボトルコーヒー 創業者兼CEO  ジェイムズ・フリーマン

Blue Bottle Coffee 公式サイト

2014年1月14日(日本時間) インタビュー実施
実際のインタビュー(英語)はこちら!

13 おそらく、日本人はコーヒーを楽しむときに、立ちながらよりもテーブルで座って飲むことを好むと思います。そうした文化の違いを調整するために、店舗管理の現地化(ローカライズ)に関して、どのような計画を持っていますか。

ブルーボトルコーヒーには、小さな店舗、いわゆる「キオスク」(売店型店舗)がある。当て付けでいっているのではないが、(寒い東京に比べて)こちらサンフランシスコの今日の気温は華氏66度(摂氏18.9度) だった。ちなみに私はセーターを会社に持ってきたが。

この天候なら、キオスクに歩いて立ち寄るのは快適で理にかなっている。ニューヨークには、いつくかの小さな店舗をもち、テーブル席のある大きい店舗も複数ある。

東京の青山店は、大きな店舗だ。70前後の座席がある。フードメニューも充実している。清澄白河の焙煎所内にも20程度の座席があり、外にも座席が用意してある。これは、日本の文化に影響された対応だが、とりわけ日本の天候をより意識したものだ。

日本の暑い8月に、焙煎所の前で、立ちながらコーヒーを飲みたいと思う顧客はいないだろう。逆に、寒い1月も外で立ってコーヒーを飲みたいとは思わないだろう。

日本の顧客の嗜好に合わせて、座席数などの物理的な要因を調整したい。しかし、コーヒーは調整するつもりはない。アメリカと同じ入れ方や基準を採用する。

14 あなたは羽田空港と下町を結ぶ便利なモノレールにそれとなく言及しながら、東京は近代的で、未来都市があるべき姿を呈していると述べました。もう少し一般的にいうと、東京と日本に関して他にどのような点が好きですか。逆に、日本と日本の文化についてあまりよくないと思う側面はありますか?

日本については、組織化と規律正しいところが大好きである。私はエスカレーターに乗るたび、通行する側と立つ側がいつも分かれていることに驚く。

ニューヨークの地下鉄で急ごうとしたら、大変なことになってしまう。ニューヨークではエスカレーターの両側に人が立ち、進む道を塞いでいる。

日本人が習慣に関して普遍的に認識し、それを普遍的に採用する点がとても好きだ。また、東京は息を呑むほど清潔で安全である。サンフランシスコやニューヨークでも、特に不安を感じる訳ではないが、東京の環境のほうが、著しく安全で清潔だ。

さらに、東京の合羽橋にある数多くの小規模店が大好きである。「スツール(三脚チェア)を購入するのはこのお店」「あそこのお店には食品の模型(サンプル)がある」。

東京という広大な都市のなかにあるそれぞれの地区の独自の趣、そして、その「小ささ」がとてもいいと思う。

渋谷も凄い。渋谷には多くの鉄道が乗り入れ、世界で最も混雑している場所の一つだ。しかし、駅からほんの5分間歩いただけで、小さくて、穏やかな裏通りがある。そこでは、まるで、大都市から百万マイルも離れている場所にいるように感じる。私は、東京の特徴である「スモール(小ささ)」が大好きだ。

実は、日本語が話せたら、いいなと思う。”Nihongo sukoshi benkyoushiteimasu.”(日本語、少し勉強しています)

15 どのように人材を選別していますか。どのように採用したスタッフに御社の哲学を理解させるのですか。

今日、このインタビューの直前に、2件の面接を行った。マネージャーが採用される場合は、必ず私が最終的に承認する。

承認する前に、それぞれの応募者と電話で直接話し、または直接面接を行う。マネージャーがどんな人かを感じ取りたいからだ。

採用を担当しているマネージャーの決定を私がくつがえすことは滅多にない。しかし、必要なら、私の段階でくつがえすことができるということは分かっている。一人ひとりのマネージャーと面接を行っているので、マネージャーは一番始めからブルーボトルコーヒーのチームの一員だと感じる。このような帰属意識が共通の価値観の醸成に役立っている。

商品であるコーヒーについて教えることは難しくない。数ヶ月の研修の後、あなたでも、かなり詳しくなる。だから、焙煎担当の主任のような専門的な仕事以外は、面接を行う際に、コーヒーについての部分にあまり重きを置かない。

人材教育で難しいのは、礼儀、時間厳守、気配りを人に教えることだ。当社としては、既に、この種の「永遠の」価値観を持っている人々を採用したいと思っている。(そうした人材として)現在、当社には高級レストラン出身のスタッフもいる。最近、ワイン醸造所出身のマネージャーが入社したところだ。

16 あなたの大学の専攻は、経営学や経済学ではありません。MBA(経営修士号)も保有されていません。経営に関する正式な教育を受けていないことによって何らかの形で、不利な状況に置かれてしまっていると感じたことはありますか。もしそうなら、そうした不利をどのように埋め合わせていますか。反対に、プロの音楽家としての訓練と経験は、どのように現在のビジネスの進展に貢献しているとお考えですか。

MBA(経営修士号)を持っていないことが、逆に有利だと私は思っている。

開業したとき、2万ドル(200万円)と数枚のクレジット・カードを持っていただけだった。その額で十分以上の資金だと思ったので、ブルーボトルコーヒーを開いた。その当時、ビジネスに詳しかったならば、「そんなに少ない資金で事業を起こすなんて、不可能!」と思ったであろう。その意味で、普通の制限や限界を知らないことが有利となる。

それに、私はMBAの保有者を採用できる。実は、私のチームにはMBAが一人いる。

だから、ビジネスの教育を受けたことがないことは制約にはなっていない。むしろ、それにより、物事を新鮮な視点でみることが可能となる。

クラシック音楽を練習するときに、1000回も何かを繰り返すことが普通だということが、私は分かっている。それが、一日の練習のシンプルな部分だ。

しかし、このような規律に慣れていない人にとって、この繰り返しは「一大事」になる。プロの音楽家になるには極度の規律が要求される。そのような規律に比べれば、現在やっていることはそれほど難しいことではない。クラシック音楽家として訓練を受けたことにより、ブルーボトルコーヒーの事業を展開するうえで確かに有利になっている。

17 あなたの経験にもとづき、首尾よく会社を立ち上げ成長させるために、どのようなアドバイスを提供しますか?

とにかく商品に集中することだ。あなたが商品の長所と短所を認識し、商品改善に努力していたら、事業を軌道にのせるための必要条件は備えている。

もちろん、こうした作業に集中するだけでは不十分かもしれない。でも必須である。他の詳細は後回しにしてもよい。自分自身を商品に注ぎ込むことが最も大事な要素だと思う。しかし、そのことは頻繁に見逃されてしまうことでもある。

18 マーシャ・シネター(Marsha Sinetar)が『Do What you Love, The Money Will Follow』(ワクワクする仕事をしていれば、自然とお金はやってくる、1989年)を読んだことはありますか。ある意味で、あなたは、2回も彼女の提案に従いました。一回目はクラリネットの情熱を追求しました。これは残念ならら成功しなかったようです。しかし、コーヒーについての情熱を追求した今回の2回目は大成功を収めています。自分の経験を踏まえて、どのようにシネターの指摘を評価していますか。最初の失敗の経験が2回目の成功を導いたことから、どのような教訓を学びましたか。

私の最初のキャリア(職業)を踏まえると、本の題名を「ワクワクする仕事をしていると、徐々に、正気を失っていく」と改題したい。クラリネットの音楽家の時代はそうした改題タイトルを地で行っていた。

この本の題名は一種の特権を示唆していると思う。この世界、この国、この都市で、好きだからでなく、それやらなくてはならないから現在の仕事についている人たちがいる。

ある人がビル管理人として働いているかもしれない。それが本人の希望だからでなく、光熱費と家族の食事代を稼がなければならないからだ。私は、愛する現在の仕事の成功を、何かの魔法のせいにしたくない。

もちろん、私は、幸運だった。すべてがうまくいった。私は今の仕事を楽しんでいる。そして、それをとても幸運だと感じている。しかしながら、シネターの提案が普遍的に当てはまるとは思わない。

(了)



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本ブログの著者ジョセフ・ガブリエラと杉本有造は、両者ともにMBAの保有者であり、英語と日本語の両方でエレベーターピッチを実施する豊富な経験を有しています。くわえて、両者の経験を活かして、ビジネスパーソンに対して、仕事の現場で直ちに活用できるエレベーターピッチの技法について指導しています。エレベータースピーチのテクニックを習得したいと思われている方に、二人の共著『エレベーター・スピーチ入門~アメリカビジネスで成功するためのプレゼンテーション&自己イメージ作りの技法』を読まれることを強くお勧めします。

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このブログは、ジョーが執筆し、皆様にお届け致します。ジョーことジョセフ・ガブリエラ は、2000年に来日したアメリカ人。格闘技ファンなら誰でも知てる、K-1ファイターのアンディー・フグ氏にそっくり!1989年米国ワートン・スクールを卒業。その後ペパーダイン大学を皮切りに、イリノイ大学、南フリダ大学を卒業。MBAを含め2つの修士号と博士号を取得しました。日米合弁IT関連企業、スイス系証券会社、米系銀行、そして日系外食企業など幅広い業界の勤務を通して様々なビジネス経験を積みました。趣味は、水泳、読書(村上春樹氏の大ファン!)、ピアノ、そして様々な国の言葉を勉強する事です。ちなみに、2年前から新たに中国語勉強に励んでいます!この記事についてのご質問、感想、また意見を歓迎します。また、共同研究者である杉本有造氏とともにコンサルティング業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。

また、次のような「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」をテーマにしたブログも公開しているので、あわせてご一読いただければ幸いです。

「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」の目的
皆さんのビジネスリーダーとしての知識欲をさらに刺激するために、毎月、2回の頻度で、「アメリカ・ビジネスの最前線」を主な対象にして、「アメリカ・ビジネスでいま何が起こっているのか」「どのような最新技術に注目が集まっているのか」「日本や日本製品はアメリカでどのように評価されているのか」といった点について、アメリカ人としての見解を掲載します。日本のメディアでは、日本人による単一的(あるいは一方的)な見解が主張される傾向が強いように思えます。このブログ記事では、「世界には多様な考えがある」ということを日本の読者に具体的なテーマで知ってもらうことを意識しています。日本や日本人に対する外国人の見解、考え方を知ることで、読者自身の世界観を広げ、最終的にはビジネスチャンスにつなげてもらえればと願っています。とりあげてもらいたい「旬の話題」や建設的なご提案など、お気軽に著者までご連絡いただければ幸いです。

ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
東洋大学
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杉本 有造  博士/MBA
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ブルーボトルコーヒー 創業者兼CEO  ジェイムズ・フリーマン

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2014年1月14日(日本時間) インタビュー実施
実際のインタビュー(英語)はこちら!


