宇宙からのリーダシップ論(ジョセフ・ガブリエラ) | Pepmalibuのブログ

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宇宙からのリーダーシップ論

安倍総理が2007年に辞任したときには衝撃を受けました。当時の支持率でいうと、国民に高い評価を得ていなかったとはいえ、大地震の発生時に現職だった菅元首相と比較すれば、首相の職務としては容易な時期だったと思われます。

この関連で、「Adversity is the truest test of leadership」 (逆境はリーダーシップを試す本当の試金石になる)という格言を思い出しました。日本人の間には菅元首相の大震災対応に対して厳しい評価があるのは知っていますが、緊急時のリーダー論からいえば、状態が十分に安定するまで、辞任しなかった菅元首相の判断は適切だといえます。特に、日本の企業が不祥事に直面したとき、トップがすぐに辞任して事態を収拾させる最近の風潮は気になっています。

2012年に首相に再任された安倍総理の行動を見ると、彼は上記の格言の教訓を実践しているように思えます。アベノミクスを始め、たくさんの難問を抱えていますが、今回は、勇気を持って立ち向かっています。

安倍首相だけでなく、若田浩一博士も逆境からリーダーシップを学んだようです。子供の時から、宇宙に興味があったそうです。でも、当時、日本には宇宙開発プログラムはありませんでした。アメリカ人の男の子なら普通に考える「将来、宇宙飛行士になること」は、日本人の若田さんにとっては「夢の夢、そのまた夢」でした。その結果、若田さんは大学を卒業したのち、JALのエンジニアになりました。そして、のちに、宇宙航空研究開発機構が宇宙飛行士の候補者を募集したときに、若田さんは応募し採用されました。それが夢の実現への第一歩でした。1996年に最初の日本人のミッション・スペシャリストになりました。今回で宇宙に行くのは3回目になり、現在、船長を務めています。

若田さんの現在の輝かしい立場までの道のりはきっと平坦ではなかったと思います。先日見た番組によると、彼は厳しい訓練を受けました。一番印象的だったのは、緊急事態対応の訓練でした。有毒ガスに曝されるような危険な状態を想定し、シミュレーションを体験していました。それが終わったら、専門家の観察者がリーダーである若田さんの対応について、フィードバックを与えました。その全体の結果をまとめると、若田さんの対応は悪い訳ではありませんでしたが、改善の余地がありました。特に、コミュニケーションの面で、問題がありました。英語がネイティブ並みの実力にもかかわらず、自分の考えていたことを十分に他人に説明できなかったようです。同様に、地球の宇宙管制センターに測定した数値も伝えませんでした。そのフィードバックの結果を受け、若田さんも問題点を認め、改善することを決意しました。

このシーンを見た時、ある閃きがありました。私の経験では、逆境の対応に関して、三種類のパターンがあります。第一は、直ぐに立ち向かい、対応に取り掛かります。完璧ではなくても、何らかの対策を試してみます。訓練中の若田さんは好例だと思います。菅元首相もこれに該当すると思います。菅元首相のとった原発被害発生時の対応に対して厳しく批判する人も少なくありませんが、危機時に辞任して「敵前逃亡」をする組織のトップが多い日本において、菅元首相が「最低限」逃げずに立ち向かったことは評価すべきだと思います。第二は、危機の際に、恐怖にすくみ、思考停止状態に陥ってしまう人間です。この種の人間は、何も提案をせず、被害者になってしまいます。第三は、第一の人間と同様に対応しますが、恐怖のあまり冷静さを失い、自分と他人を過剰なリスクに曝してしまうおそれがあります。僕の見てきた中では、人がどのグループに入るかは個人の性格に大きく左右されます。その結果、どんなに訓練を受けても別の分類に移動することはできないと考えています。その意味では、今の安倍総理も根本は変わっていないかもしれません。彼は、いい人間ですし、頑張り屋でもあります。日本の国益のために、何でも取り組んでくれるように見えます。ただし、危機が訪れたら、どうなるかなと、気になっています。

危機管理能力は非常に重要な問題です。ですから、政党も企業も、リーダーを抜擢する際に、なぜ危機管理能力を査定しないのか、不思議に思います。優良企業は多額の投資を行い、NASAの研修のように、リーダーを育成していますが、選別の際に、この危機管理能力を考慮すべきではないでしょうか。「Assessment Center」という方法を用いると、簡単にできると思います。行動科学の原則を基にしているこの方法では、リーダー候補者に要求される能力(competency)があるかどうかを探るために、いろいろな作業をしてもらい、評価しています。コミュニケーション力を確認するために、営業のプレゼンテーションを短時間で計画し、行ってもらいます。また、交代で、上司役や部下役を演じてもらい、対立を解決することに取り組んでもらいます。企画力を測定する場合、制限時間内で、すべて仕上げることが不可能なほどの作業量を与え、候補者が付ける優先順位やその他の対応法を評価します。現実感を与えるために、僕が交渉術の研修を行う時には、少額の懸賞を勝利者に提供するようにしています。危機対応のシミュレーションをより現実の状況に近づけて行えば、より効果的な査定が可能になると思います。

現実の世界では、危機を完全に回避することは不可能です。その準備として、危機に強いリーダー候補を育成することが重要となります。



英語塾

リンクされるビデオは危機管理の対応について五つの原則を提示します。ビデオを見ながら、それぞれをメモしてください。これらの原則に賛成ですか。反対ですか。付け加えたい原則はありますか。




“Strategic Crisis Leadership”


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“ISS Flight Engineer Koichi Wakata Expedition 38”

<推薦図書>
本ブログの著者ジョセフ・ガブリエラと杉本有造は、両者ともにMBAの保有者であり、英語と日本語の両方でエレベーターピッチを実施する豊富な経験を有しています。くわえて、両者の経験を活かして、ビジネスパーソンに対して、仕事の現場で直ちに活用できるエレベーターピッチの技法について指導しています。エレベータースピーチのテクニックを習得したいと思われている方に、二人の共著『エレベーター・スピーチ入門~アメリカビジネスで成功するためのプレゼンテーション&自己イメージ作りの技法』を読まれることを強くお勧めします。

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「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!!」の目的
皆さんのビジネスリーダーとしての知識欲をさらに刺激するために、毎月、2回の頻度で、「アメリカ・ビジネスの最前線」を主な対象にして、「アメリカ・ビジネスでいま何が起こっているのか」「どのような最新技術に注目が集まっているのか」「日本や日本製品はアメリカでどのように評価されているのか」といった点について、アメリカ人としての見解を掲載します。日本のメディアでは、日本人による単一的(あるいは一方的)な見解が主張される傾向が強いように思えます。このブログ記事では、「世界には多様な考えがある」ということを日本の読者に具体的なテーマで知ってもらうことを意識しています。日本や日本人に対する外国人の見解、考え方を知ることで、読者自身の世界観を広げ、最終的にはビジネスチャンスにつなげてもらえればと願っています。とりあげてもらいたい「旬の話題」や建設的なご提案など、お気軽に著者までご連絡いただければ幸いです。

ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
東洋大学
gabriella@toyo.jp
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「Venture Into Japan」

杉本 有造  博士/MBA
IES全米大学連盟・東京センター
(The Institute for the International Education of Students, Tokyo)講師
gpmalibu@yahoo.co.jp

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