7 ある企業戦略の分析家は、スターバックスが、より接ししやすい「カジュアル」なブランドに位置付けられる一方、ブルーボトルコーヒーはちょっと気取った(スノッブの)ニッチ*・ブランドにポジショニングされると結論づけています。この意味で、スターバックスは中流層向けの市場における日常のコーヒーと把握できますが、ブルーボトルコーヒーの現在のポジショニングの特色はどのような点にあると考えますか。

*ニッチとは、特定の需要や客層をもつ小さな市場のこと。大手の競合企業が参入しにくいという意味で、「隙間(すきま)市場」とも呼ばれる。


ブルーボトルコーヒーのポジショニングは「スノッブ(気取った)」だと思わない。そうした表現を使う戦略の専門家は、有名な大学を卒業したが、この産業で働いたことがないのではないだろうか。そうしたイメージが私には浮かぶ。

私はあまり時間をかけて、スターバックスや他のコーヒー会社のことは考えたことはない。それよりも、私は、多くの時間をかけて、私が作りたい商品について思考している。

楽しい物理的な環境(カフェ)で、おもてなしの気持ちをもち、フレンドリーで熟練した技能をもつ人間が提供する美しいコーヒー。そうした体験をつうじて、どのように私たちの顧客に驚かせ、喜ばせることができるかを常に考えている。

あなたが示した「スターバックスを、中間層の市場における日常のコーヒー企業として捉える」とい表現は正確だと思う。もちろん、それはスターバックスの経営上の課題だろうから、それについて私はコメントすることは差し控えたい。

私は、最高のエクスペリエンス(体験)を提供することに関心を持っている。私の関心は、最高に美味しいコーヒーを最高のおもてなしで提供することだ。そして、そうしたコーヒーを最も美しい場所で、様々な人々に提供したいと思っている。

顧客は、それを目にして、またはそれを体験するまで、一般的に何が本当に欲しいのか分からないと私は思う。

ブルーボトルコーヒーを創業する前に、市場調査で次のような質問をしたら、誰も「はい」とは答えないだろう。「あなたが好きだというより焙煎の薄いコーヒーが飲みたいですか?」「そのようなコーヒーを飲むために通常により長い時間を待ちたいですか?」「そうしたコーヒーに、普段より少し高いお金を払いたいですか?」

だからこそ、私は、自分たちの基準に沿って事業を展開したいと思う。もちろん、私たちは顧客の声に耳を傾けたい。そして、顧客が(そのときは)大好きになることを知らなかった何か(最高に美味しいコーヒー)によって、顧客を驚かせ、喜ばせることに、より大きな関心を抱いている。

8 別のインタビューで、あなたは、品質が改善していないのなら、品質は確実に低下しているという信念のもとで、絶えずその改善に挑んでいると述べています。コーヒーの品質を継続的に改善するために採用しているプロセスを説明してください。

私たちのプロセスは原産地からスタートする。当社のコーヒーのバイヤーは様々な国を訪れている。そのような国で、コーヒー豆の栽培農家と長期的な関係を維持している。

原産地で、コーヒーを試飲し、土地の状況を観察する。そうした観察項目には、コーヒーの木と実の状況だけでなく、労働環境、医療体制、学校の存在、上水の状況も含まれている。コーヒー豆の質の出発点は豆の原産地である。そのため、コーヒー豆が栽培される地域を徹底的にチェックしている。

コーヒーの購入契約を締結したのち、供給業者は私たちに試飲用の豆のサンプルを送ってくる。ちなみに、「カッピング」(cupping)とはコーヒー業界の専門用語であり、厳しい管理のもとで、コーヒーを試飲することを意味する。そのカッピングを点数化し記録する。

それから暫く後に、実際の豆が当社に配送されると、それを試飲し点数化して、最初のサンプルと比較している。そうした作業によりコーヒー豆の標準値を定める。それから、毎日、コーヒーを入れるたびに、それを試飲し、1~100点にいたる尺度で評価している。これがカッピング・スコア(試飲点数)と呼ばれるものだ。

これに加えて、「TTI」(True to Intent 意味:希望に沿う度合い)スコアも付けている。そこでは、1~5点にいたるまでの尺度を採用し、どの程度、コーヒーの味などが私たちの予想通りになっているかを計測している。

もし、私たちがエスプレソ用に焙煎しているブラジル産の豆に対して、ケネス(Kenes)用に焙煎しているケニア産の豆と同じ基準を設定すると、それは同一条件の比較にはならない。しかし、私たちがこのTTIスコアを、すでに記録していた点数と比較すれば、どの程度私たちの希望通りになっているかが評価できる。

仮に、TTIスコアが3.75点より低下すれば、そのコーヒーは顧客に販売しない。その場合、在庫から取り出し、焙煎し直す。もし、TTIスコアが3.75~4.25点の間なら、2回試飲し、希望通りになっていることを確かめる。私たちはTTIスコアが4.25点より高くなることを目指している。当社は、すべてのマーケットにおいて、焙煎するすべての豆に対して、この評価を行っている。

毎月の終わりに、私は品質管理の部門長と一緒に、TTIスコアを確認する。TTIスコアを参照しながら、豆を在庫から取り出すかどうかを見極める。同時に、前月と比べて、取り出した量が増えたか減ったかの境界線のどちら側にあるかを確認している。

くわえて、特定のコーヒー豆が問題を引き起こしているかどうか、倉庫で保存の効く時間が希望どおりか否か、を決定する。顧客に提供するときに、コーヒーが最も美味しくなるための基礎的な品質をコーヒーが維持できない可能性もあるので、こうした確認作業が必要となるのだ。

当社では、全社員が過去のTTIスコアを遡りそれを確認する方法を知っている。店舗レベルでも社員は品質を確認できる。仮に顧客が喜ばないようなエスプレッソが提供され、バリスタがその原因究明に苦しんでいるとしよう。そうしたケースでは、私はいつでもその日付に焙煎された豆のデータを確認できる。バリスタは、その後、そのコーヒーを使用豆から取り除くことができる。

私たちは、現在、大量のデータを収集している。むしろ、データ量を減らす方法を工夫しなくてはならない。そのプロセスは骨の折れる作業だが、私たちの焙煎と精製の継続的な評価を可能にしている。仮に、顧客への提供前に、質の悪いコーヒーを検出し使用豆から取り除くことができれば、私はワクワクする。そして、TTIスコアが改善しても、(喜びで)ワクワクする。

9 あなたは、自分が見てきた他のビジネスプランにはマーケティングやブランディング戦略が取りまとめられているが、商品の説明が不十分なものが多いと述べています。あなたは、商品に焦点を当てる重要性を強調します。そうするために、具体的に、どのようなアドバイスをしますか。商品設計または商品プロトタイプ*のシステムにしたがっているのですか。

*プロトタイプとは、新商品を実際に発売する前の段階として、その不具合を確認したり修正したりする目的で作成される試作品のことをいう。


ブルーボトルコーヒーの商品はコーヒーである。実際、カプチーノの「プロトタイプ」は作れない。できるのは、ただエスプレッソを抽出し、ミルクを蒸気処理することだけだ。このプロセスのために、継続的に商品を改善・洗練することを目指し、コーヒー豆のブレンド(組み合わせ)の調整を試す制度を設けている。

当社の中心的なブレンドの一種は、ヘイズ・バレー・エスプレッソ(Hayes Valley Espresso)と呼ばれるブレンドだ。私たちは、そのブレンドのいくつかのポイントを改善したいので、店舗のひとつで、一週間試す。そのブレンドが実際のカフェの環境で、どうなるかを確認したいのだ。

そしてサンフランシスコのベイ・アリア内で、規模のより小さい店舗で限定的な試験販売を実施する。それにより、実際のコーヒーがどのようになるかを検証することができる。

もっと広い意味でいうと、私たちは、カフェの基本的な運営項目をプロトタイピングしている。平凡に見えるが、私たちは調味料バー(condiment bar)のプロトタイプを試している。ナプキンはどこに置けばよいか。調味料バーの最初に並べるべきか。最後に並べるべきか。

12オンス(355 ml)と8オンス(237 ml)のカップの蓋がある。顧客の3分の2が12オンスンスのコーヒーを注文する。このため、12オンスの蓋を、8オンスの蓋に比べて、より顧客に近い場所に配置する。そうすれば、顧客がうっかり間違った大きさの蓋を取ることは少なくなり、顧客の動きをスムーズにすることができる。もちろん、顧客も喜ぶだろう。

ごく日常的に見える調味料バー(置き場)に関する項目であるが、議論したり、洗練したり、試したりする細かい点がたくさんある。こういう実験は、ベイ・エリア(サンフランシスコ湾)のより小さいカフェで実施される傾向がある。なぜなら、私や本社のスタッフが実際に現場へ行き、改善の効果を実際に検証できるからだ。


10 あなたは2012年に19.7百万ドルの資金を調達し、2014年は25.8百万ドルを調達した。資金提供者は、オープンソースのプログラムソフトウェア会社、「ワードプレス」(WordPress)の創業者マット・マレンウェッグ(Matt Mullenweg)*、作家、いくつかの技術系新規企業の共同創業者、「バードマン」と呼ばれるスケートボーダーの神、トニー・ホーク(Tony Hawk)など、多様な投資家で構成されています。明らかにそうした投資家はブルーボトルコーヒーが投資に価する事業だと信じています。それはなぜだと思いますか?ブルーボトルコーヒーの何がこんなに多様な投資家を魅了していると思いますか。

*マット・マレンウェッグ氏は、米国の実業家。マレンウェッグ氏は、かつて、故スティーブ・ジョブズ氏やジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)、スティーブ・バルマー氏(マイクロソフト社元最高経営責任者)に並んで、「インターネットで最も影響力のある25人」(ビジネスウィーク誌)のなかに最年少で選ばれたことがある。


当社への資金提供者はみな有能な投資家であり、同時に魅力的な紳士たちだ。彼らは、もともと、規模の拡大が可能で、魅力的で、さらには意味のある事業に対して賢明な投資をしたいと希望している。

投資にあたって、自分の財産のすべてをハイテク株に注ぎ込むことは得策ではない。すべての人々は分散投資のポートフォリオを持つことを望んでいると思う。これらの投資家はブルーボトルコーヒーのことをよく知っている。規模の拡大が可能な事業プランに存在する機会を認識している。彼らは、ブルーボトルコーヒーが事業規模を拡大することが可能だと考えている。

11 日本では、ドトールコーヒーとサンマルクカフェのような低コストのセルフサービス型のカフェ事業者にくわえ、コンビニも既に飽和したコーヒー市場に参入し、超低価格の100円コーヒーの販売に乗り出しています。なぜ、東京の清澄白河にある旗艦店が成功すると考えるのですか。東京都内と全国展開に向けて、現在、どのような戦略を持っていますか。他のカフェチェーンに比べて、ブルーボトルコーヒーの競争優位は何でしょうか。ブルーボトルコーヒーの競合企業はどこですか?

実は、私たちが成功するかどうか自信があるわけではないが、そうなるように願っている。前回来日したときに、100円のローソンコーヒーを飲んだ。驚くことに、1ドル相当の価格の飲料にしては、私が思ったより質が高かった。その価格で、(その価格水準としては)美味しいコーヒーを提供することは何らかの神業に近い。厳しい経済的な制約の中で、魅力的な商品を生産するこのような日本企業を尊敬する。

アメリカと同じよう、日本においても、スターバックスが現在のカフェビジネスの道を切り開いた。彼らは当社のような企業が恩恵を享受している現在のマーケットを創造し、さらにマーケットを継続的に発展させている。

たとえば、日本ではスターバックスが最初の全席禁煙のカフェの一つとなった。顧客は優雅に見える環境のなかで温かいおもてなしの挨拶を受ける一方で、価格はそれほど高くない。

スターバックスが日本で達成したことは、コンセプトを検証し、潜在需要を掘り起こしただ。そしてそれはアメリカでも達成したことだ。同社は、数多くの顧客を啓蒙し、コーヒーに関する彼らの好奇心を引き起こし、コーヒーに対する期待を醸成した。

顧客がもつこうした好奇心こそ、当社のアメリカでの成功を導き出していると思う。「うん、このコーヒーは美味しい。他のカフェにはどのようなコーヒーがあるのだろうか?」スターバックスに行く1000人の中の1人はそのように考えるだろう。

こうした人々の存在が、スターバックスのコーヒーの作り方、質、おもてなしの水準を上回るという当社の機会につながる。東京でも、同じ機会が存在すると私は思う。

東京のブルーボトルコーヒーは他の外資系企業とは違う。なぜなら、合弁会社でもなく、ライセンシー(ライセンスを受けた)の現地企業でもないからだ。米国のブルーボトルコーヒーがブルーボトルコーヒー・ジャパンに100%出資している。

このため、日本での事業展開はブルーボトルコーヒーの個性・特徴をそのまま呈している。ブルーボトルコーヒーのアメリカの店舗の雰囲気になるように設計されたので、そうした感じになっている。

私が東京にいる間に、私自身が、アメリカに住んだことのある日本人にインタビューした。清澄白河店舗のためのコップに入った花を作る装飾担当の人材に適しているかどうか確認したのだ。

このエピソードは、当社が、焙煎工場、ペストリー厨房、コーヒー・バーで当社の商品の外見や手触りに関して、どの程度詳細にこだわるかを物語っている。当社の目標として、ブルーボトルコーヒーの「本物」の体験を日本でも提供したいと思っている。本物の体験を通して、顧客がブルーボトルコーヒーに関心を持ってくれることを願っている。

最近、東京の青山に新規に美しい店舗を開業した。とても楽しくなると思うこのプロジェクトについて、ワクワクしている。その店舗のビルが大好きだ。2月に清澄白河で開業したカフェ店舗が日本国内の本部として利用される。

今年の2月に続いて3月に開業したのが青山店だ。ここ数ヶ月は私たちの予想が正しいかどうか、日本の顧客がブルーボトルコーヒーに関心を持ってくれるかどうかを判断したい。私たちの判断が正しいことがわかれば、東京の他の地域で店舗を開業する機会を追求していく。

私たちの東京チームは3人の女性で構成されている。彼女たちは驚くべき才能ともった女性たちだ。ナミコ、アサミ、サキの3人。彼女たちが基本的にブルーボトルコーヒー日本を運営している。

彼女たちは、こちらオークランドを訪れ、私たちと一緒に長い時間を過ごした。私たちも、日本で彼女たちと一緒に長い時間を過ごした。ある意味では、彼女たち3人は(ブルーボトルコーヒー日本という)三脚チェアを支えている足のような存在である。

彼女らのもとで、東京の店長を採用した。スタッフには、流暢な日本を話す複数のアメリカ人もいる。その一人が、品質管理を担当し、もう一人が店長になり、3人目が主任のバリスタを務める。長髪で、ファッション用のタトゥーをしているかもしれないアメリカ人のバリスタ。そのバリスタが洗練された日本語を話す。

そうしたバリスタに対応されるならば、日本の顧客は驚くと同時に喜ぶと私は思う。日本人の顧客は、私たちが顧客側に近づこうと最善をつくしていることに気がつくだろう。

12 あなたは、以前のインタビューで、伝統的な日本の喫茶店に言及しました。そこから何を学びましたか。ブルーボトルコーヒーには、日本の喫茶店に特徴的な「職人」の心構えがどの程度反映させていると考えますか。

私は、日本の喫茶店(kissaten)で体験した完璧さへの献身的な姿勢が大好きである。喫茶店主たちは、従来から常にそのようにしてきた。これから将来もそうし続けていくだろう、

彼らの流儀(スタイル)は正しいと、私は絶対的な確信をもっている。私が好きな喫茶店の平穏で静かで穏やかな雰囲気が大好きである。まるで祖母の家を訪れているような、古風な感覚を覚える。そして、意味をもつあらゆる詳細な作法に目が行き届いている感覚が好きだ。

私の好きな喫茶店のひとつでは、店主がコーヒーカップを受け皿に置く前に、そのカップを暖めるように、ソーサー(受け皿)も暖める。こうした完璧さを尊敬する。一方で、私は、日本的な「喫茶店」のチェーンを展開したいとは思っていない。なぜなら、(アメリカ流の)もっと近代的な方法を取り入れることが大事だと思っているからだ。

先ほど、あなたは、日本人の職人感覚、彼らの工芸への献身的な態度について(質問のなかで)指摘した。私もそれは正しいと思う。

当社はカリフォルニア州のシリコン・バレー(IT産業とベンチャービジネスの中心)を拠点としている。だから、(シリコンバレー流の数値的な)「測定」という手法を利用する。

コーヒーを入れたら、秤(はかり)と温度計を用いる。それがブルーボトルコーヒーの企業文化の一部だ。同時に、コーヒーを提供する技巧のプロセスに対して献身的なアプローチをとる。

伝統的に、東京のコーヒーはかなり濃い。そして、東京のカフェは(コーヒー豆の)ブレンドを強調している。コーヒーの抽出の割合は高く、とても濃い。顧客は当社の抽出の手法になじんでいるが、味は少し薄く、抽出の割合はかなり低い。

日本で利用されている伝統的な特定のツール(道具)の使用法、手法、材料に対してブルーボトルコーヒーの流儀を適用していきたい。





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ブルーボトルコーヒー 創業者兼CEO  ジェイムズ・フリーマン

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ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)は、2002年にジェームス・フリーマン(James Freeman)氏によって創設された。現在、米国では、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスの3大都市圏で16店舗を展開(2015年2月3日現在)。コーヒー豆は、厳しく厳選され、焙煎したての新鮮で美味しいコーヒーと顧客へのおもてなしを徹底的にこだわることのがブルーボトルコーヒーのフィロソフィーと流儀である。

カフェ業界のApple『ブルーボトルコーヒーの流儀』

2014年1月14日(日本時間) インタビュー実施
実際のインタビュー(英語)はこちら!

1 サンフランシスコの美味しいレストランを紹介する日本語のブログも含め、様々なメディアがブルーボトルコーヒーを「カフェ業界のアップル社」と賞賛しています。アップル社に例えられるきっかけとその意味を何だと考えますか。ブルーボトルコーヒーはどのような点でアップル社に似ていますか。また、どのような点で異なりますか。

アップル社(Apple)は世界で一番の収入を上げている会社だ。ブルーボトルコーヒーがそうしたアップルに例えられることをうれしく思う。まず、どのように私たちがアップルと異なるのかを話したい。まず、当社の規模はとても小さい。アップルのように事業規模を拡大できない。その意味では、似ているところより、異なる点の方が多いと私は思う。

しかし、アップルと同じように、当社も注意散漫にならずにターゲットを絞っている点で、人々は評価してくれるのだと思う。私たちはコーヒーと顧客に集中している。それは、アップルが自社の顧客と技術に焦点を当てているのと同じだ。

また、アップルは外見上すべてをシンプルにしている。たとえば、アップルストアをとりあげよう。ストア内のテーブルは美しいカエデ材を使った家具に見える。しかし、セキュリティー機材、電源、インターネットの接続などの設備がたくさん入っている。そうしたもののすべてがテーブルの下にある一本の配線のなかに結びつけられている。その姿はとても「エレガント」だ。

私は、アップルのこうしたシンプルさにインスパイアされる。もしかしたら、そういった点が、ブルーボトルコーヒーがアップルと比較されてきた理由かもしれない。

2 ブルーボトルコーヒーというブランド名はどのように思いついたのですか。また、その意味を説明してください。

オーストリアのウィーンにあるザ・ブルー・ボトルは中央ヨーロッパの最初のカフェであった。当社のホームページにはその物語が掲載されている。典拠は定かではないが、戦争の英雄であるフランツ・ジョージ・コルシツキー(Franz George Kolshitsky)についての逸話がある。

1683年にトルコの軍隊がウィーンを包囲したときに、コルシツキーが、トルコの戦線に突き進み、ポーランド軍に支援の必要性を知らせることに成功した。その結果、トルコ人は、ウィーンから追い払われ、所持品を全部残して逃げ出した。地元の住民は、はじめトルコのコーヒー豆をラクダの餌に勘違いしたそうだ。

しかし、アラビアに住んだことがあるコルシツキーはそれがコーヒー豆であることを理解していた。伝説によれば、コルシツキーはウィーン市長からもらった報奨金でそれらを購入し、それをもとにしてザ・ブルー・ボトルを開業した。

ちなみに、包囲後に紹介されたクロワッサンも、この物語のなかの面白い外伝である。ウィーンのパン職人たちは、トルコの国旗にある三日月の形になぞらえたパン、つまり「クロワッサン」を発明し、それを貪るように食べてトルコに対する勝利を祝ったそうである。

3 あなたは、2002年頃、最初のコーヒー豆をオークランド市のファーマーズ・マーケット(農家市場)で販売しました。それ以来、ブルーボトルコーヒーはいくつかの都市に店舗を拡大し、大きく成長しました。その間に、ブルーボトルコーヒーは組織の力学や運用でどのような変化がありましたか。あなたはオーナーではなくCEO(最高経営責任者)になった今、どうやってあなたの「完全主義」の基準を維持しているのですか。

CEO(最高経営責任者)を務めるとともに、私は、依然オーナーの一人でもある。もちろん、100%のオーナーであろうと、0%であろうと、直面するチャレンジの内容は変わらない。基準についてのあなたの質問に答えれば、「維持する」ことは選択肢ではない。基準を維持するという考えは「作り話」だと思う。コーヒー豆の供給源と豆の処理を継続的に改善することを通じて、クオリティーを向上させることができる。

それができなければ、必ず悪化してしまう。こういう理由で、私は「維持」の代わりに、「改善」することを常に考える。今回の資金調達が可能にする贅沢の一つは追加資金で「品質」に投資できるようになったことである。当社は、環境に優しい豆に関わる調達部門や研修部門で品質管理に携わる人材を増やすことができた。言いかえれば、顧客には、この投資を目で確認する前に、当社のコーヒーとして味わってもらったことになる。

私は来年のコーヒーを今年よりも良いものにすることに関心を持っている。会社全体で、継続的に改良と改善に集中してもらいたいと思っている。過去1年間だけをみても、私たちはすでに品質管理担当の社員数を2倍にし、コーヒーの試飲回数(カッピング、テイスティング)は3~4倍に増やしている。

また、環境に優しいコーヒー豆を購買するスタッフも2倍に増やし、現在、コーヒー豆の原産地の外国を訪問するために以前より3~4倍のマイル数の距離を出張している。さらに研修の講師を増やし、研修カリキュラムを改訂し、人材教育部門を完全に作り直した。近いうちに、その新しい研修を導入する。それに向けて、現在、教育担当の部門長と一緒に協力しているところだ。

ある意味では、私は、かつてないほどに、事業全体をコントロールできる立場にあると感じている。なぜなら、今説明したような品質に対する投資をする余裕があるからだ。たとえば、私たちが買収した(ロサンゼルスを代表する)ハンサム・コーヒー(Handsome Coffee)出身のマイケル・フィリップス(Michael Phillips)氏が、今、研修教育全体を統括している。

ハンサム・コーヒーには、当社のなかにコーヒーの改善活動を植えつけるために活用できるチームが存在した。そのためにハンサム・コーヒーを買収したのである。このように、私と他の投資家にとって、会社が成長するにともない、ブルーボトルコーヒーの商品であるコーヒーを改善し続けていくことが、優先の課題なのだ。

4 ハンサム・コーヒーの買収の動機を教えてください。

当社は、ロサンゼルス市に事業を拡大しようと思っていた。しかし、規制や制限のため、コーヒーの焙煎工場を設置することが困難だった。

今回の買収の動機には、このような設備と不動産、そして素晴らしい人材チームを獲得したいという希望も含まれている。さらにロサンゼルスという魅力的な場所も買収の決定要素であった。ハンサム・コーヒー側の受容性(買収提案の受け入れ)を含め、関係し合う多くののことが買収の理由だった。

もちろん、ハンサム・コーヒー側も変化することに対して前向きだった。これらの要素を踏まえると、買収の判断は自然な帰結だった。

5 ブルーボトルコーヒーを創業したときに、どのようなチャレンジに直面しましたか。そうしたチャレンジをどのように克服されたのですか。

今現在においてもチャレンジ(課題)に直面している気がする。そもそも私はクラシック演奏家(クラリネット)としてキャリアを始めたので、ビジネスにあまり詳しくなかった。もちろんコーヒービジネスにも詳しくなかった。

一方で、私は、個人的に好むコーヒーの種類を知っていた。そして、そういうコーヒーを作りたかった。なぜなら、他の人もそうしたコーヒーを楽しむだろうと思ったからだ。もちろん、会社に関するビジョンと店舗ネットワークの成長、規模の拡大に関する課題は現在でも続いている。

私のキャリアにおける課題の多くは私が知らなかったことを学習することに関係している。人間に関することを学び、どのように人と接したら良いか、人が何に関心を持ち、何を欲しいと思っているか。そして、不動産に関すること。

毎年、私の仕事はその前の年と内容が異なっていると感じている。毎年、再スタートしている気がする。こうした感覚から、ときには疲れを感じるが、ワクワクする側面もある。それが、私が好きで選んだ人生である。

6 現在の奥様であるケイトリンは、当初、オークランドのファーマーズ・マーケットであなたのコーヒー販売をサポートするために密接に事業に関わりました。投資家から資金提供を受け、あなたがCEOを務める現在のブルーボトルコーヒーには、現在、ケイトリンはどのように関わっているのですか。

彼女は、まだ主任パティシエであり、調理担当のディレクターである。そのため、ブルーボトルコーヒーのペストリー(ケーキなどのスイーツ)のレシピを開発し、パン・ケーキ担当のマネージャーに作り方を指導している。

くわえて、新商品の導入のために、ケイトリンはマネージャーと協力している。デザイナーと協力して、適切なラッピング方法を開発し、店舗で販売している商品作りに密接に関与している。ブルーボトルコーヒーのカフェのあるすべての地域の焙煎工場にはペストリー厨房がある。なぜなら、私はカフェで販売するすべてのものが自社で作られた商品であってほしいと思っているからだ。

伝統的には、カフェは外部のペストリー業者から商品を仕入れてきたが、その方法は間違いだと私は思っている。外部の業者が提供するペストリーはそんなにおいしくないことが多い。私は美味しいペストリーが好きなので、自分のところで作っている。

ケイトリンは空間に関する感覚にも優れている。さらに、色彩感覚も優れている。私たちのカフェでは白いペンキが好きで使用している。そのため、適切な白いペンキの種類を選ぶ場合、彼女の判断に頼っている。ほとんど毎日、彼女の洞察力に頼っている。この意味でも、私は最良の相手と結婚できた。



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このブログは、ジョーが執筆し、皆様にお届け致します。ジョーことジョセフ・ガブリエラ は、2000年に来日したアメリカ人。格闘技ファンなら誰でも知てる、K-1ファイターのアンディー・フグ氏にそっくり!1989年米国ワートン・スクールを卒業。その後ペパーダイン大学を皮切りに、イリノイ大学、南フリダ大学を卒業。MBAを含め2つの修士号と博士号を取得しました。日米合弁IT関連企業、スイス系証券会社、米系銀行、そして日系外食企業など幅広い業界の勤務を通して様々なビジネス経験を積みました。趣味は、水泳、読書(村上春樹氏の大ファン!)、ピアノ、そして様々な国の言葉を勉強する事です。ちなみに、2年前から新たに中国語勉強に励んでいます!この記事についてのご質問、感想、また意見を歓迎します。また、共同研究者である杉本有造氏とともにコンサルティング業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。

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「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」の目的
皆さんのビジネスリーダーとしての知識欲をさらに刺激するために、毎月、2回の頻度で、「アメリカ・ビジネスの最前線」を主な対象にして、「アメリカ・ビジネスでいま何が起こっているのか」「どのような最新技術に注目が集まっているのか」「日本や日本製品はアメリカでどのように評価されているのか」といった点について、アメリカ人としての見解を掲載します。日本のメディアでは、日本人による単一的(あるいは一方的)な見解が主張される傾向が強いように思えます。このブログ記事では、「世界には多様な考えがある」ということを日本の読者に具体的なテーマで知ってもらうことを意識しています。日本や日本人に対する外国人の見解、考え方を知ることで、読者自身の世界観を広げ、最終的にはビジネスチャンスにつなげてもらえればと願っています。とりあげてもらいたい「旬の話題」や建設的なご提案など、お気軽に著者までご連絡いただければ幸いです。

ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
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ニコラス・エプリー博士
シカゴ大学ブース校(経営大学院)教授。組織心理学を担当。
コーネル大学 (心理学博士)。

「人の心は読めるか?」
米シカゴ大の有名教授が語る。



ハーバード大学、シカゴ大学の准教授を経験。近著に『Mindwise』(邦訳『人の心は読めるか?』(ハヤカワ・ノンフィクション)。同書の日本語版は「日本経済新聞」の2015年2月15日付の書評にも取り上げられている。ニューヨークタイムズ紙にも多数寄稿。『世界の経営大学院の40歳以下の優秀教授40人』(2014年)に選ばれる。



5. ご存知かもしれませんが、日本政府が最近、長い間固定されていた5%の消費税率を8%まで引き上げ、近い将来、更なる引き上げを計画しています。もしあなたが日本政府のコンサルタントだったならば、全体的に経済を刺激する最終的な目標を達成するために、政府がこの税金をどのように言及し説明したらいいかについて、あなたはどのような提案をしますか?

これは、消費税に関して、人々の感情をどのように変えるかその方法についての質問なのか?そうした理解でいいか?


追加質問: 日本政府が、国民に対して税をうまくアピールすることを助け、税収を増加させ同時に経済を刺激するという対立する目標を同政府が達成するために、あなたのプレーミング効果に関する研究成果を適用する方法はありますか。

私の助言のほとんどは文脈に依存しているので、(政策の実施には)あなた方の知恵が重要となる。私が公共政策立案者ならば、私が実施しようと考える措置として、私たちがアメリカで行った研究結果を利用するだろう。これらの研究結果は、政府の政策に関するものであった。まず2001年、続いて2006年にブッシュ政権は所得税の減税措置として払い戻しを実施した。国民が、自分が支払った税金の払い戻しを受け、それを消費にまわすことで経済を刺激する。そうしたことを期待した措置だった。政府は国民に所得税の一部を返却した。これらの政策は、景気刺激策の一環として計画されたものだった。この政策は、人々がお金を持てば、それを使うという簡単な哲学にもとづいていた。政府は、消費をしてもらうために国民にお金を与えた。問題は、その政策が、国民に対する「税金の還付」(tax rebate)プログラムと名づけられた点にあった。この表現は、より多くのお金を持つという感覚を誰にも与えなかった。それは、まるで自分のお金を取り戻したという感じであった。この政策は、国民に、愛国心の視点で思うがままにお金を使わせるような方法では発表されなかった。実際、国民は、この還付金を貯蓄にまわした。どの還付金に関して、どうやって数字を解釈するかにもよるが、実質の貯蓄率が負だった時期に、アメリカ国民はその還付金の約80%を貯蓄にまわした。当時、平均として、アメリカ国民は、自分の収入よりも多くのお金を消費していたにもかかわらず。

もし私がその当時の政策担当者であれば、消費の拡大を促進するように、還付金の異なった払い戻し方法を工夫しただろう。たとえば、連邦政府は国民の愛国心に訴えることができただろう。政府は、「Economic Upturn Weekends」(経済回復のための週末)を設定し、経済を刺激するために、所得税還付金を使うように奨励できたであろう。この場合、マーケティングの専門家を容易に活用できただろう。マーケターは絶えずにこういう課題を考えている。マーケターなら、愛国心をある程度刺激し、この還付が消費を刺激するために実施された感覚を醸成する方法で、政策担当者がこの減税措置を発表することが可能にできたであろう。「ある特定の方法で、この還付金を使うことにより、アメリカを改善しよう」というように。

日本の消費税に関するこの質問は、実は、その文脈に詳しい人々が熟慮する課題である。日本の消費者のプライドに訴え、彼らがお金を消費に回すことよって経済を刺激するように誘導する方法で、この消費税を表現することが可能だろうか。「この税金の意図は国民に害を与えるものではない。私たち国民のすべてを支援するものである」。私なら、絶対に「消費税」とは言わない。たぶん「日本再生計画」と名づけただろう。あるいは「経済刺激計画」という簡単な題名でも十分かもしれない。

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6. あなたは、anthropomorphism (anthropo = 人間のよう、morphism = 特定の形をとっている、意味:人間の性質を与えること)に関する研究論文をいくつか共著した。具体例を挙げて、この専門用語を解説してください。

アンスロポモーフィズム(擬人化)とは、単に、人間に類似した特徴を人間以外の物体に付与することである。ほとんどの場合、心理学的には、人間のような心・考え方を無生物に付与することと定義される。もし、通りにいる人に、人間を決定付ける特徴は何か、つまり、チンパンジーまたは犬、猫、そして木と人間を差異化しているものは何かと尋ねれば、人間には「二本の腕」または「二本の脚」があるという返答はしないだろう。質問された者は、そうした質問に対して身体の部位には言及しないだろう。その代わりに、人間の心に関するものについて話すだろう。私たち人間は考えることができる。私たちは感情をもっている。私たちはより洗練されたた嗜好と好みを持っている。私たちは推論能力がある。このような考え方は、哲学者ジェレミ・ベンサム(Jeremy Bentham)とイマヌエル・カント(Immanuel Kant)に遡る。二人の哲学者は、同じような議論を展開した。

私たちが擬人化を研究するときは、擬人化を、人間のような心を非人間に与えることと定義している。たとえば、あなたの車が考える能力があると想定することである。その車には知性があり、周囲で何が起こっているのか知覚できると考えることである。これらのすべてが擬人化の例である。私たちは、GM社が資金を提供した研究を行いそれは最近出版された。アダム・ウェイツ(Adam Waytz)とジョイ・ヘフナー(Joy Heafner)と私の3人でその研究を行った。私たちは、自動走行車の擬人化が人間のの信頼感にどのような影響を与えているかを研究した。エンジニアにとっては、これは難題である。自動走行する自動車が存在し、そのハンドルの前に喜んで座ってくれるドラーバーがいる必要がある。これは本当に大きな課題であるが、工学的な課題ではなく、心理的な課題である。あなたは、ドライバーたちにこの機械(自動走行車)を信頼してもらうようにしなければならない。

私たちは被験者にハンドルの前に座ってもらう実験をいくつか行った。しかし、自動走行車では、シミュレーター(模擬実験装置)を用いた。そのシミュレーターはかなりの程度本物に近いものであり、被験者が事故に巻き込まれたとき、強い恐怖感を体験した。そのシミュレーターはかなりの程度本物に近く、没入型(実体験型)の装置だった。実験では、被験者に3つの違う条件を与えた。第1のケースでは、被験者は自動走行車を普通のクルマのように運転した。被験者はハンドルやブレーキーなどを操作した。第2のケースでは、被験者はクルマに乗車した。そして、被験者は自動走行機能をオンにして、自動車が自動走行した。

第3のケースでは、これが擬人化された状況であるが、私たちは、参加者にクルマを擬人化させることが可能な機能を付け加えたのである。つまり、クルマが思考でき、知性をもち、計画にもとづいて走行できるものだと被験者に信じてもらう特徴を付け加えた。計画とは、知的な能力であり、私たちの頭脳が行っていることである。その機能により、被験者が自動走行車はクルマ自体の行動を制御できると信じることにつながると、私たちは考えた。私たちは自動走行車にアイリスという名前をつけた。私たちは自動走行車に被験者と話せる人間の声の機能をつけた。この機能により相互のコミュニケーションが可能になった。他の実験では、人が心を持っていることを認識するうえで、人間の声が本当に重要であることが分かった。仮に、あなたが話しているのを聴くことができ、それがまったく同じ内容でも、私が単にあなたが話した内容を読んだだけの場合に比べ、あなたを、より思慮深く、より道理をわきまえ合理的な人間であると私は判断する。声は、この判断にあたって、決定的な特徴となる。この自動走行車は、抑揚や高さの変化も含め、本当の人間の声で被験者に話しかける。こうした声の特徴は冷静さを伝えるためには不可欠となる。抑揚のない単調なコンピューターの声とは異なり、本当の人間の声の機能をクルマにつけた場合、人間はクルマに対してより信頼を寄せることを発見した。被験者である人間はクルマがより安全だと感じる。この場合、被験者は運転しているとき、よりリラックスできる。特に自動車事故のようなストレスのある出来事(イベント)に巻き込まれるときに、それが顕著になる。

この実験では、最終的にすべての被験者が事故に遭遇することになった。すべての被験者が同じ事故を体験するために、私たちはその状況を作り上げた。この場合、自動走行車が他のクルマに確実に衝突される必要があった。その事故は他のドライバーのミスで引き起こされた。すべての被験者に同じ事故を体験させることにより、私たちは実験を制御できた。私たちは、被験者に対して、その事故の発生が、クルマ自体やそれを設計したエンジニアにどの程度起因するのかと考えるかを質問した。被験者が、自動走行車を擬人化し、それが考える能力や知性をもっていて、周囲の環境や計画を感知することができるとみなした場合、クルマに責任を帰する傾向が最も低いことが明らかになった。もし自分の自動走行車が考慮深く、考えたり感じたりでき、他人が引き起こした事故に巻き込まれた場合、事故の原因はあなたではなく、明確に相手にあることになる。私たちが車を擬人化したときに、被験者は車を人間に近いものとして扱うことを発見した。被験者は、車をより高い知的能力をもつとみなした。

私たちは、この知見が、技術を擬人化することに伴う数多くの示唆のひとつだと思っている。スタンフォード大学のコンピューター・サイエンスの研究者である故クリフォード・ナス(Clifford Nass)は、長い間この現象を研究した。彼は、『The Man Who Lied to His Laptop』(直訳:自分のラプトップにウソを話した男)という題名の素晴らしい本を執筆した。あなたの(ブログの)読者がこのテーマに本当に関心を持てば、手にとってみることを勧めたい。彼は、たくさんの興味深い、擬人化に関連した調査結果を説明する。人間が技術と交流するとき、人間が頭の中にある交流はこう行われるべきであるというある種のモデルに基づいて、行動していることを認識することが、エンジニアにとって重要であると私は思う。一番使いやすく、採用しやすいモデルの一つは、人間のようなモデルである。私たち人間は、他人との交流に多くの時間を費やしている。仮にあなたが技術を擬人化すれば、人間が交流するときに観察する場合と同じように認識する。まず、エンジニアは、この事実をしっかり念頭に置くべきである。



7. 私が最近読んだウェッブ掲載の記事によれば、あなたは大学でフットボールチームのオフェンスラインマンをやっていました(そして最初の試合で鼻を骨折した)。選手としての自分の経験を振り返ったとき、スポーツ競技のような他の分野、特に、一対一の競争が中心であるテニスやボクシングで、あなたの「Mindwise の理論」をどのように適用することができるでしょうか。

スポーツは、どうして競争において成功するために読心術が不可欠なのかを示す最高の例である。フットボールのフィールド上で、私がアメリカン・フットボールをやっていたときに、他のチームメイトが何をしようと計画しているのか、そして相手のチームが何をやろうとしているのか完全に分かっていたならば、私たちはすべての試合で勝利していただろう。もちろん、技能の部分もある。あなたが何をプレイしようとしているのか分かったとしても、あるいは、あなたのプレイを予期し、それに対応する能力をもっていなければ、私は勝つことができないだろう。仮に、私が世界一のバスケットボール選手を相手にすれば、彼が何をやろうとしているのか正確に分かったとしても、私は負けるだろう。しかし、ほとんどのスポーツでは、(技術的な)能力は実際によく管理されている(つまり、技術的には多くの部分で対応できる)。

競争優位性は、他の要因に由来している。たとえば、相手選手が行動する前に、何をするかを先読みする能力のようなものだ。これは、相手の心が理解できる能力が大事だということを明確に示している事例である。多くのスポーツチームはこうした点を追求するべく多くの時間を費やしていると思う。「相手の心をよりよく見抜けるか。」こうした能力は、他の領域では、スポーツほど顕著ではない。人々は、競技スポーツとほとんど類似の要素をもつ分野において、こうした能力についてスポーツほどは14しない。交渉において、自分側だけではなく、相手側の価値も最大化しようと真剣に努力しているときが良い例だ。スポーツと同様、これらの領域でも、読心術は同じように不可欠となる。

そうは言っても、私は今倫理学の授業を教えている。授業の方法論は、哲学的、神学的、あるいは規範的というよりも、心理的である。主な課題は何が正しいか間違っているかではない。地球にいる人間のほとんどは、生い立ちに関係なく、何が正しいか間違っているかについてかなり常識的な感覚を持っている。私たちは、嘘をつくこと、盗むこと、騙すことが悪いことであることを認識している。心理学が倫理学の分野に貢献できるのは、この話題を検討する場合に行動学的なアプローチを提供することである。つまり、私たちは皆、これらのことが正しい、あるいは間違っていると認めているなら、いかに人々がもっと倫理的に行動させるように世界を設計するか、ということである。この授業は「Designing a Good Life」(直訳: 良い人生を設計すること)という名称がつけられている。この授業では、倫理観、道徳規範を哲学的な問題として捉えるではなく、むしろ、工学的または設計、デザインの問題として捉えている。これは心理学的な問題である。私はこれについて、いくつかの面白い知見をもっていると思う。授業には、現在、これが私の中心的な課題であり、もう一冊の本になる見込みがある。


いかに人間がお互いに誤解し合うかについて私たちがまだ理解しないことがたくさんある。とりあえず、私がこの本で説明した内容の多くの追加研究に取り組んでいるところだ。



追加質問:行動科学の影響により、米国のMBA(経営修士号)大学院生はもっぱら、数字的な分析を行う代わりに、ビジネスの心理的な側面をもっと真剣に受け止めるようになっていると思いますか?

心理学の分野は、現在、とても面白い時期にある。行動経済学とは、実は経済学に関するものではなく、むしろ、経済学に適用される心理学についてである。経済学者が自分の研究に心理学を盛り込もうと努力している、あるいは、心理学者が経済学の問題に関心を持っている。これは、非常に面白い学際的な試みである。ここアメリカでは、MBAのクラスで行動経済学の授業がますます提供されてきている。また、この話題について幅広く読まれた本もいくつかある。例えば、ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)の『Thinking Fast, and Slow』が例外的な好評を受け、広く売れている。

私の同僚であるRick ThalerとCass Sunsteinの共著の書籍『Nudge』(直訳: 人を軽くつく)も人気がある。

行動経済学は人々の生活に本当に影響を与えている。特に行動経済学の考え方が最も集中的に採用されているイギリスでは、 (それにもとづいて)政府が介入を行っている。アメリカでは、学生がより真剣に行動経済学を受け止めはじめていると思う。なぜなら、彼らは、行動経済学がもつ世界への影響力をより明確に観察しはじめている可能性が高いからだ。しかし、私たちは、「論より証拠」というスタンスに立つことが大切だ。人間を理解するにあたって、このアプローチの本格的な影響力を示すために、フィールドワークをもっと行わなければならない。人間関係の世界では、これはそんなに深刻な問題でないと思う。企業の世界でも心理学はリーダーシップや経営管理の課題を検討するときに、常に先端かつ中心的は役割を担ってきた。しかし、公共政策の領域では、心理学は脚光を浴び始めたところである。そのため、行動経済学がどの程度の影響を与えていくかまたは、MBAの学生が長期的にどのくらい評価していくのか、私は予測できない。この物語はまだ展開している最中だからだ。

(了)

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ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
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ニコラス・エプリー博士
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「人の心は読めるか?」
米シカゴ大の有名教授が語る。



ハーバード大学、シカゴ大学の准教授を経験。近著に『Mindwise』(邦訳『人の心は読めるか?』(ハヤカワ・ノンフィクション)。同書の日本語版は「日本経済新聞」の2015年2月15日付の書評にも取り上げられている。ニューヨークタイムズ紙にも多数寄稿。『世界の経営大学院の40歳以下の優秀教授40人』(2014年)に選ばれる。

1. あなたの最近の著書である『Mindwise』(邦訳『人の心は読めるか?』(ハヤカワ・ノンフィクション)を執筆する動機は何だったのでしょうか。

いくつかのことがこの本を書く動機になった。大きな要素として、大学院に進学して以来、20年ぐらいかけて、人はいかに他人を理解するかを研究していることがあげられる。私のキャリヤにおいてあるポイントに到達した。そのとき、我々が行っていた研究の影響をもっと拡大するために何ができるかを考えた。単に典型的な学術系の読者より幅広い人々に関心を持ってもらうために何かできないかと思った。この研究をもっと大きなものにふくらませることができると思ったので、本の執筆に挑戦した。

学者の仕事の素晴らしいのは、自分がしたいことが本当にできるところだ。もし、ある日、自分の研究を学者よりも幅広い人々に興味をもってもらうようにすると決めたら、それを試すことができる。それが本の執筆の動機だった。そして、個人的に、私は、もう一つ挑戦することがあればいいと考え、同時に、心理学の分野の視点から人々に役立つ研究結果があると思った。そして、これらを実行することよりも差し迫った必要性をもっているものはなかった。これらの2つの要素が一緒になって、動機付けとなった。



追加質問:著書『Mindwise』が高い評価を得ているようです。この反応に驚きましたか。

あなたのこの質問は興味深い。想像できると思うが、本の中でも説明されるように、著書の視点は観察者のそれとは随分異なる。観察者として、あなたは、この本が数人に褒められたことに気付いたかもしれない。私は、その称賛を非常に喜んでいる。本の書評を書いた真面目な人々から好評を得た。そうした事実にも喜んでいる。もちろん、著者として、私が得た批判にも極めて敏感である。それうした批判も少しばかり存在した。私が、総合的に好意的な意見を述べた書評を読み通すときに、仮にそのなかに一文の批判があれば、その批判こそが、私が記憶に留めるべき文章である。私の書籍に関する他人の反応に対する経験は、あなたが思うよりも謙虚なのもだといっていい。

人の心は読めるか?
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2. あなたの本では、人間の「第六感」、つまり、人の心を読み取る私たちの能力に関して、いくつかの研究を紹介し、人間はこの感覚が苦手だという結論に導いています。その根本な原因は何だと思いますか。なぜ、私たちの判断における「間違い」に関する認識が高まると、第六感が改善されるのでしょうか。

その質問はいくつかの要素を含んでいる。それぞれを順に取り上げる。第一に、あなたは、次のように指摘した。私自身が、私たち人間は第六感を活用することが苦手だと考え、その意見を本で示した。あなたの主張は、部分的は正しい。しかし、私の議論はもう少し微妙である。私たちがお互いに理解し合えないとは主張するつもりはない。さまざまな程度において、地球にいる私たち一人ひとりは、私たちが知っている限り、他の種にない能力がある。その能力とは、他人の心、意図、動機を考えることである。また、洗練された表現を活用し、他人に考えを伝え、気持ちを共有する能力でもある。

一般的には、この地球にいる他の種より、私たちは、それがうまくできる。それが、私たちが協力したり、競争したりする今のような巨大な「社会的集団」のなかで生活していける理由である。私たちは、非常に複雑な社会的環境で効率よく、しかも円滑に協力しながら働いている。私たちは、基本的なレベルにおいて、一般的にこれがかなり得意である。それに対する私たちの精度は、ゼロより高い。しかし、主な研究結果は、繰り返して、次の点を示唆する。つまり、私たちは完璧からほど遠く、私たちの社会的理解を改善する余地も多くある。他人とは、あなたが人生で出会う最も複雑なものであり、お互いにより良く理解し合う必要がある。

繰り返し行われた研究結果で明らかになったもうひとつの点は、次のことである。私たちがどんなに理解し合っていても、例えば、私の妻が誕生日のプレゼントとして何が欲しいか、私の子供たちの学校で何が行われているか、今日は彼らがどう感じているかなどに関して、私たちは思うほど、予想はできないということである。その主な原因は、能力の欠如、つまり私たちはこれができないということではないと私は思う。その理由は、自信過剰、謙虚の欠如である。つまり、私たちが実際理解し合っているより高い程度で私たちがお互いに理解できると思い込んでいる点にある。この自信過剰の根本原因は何か。主な原因は2つあると私は思う。私たちは、完璧に理解し合っていないという理由に焦点を当てる。理解し合う能力を生かすべきときに、それを使わないことに、「広範囲な間違い」が由来している。どんな能力にも、そうした点は共通する。その能力を意識的に活用しようとするときは、効率的にその能力をつかる。それは、目を閉じて歩くことにちょっと似ている。目を開ければ周りが見えるが、同時に目を閉じることもできる。そして、このとき、あなたは、かならずしも、ここで問題になっている能力を使っているわけではない。

他人の心に対する私たちの感覚も、同じように機能している。そうした感覚を使うべきすべての場合に、絶えず使っているわけではないのである。結果は、自分の目を閉じるような感じに似ている。目を閉じていれば、あなたのすぐ前のものが見えない。他人の心に関心をもたなければ、彼らの心が全然見えない。ときどき、その人には他人の心を読む力がないと結論づけるかもしれない。つまり、相手には心がないように思ってしまうのである。そして、そうした状況は、私たちが「dehumanization」 (非人間化)と呼ぶ現象をもたらす。そのとき、あなたは、相手の心にかかわり合っていないのである。

もう一種の間違いは、私たちが実際に相手の心に関わり合おうとしているときにおかす誤りによって発生する。例えば、今現在(このインタビューを受けている今)、私は、私たちが読心術者のように振舞うときに直面する問題を体験している。私は、あなたを見ることができないインタビューで、コミュニケーションを図ろうとしている。あなたは、こちら(私のいるところ)、つまり私の前にいるわけではない。あなたは、地球の他の場所(日本)にいる。あなたが、今日、このインタビューの前に、何をしていたかについて、何も分からない。あなたの生い立ちについてあまり詳しくない。私の本来の心とは、かなり異なった心に、複雑なことを説明しようとしている。私たちが他人を理解するために用いている方法のひとつは、自分の心を羅針盤として使うので、たとえば、それができないこのインタビューの状況は、大きな挑戦になる。

私は、裏も表も、すべてを知り尽くしているこの本について、あなたに説明している。出版する前に、4年間を費やし、本のことを考え、全ての詳細を検討し、執筆し、修正を行った。そのように、私はこの本を知り尽くしているわけである。その結果、実際にそうであるよりも、本の内容はあなたに明確であるという結論に導かれてしまう。私には本の内容は明確なので、あなたにも明確だと、私は思ってしまう可能性が高い。これは、私たちが他人の心を考えるときに直面する最初の困難を表している。これは、他人が私たちと同じように考える仮定のことをいい、「egocentrism 」(自己中心性)と呼ばれる。

第二の課題は、いったん誰かについてより多くを知ると、私たちは固定観念で見る傾向があるという点だ。私がシカゴからあなたと話している。私はアメリカ人。あなたは東京から話している。だから、あなたは日本人である。完全に正確でない方法で、私たちの会話に浸透しているアメリカ人と日本人はどういう人間かに関する既成概念がある。例えば、あなたが、ある人が保守派かリベラル派かのような政治信条について何かを学ぶと、その情報が(相手の心を読むことにおいて)偶然より高い確率の正確さを生み出す。

しかし、このような固定概念の問題点は、グループ間の類似点ではなく、相違点に焦点を当てる傾向があることにある。アメリカ人に関するあなたが抱いている固定観念は、アメリカ人のどのような特徴や属性が他国の人々と差異があるかである。どのようにアメリカ人が他国の人々と同じかについてではない。事実は、多くの類似点を共有しているにもかかわらず、この傾向は、私たちがグループ間の違いを誇張するようにみちびく可能性がある。私たちは皆、自分の子供を愛している。私たちは皆、おいしい食事や面白い経験を好む。私たちは皆、新しいことを学ぶのが好きだし、人生において何らかの自律の感覚を持っている。人間であることに由来する類似点の方が(相違点よりも)多いが、固定観念は相違点に焦点を当て、これらの類似点を見逃してしまう。この傾向は、ときには、私たちが、実際以上に個人間の相違点が大きいように想像してしまうことにつながる可能性もある。

例えば、読心術の分野では、女性と男性の間の違いに関するとても強い信念が存在する。女性は男性より社交性に敏感である。女性は他人の感情を理解する能力がより高いし、男性より、社交的手掛かりに敏感でもある。女性は、何がほしいか、何が必要と思うかをよりうまく把握できる。この固定観念には幾分の真実が含まれるが、その度合いは大きくない。統計的な効果でいえば比較的に小さい。全然相関関係のない相関係数「0」に比べて、「0.2」程度の相関関係に該当する。しかし、人々にジェンダー(性別の)効果を予測してもらえば、「0.2」ではなく、「0.8」程度を予測する。つまり、人々は男女の違いを大幅に誇張する。男性と女性はとても異なることを示唆する、とても人気あり国際的なベスト・セラーになった本がある。本のタイトルは『Men are from Mars, Women are from Venus』(『男性は火星から、女性は金星からやってきた』)だ。実は、(本のタイトルも示唆する)こうした固定観念が、男女の心の違いを誇張する傾向をもつ。

他人の心を理解するときの最後の課題は次のようなものだ。いったん私たちが相手についてもっと知り得たら、私がいつも私の大学院生と接しているように、相手の行動を長期的に観察できるようになる。もし、あなたと私が一緒に少しの時間を過ごしたら、あなたのことを詳しく知ることになる。私はあなたの行動を観察する。それから、そのあなたの行動を指針にして、あなたが何を考えているかを想像する。このときの問題は、行動が誤解を生むことである。なぜなら、私たちは行動を額面通りに受け止める傾向があるからだ。私たちは、その行動が発生した文脈を見逃しがちである。その結果、その行動が、本来の姿とは随分変わったように見える。

たとえば、もしあなたが、私はどのような人間で、どのくらい社交的か、または外交的かを把握しようとしたら、このインタビュー中の私の行動を参考にするかもしれない。私は話し好きで、かなりのおしゃべりである。とりとめなく、話し続ける。しかし、真実は、私はほとんどの場合、かなり内気である。この状況では、あなたがたが私をインタビューしていて、私の仕事は話すことだ。あなた方が質問をし、私が答える。行動に関する問題は、複雑なので解釈しにくいので、若干誤解する可能性があることだ。私の現在の行動は、私が今いる状況だけでなく私の性格の両方に依存している。私たちは、相互に理解するとき、状況を見逃し、観察している行動を重視しすぎる傾向がある。こうした傾向が、いくつかの間違いにつながる可能性がある。

ここまでの私の意見を要約すれば、他人の心を読むことを困難にする2つの大きな課題があると思う。その一つは、私たちがそうすべきときに、他人を理解する能力を必ずしも活用しているわけではないことだ。それから、(2番目は)、他人を理解し合うために踏むプロセスは、体系的な誤り(システマティック・ミステイク)を引き起こすかもしれない。そうした誤りは、(1)自己中心性、(2)固定観念、(3)相手の観察可能な行動への過度な依存に起因する。



3. 高文脈(ハイコンテクスト)言語*1をもつ日本やその他の国では、人々は自分の「心の内」を明確に話す傾向が弱いといえます。しかも、こうした国の場合、権力距離*2も大きいように思えます。このような国の組織において、直接的で、透明性の高いコミュニケーションを促進するために、どのようなアドバイスをしますか。アジア人と一緒に仕事をする西洋人に対して、どのようなことを勧めますか。

*1 言葉以外に情報や文脈の情報も伝達される文化が採用する言語。

*2  権力距離。権力格差。権力距離が大きい場合、たとえば社長と一般社員が顔を合わせる機会が少なくなる。


一つ考えているのは、従業員の中にオープンで率直なコミュニケーションを促すことで有名になっている組織が存在することである。たとえば、私の画面にあるあなたのスカイプ・イメージの後ろには、トヨタのロゴが表示されることに、私は気づいている。トヨタの企業理念は7つの柱から成り立っている。その一つが、継続的な改善、いわゆる「カイゼン」という概念である。トヨタはとても面白い事例である。同社が初めてアメリカに参入したときに、つまり、自動車生産の現地工場を立ち上げ始めたときの最初の工場は、GM社とのNUMMI (New United Motor Manufacturing, Inc.、ヌーミ) という合弁会社であった。NUMMIのプラントは、GMがその2年前に閉鎖したカリフォルニア州フリーモント市にあった工場であった。それは、GM社の業績が最悪の時期で、最悪の工場であった。その工場は本当に質の悪い自動車を製造していた。アメリカの自動車市場におけるGMの市場占有率はとても大きかったが、GM社は基本的にガラクタを生産していて、すべてのアメリカ人はそれを知っていた。そのなかでも、フリーモント市の工場は、全体の製品ラインのなかで最も質が悪く、GM社が閉鎖したものだった。


トヨタはアメリカに参入し、製造基盤をここアメリカで設立したかった。その代わりに、GM社は、トヨタからいくつか革新的な技術を得たいと考えた。その結果、両社はフリーモントの工場を再開することに決めた。アメリカの労働組合、具体的に、全米自動車労働組合の代表であるブルース・リー(Bruce Lee)は、この新規企業NUMMIがGM社の幹部を全員再雇用するように要求した。トヨタもGMもそうしたくはなかったが、仕方なくそうせざるを得なかった。さらに、基本的に一時解雇になっていた社員のほとんど、その90%を再雇用することになった。これらの再雇用者たちこそ、GM社の最悪の工場で働いていた労働者たちだった。

しかし、トヨタの経営管理原則はアメリカとは違う哲学に基づいていた。トヨタの経営幹部は、社員はいい仕事をして成果を出したいと考えていると基本的に信じていた。社員は、自分の仕事に対して誇りをもっている。彼らは、自分が遂行している仕事に対して、ある種の畏敬の念をもちたいと思っている。くわえて、彼らは、ある種の自律の感覚、そして自分の仕事が有意義だという感覚をほしいと考えている。トヨタの社員たちは、私が今朝、電車の中で話した看護師が自分の仕事に欠けているという感覚が必要だと考えた。GM社の経営幹部は、従業員とはどういうものかということについて、トヨタ社とは大きく異なった哲学をもっていて、それは数年間に及んだ経験にもとづくものだった。GMの哲学は、彼らの従業員は愚かで、お金(給料)をもらえるから単にそこにいる、というものだった。一方、トヨタの経営幹部は、社員は成果を出したい、そして、彼らの意見を聞いてさえしてあげれば、仕事の改善の方法を自発的に考えるという哲学を持っていたのである。

これはアメリカと日本の両国における多くの社会的場面に当てはまるかもしれないと、あなたが説明した、その「文化的固定観念」に反するような経営哲学だといえる。すなわち、トヨタには、従業員からのフィードバックに対して、管理職に心を開かせる経営哲学があるという事例だ。GM社には、自分の従業員から何も聞きたくないという工場の幹部がいた。その管理職は、社員が、自分の仕事についてどう考えているかをまったく気にしなかった。彼らは、従業員を機械の中の歯車として考えていた。「とにかく、自動車組立つラインに立って、仕事をしろ」というように。

一方、トヨタの経営層・管理職がやってきて、次のように発言した。「私たちは、従業員の考えていることや信じていることに配慮する。従業員は自分の仕事をどうやって改善するかを知っていることを私たちは認識していることを告げたい。そして、より質の高い工場を作り出す方法を従業員が経営幹部に提案する権限を彼らに付与する」。トヨタの管理職はこの理念を従業員に伝えた。トヨタの管理職は、工場の現場までおりてきた。そうした光景はGM社の社員は決して見たことがないと述べた。トヨタの管理職はいつも工場の現場にいた。さらに、のちに有名になったアンドン・コード(紐)という装置を導入した。それは、生産ラインを止めるために、従業員が引く紐のようなものだ。最初にその紐が引っ張られても、ラインが止まらない。2回目に引っ張られると生産ラインが停止した。従業員は、何か改善できそうなことや問題になりそうなことに気づいたら、この紐を引っ張った。このような環境、つまりトヨタが従業員のために創造してこの世界は、経営層の「カイゼン」への信念、そして従業員はいい仕事をすることを気にかけている人間だという認識によって推進された。それから彼らの従業員が自分の仕事をうまく遂行したい人間である気付に基づいていた。単に権限をあたえるだけで、従業員は自分の仕事を改善する方法を教えてくれる。

この合弁会社の成功は本当に驚くべきことである。かつて、この工場は、他の工場より多くの欠陥車を製造し、とんでもない欠勤率を記録し、薬物使用、男女問題など、生産性を低下させる想像可能なすべての要因に苦しんでいた。それが、再開1年以内に、GM社の工場の中で最高の工場に生まれ変わった。異なる環境と経営哲学のもとで、以前とまったく同じ管理職のもとで働きながら、欠陥車率と欠勤率は極めて低い水準になった。従業員は、仕事に大きな誇りを抱くようになった。業界アナリストの計算では、以前の工場なら、NUMMIと同じ生産量を確保するためには従業員数を50%増やす必要があり、その場合でも、欠陥車率はとても高かっただろう。

ここに貴重な教訓がある。管理職は、世界のどこの国にいても、心を開いた話し合いを促進できる。マネージャーまたは指導者として、自分の従業員が人間であり、最善を尽くそうと努力していて、おそらく自分の仕事について、マネージャーや指導者のあなたより詳しいことを認め、そして謙虚な気持ちを保ち、あなたにも分からないことがあると信じる。あなたがそうしたことを認識することが、従業員が正直に自分の考えをあなたに伝えられる場作りの出発点となる。地球のどこにいても、このトヨタの事例を念頭に置けば、従業員が自分の意見を述べることを可能するために、何をすべきなのか、理解できるだろう。

従業員側からいうと、これがもう少しい難しい問題になる。この場合は、あなた自身が本格的に、正式な権限を持っていない他人に対して、影響を与えようとしている。だから、どのような場所であっても、心を開いた話し合いをする機会を見出す必要がある。どこで、あなたの(ブログの)読者がその機会が発見できるかについて私には洞察がない。しかし、人は、おそらく自分が話したい話題を持ち出す機会を見つけられるだろう。人々はこうした会話の機会はどこにあるのか、また、どうのように利用すればよいのかを考える必要がある。これらの機会を活用し、遠慮のないオープンな話し合いを促進するために、私は二重の提案をしたいと思う。そのひとつは、あなたが話していることはおそらく現実ではないかもしれないことを認めることである。あなたが仕事に満足していない、または正当な報酬を受け取っていないと思うなら、それは(個人的な)認識の問題であって、その捉え方は従業員か雇用主かによって異なる。その結果、あなたは、謙虚な態度で、この話し合いの過程に対応する必要がある。

難しい話し合いのときに役立つもう一つの手法は、現状より将来に集中することである。たとえば、今現在、あなたが配偶者ともめていて、それについての話し合いを持ち出す方法を見出そうとしているとしよう。この種類の話し合いを行うのは難しい。まず、あなたの考えていることを表現することは難しい。そして、このような文脈のなかで、配偶者が自分の考えを吐露するのも難しい。なぜなら、防衛的なるからだ。この場合、標準的な方法は、現在の関係で何が起こっているかを話し合うか、またはお互いの関係のなかで過去に起きたことに集中することである。この方法は、人々を極端に防衛的にする。

こうした防衛的な態度を和らげるひとつの方法は、現在や過去について話さずに、将来について、オープンな話し合いを展開することである。配偶者のところに行って次のように語ることができる。「ちょっと聞いて。私は、生涯、君と一生にいることを約束した。だから、今後、20、30、40年間、つまり、死が私たちを分かつまで、なるべく良い結婚生活を送りたいと思う。これから先、そのような結婚生活を送れるように努力したい。現状はどうなっているか、私は心配していない。その代わりに、今後、5、10年間は何をすれば、最高の結婚生活を造り上げられるかについて一緒に考えたいと思っている」。あなたも配偶者もそれを望むので、将来のことに集中したら、現在の困難を話し合う手助けになるかもしれない。

こうしたことは、会社でも採用できる。上司に向かって次のように話すことができる。「聞いてください。私は、長くこの仕事がしたい。この会社は私にとって素晴らしい職場である。年月を重ねて、仕事面で卓越したいと思い、どうすれば良いかを本当に考えている。現在、私が、自分の潜在能力の最大限までを活かして仕事をしていないのではないかと心配している。今は、ここにいるが、2年後は私たちがそちらにいたい。その目標を達成するために、あなたと私で、そのための展開計画を作成しませんか」。未来に焦点を当て会話を始めると、心を開いた会話が可能となる。なぜなら、人々は将来に関しては防衛的にはならないからである。将来はまだ起こっていない。だから、将来についての意見、考え方を合わせるのは容易なことだ。あなたも上司も今後2年間にあなたが成功することを希望している。つまり、二人とも、同じ考え方を共有している。



4. ニューヨークタイムズ紙の記事で、あなたはフレーミング効果に言及し、「税金のリベート(払い戻し)」よりも「税金ボーナス」と呼ばれるときのほうが、税金の還付金のより多くの割合が使われると説明しました。どのようなときに、フレーミング効果が高くなりえるか。いくつかの具体例を挙げてください。

私たちの研究から、フレーミング効果の例を紹介しよう。それは、最近の日本の消費税増税に関するあなたの(次の)質問に類似する。それは数年前に実施した研究だ。その研究では、お金が異なった方法で表現されたとき、人々がどのようにお金を取り扱うか、あるいは使用するかを検討した。お金の使い方のような行動を研究する必要があるのかと奇妙に思えるだろう。なぜなら、お金は結局お金だからだ。しかし、面白いことに、人間はすべての金を同じように使っているわけではないことが明らかいになった。フレーミングとは、説明の仕方に依存して、どのように行動し、あるいはあるものまたは刺激をどのように扱い、評価するか、その単純な相違のことを意味する。たとえば、クレジット・カード税金とクレジット・カード課徴金は同じことだろう。しかし、税金と課徴金では違う響きがある。政府は、年末、経済を刺激するために国民に税金を還付できる。それは、私たちの政府(つまり、アメリカの連邦政府)が数年前に実施したことだ。政府はいくつかの異なる方法で、還付金を配布できる。たとえば、「税金の払い戻し」と呼べるであろう。つまり、政府はあなたが支払った税金を部分的に還付、払い戻している。あるいは、ボーナスとも呼べるだろう。

両方の用語(表現)は客観的に正しい。どちらの表現もその他の表現よりも真実に近いわけではない(つまり、両方とも同じレベルで正しい)。連邦政府があなたにお金を返している。それは、ボーナスである。しかし、政府はあなたが既に納税した税金からそれを返しているので、還付と呼んでもよい。両方ともお金である。ドルは、ドルであり、円は円、そしてユーロがユーロであるように。どのように表現しようとしても、お金はお金であり同じだ。しかし、呼び方を変えることは、人がお金についてどのように考えるかを変える。私たちが実験で発見したことは、人々は、還付された金を払い戻しと呼ぶ代わりにボーナスと呼んだほうが、そのお金を消費する確率がかなり高まったことである。その理由は、私があなたに払い戻し金を与えた場合、あなたはその金を自分が既に支払った資金が返金されているように理解・解釈する点にある。

まるで、私が通りであなたに近づき、肩を叩き、「これは私が道で見つけた金だ。もしかして、あなたの財布から落ちたものかな」のように話したような感じである。私は、その代わりに、「ここにお金がある。道で私が見つけたお金だ。あなたが欲しいだろうから、あげたい」ということもできる。どちらのケースでも、あなたの財産は、私があなたにあげた金額分増加することになる。前者の場合は、おそらくあなたは、財産が増えたが気がしないだろう。なぜなら、私が、単に、あなたが以前持っていたお金を返しただけだからだ。客観的な意味で、あなたの銀行口座の残高が増えたわけではない。

後者の場合、つまり、私が与えるお金をボーナスと呼んだら、あなたは以前持っていなかったお金をもらっている気分になる。繰り返します。どちらのケースでもあなたは同じ金額分財産が増える。だが、心理的に、感じ方が違う。もし余分なお金があれば、余分なお金がないと感じるときにより、その金を使う可能性が高い。私たちの実験では、お金をボーナスと呼んだら、払い戻し金と呼ぶときよりも、参加者はその金を使う確率が高くなった。実際、お金を使う確率は8倍高まった。これらのフレーミング効果は、私が見たことのある効果の中で最も大きな効果を示した例のひとつだった。参加者は払戻金を蓄えたが、ボーナスは使ってしまった。

これがフレーミング効果の一つの例である。フレーミング効果はほとんどどこでおこなうことができる。ある政策がない場合に失われる命の数に対して、その政策によって救われる命の数について話すことができる。たとえば、(摂取)カロリーに関して、国民がもっと健康的な食生活をしたいアメリカでは、大きな問題になっている。この場合、あなたが食べる肉が80%低脂肪だと表現してもいいし、脂肪率が20%と説明してもよい。両方とも同じことを表現しているが、あなたは80%低脂肪の肉を食べて、20%の脂肪率の肉を摂取しないだろう。両方とも客観的に同じ現実を描写しているが、それぞれの表現が極めて違うイメージを想像させる。あなたが評価している刺激になんらかの曖昧さ、または不確実さがあるときに、このようなフレーミング効果は最も大きな効果をもつ。あなたが食べている肉ははたして健康に良いのか。それは絶対確実ではない。それはあなたの説明の仕方次第である。80%低脂肪と呼べば、20%脂肪率と説明するより、健康に良い響きをもつ。

仮に何かがとても具体的なら、事実も明確である。そのような場合は、フレーミング効果があまり見受けられない。しかし、何らかの曖昧さのある状態がある。そうした状態は実際にかなり多い。私たちの実験において、お金の問題で、こうしたフレーミング効果が普通に見受けられる。お金は、ほぼ間違いなく、評価できる最も客観的なものである。1ドルは1ドル。1円は1円。1ユーロは1ユーロ。それらはすべて同じだ。それらは客観的な金額である。私が「お金」をどのように表現しても、あなたの持っているお金の量に影響はない。私が50ドルをあげる、または50円をあげるとしたら、あなたは客観的にそれがいくらかを計算できる。しかし、あなたがその金を使うかどうかの決定は曖昧なのである。その点で、フレーミング効果を見ることができる。

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このブログは、ジョーが執筆し、皆様にお届け致します。ジョーことジョセフ・ガブリエラ は、2000年に来日したアメリカ人。格闘技ファンなら誰でも知てる、K-1ファイターのアンディー・フグ氏にそっくり!1989年米国ワートン・スクールを卒業。その後ペパーダイン大学を皮切りに、イリノイ大学、南フリダ大学を卒業。MBAを含め2つの修士号と博士号を取得しました。日米合弁IT関連企業、スイス系証券会社、米系銀行、そして日系外食企業など幅広い業界の勤務を通して様々なビジネス経験を積みました。趣味は、水泳、読書(村上春樹氏の大ファン!)、ピアノ、そして様々な国の言葉を勉強する事です。ちなみに、2年前から新たに中国語勉強に励んでいます!この記事についてのご質問、感想、また意見を歓迎します。また、共同研究者である杉本有造氏とともにコンサルティング業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。

また、次のような「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」をテーマにしたブログも公開しているので、あわせてご一読いただければ幸いです。

「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」の目的
皆さんのビジネスリーダーとしての知識欲をさらに刺激するために、毎月、2回の頻度で、「アメリカ・ビジネスの最前線」を主な対象にして、「アメリカ・ビジネスでいま何が起こっているのか」「どのような最新技術に注目が集まっているのか」「日本や日本製品はアメリカでどのように評価されているのか」といった点について、アメリカ人としての見解を掲載します。日本のメディアでは、日本人による単一的(あるいは一方的)な見解が主張される傾向が強いように思えます。このブログ記事では、「世界には多様な考えがある」ということを日本の読者に具体的なテーマで知ってもらうことを意識しています。日本や日本人に対する外国人の見解、考え方を知ることで、読者自身の世界観を広げ、最終的にはビジネスチャンスにつなげてもらえればと願っています。とりあげてもらいたい「旬の話題」や建設的なご提案など、お気軽に著者までご連絡いただければ幸いです。

ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
東洋大学
gabriella@toyo.jp
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「世界のどこでも働ける日本人になろう」

「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!」

「Venture Into Japan」

杉本 有造  博士/MBA
IES全米大学連盟・東京センター
(The Institute for the International Education of Students, Tokyo)講師
gpmalibu@yahoo.co.jp

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