
他の外国人と同じように、私も「ご出身はどちらですか?」と日本人によく訊かれます。表面的には簡単な質問でしょうね。しかし、私にとって、意外に答えにくい質問です。
ご存じのように、私はアメリカ出身です。でも、それだけを答えることで十分なわけではありません。もっと詳細な説明を付け加えないと、相手の日本人に私の「アイデンテティ」を完全に把握してもらえないという不快感が私の心のなかに残るのです。
アメリカ人の「出身」を考える場合、いくつかのパターンがあります。まず、現地の生粋のアメリカ・インディアンがいます。これらの民族は、アメリカ全体の人口の中では、その割合が非常に少ないです。しかし、唯一の純粋のアメリカ人だと言えるでしょう。
彼らと対照的に、大人になってから、自分の祖国を離れ、アメリカの国籍を取得する場合もあります。これらの移民の中には、アメリカの価値観を完全に採用してしまい、アメリカ人のように暮らしてくる者もいます。
逆に、アメリカの典型的な価値観や生き方をほとんど拒否し、なるべく祖国の時代と同じように、生活を送り続ける「抵抗者」もいます。むろん、アメリカの価値観を受け入れる前者でも、祖国の価値観を捨てるわけではありません。むしろ、彼らは、祖国の価値観にアメリカの価値観を上乗せします。そして、両方の価値観が抵触し合うときに、どちらを優先するかその都度判断するのです。こういうアメリカ人には、子供のときに自分の祖国を離れてきた者が多いといえいます。
意外なことですが、両親または祖父母が移民してきた2,3世代のアメリカ人の場合も、様々な事情が見受けられます。彼らのなかでは、先祖の母国を話し、ある程度、先祖の文化を守っている者もいます。逆に、先祖の祖国について何も知らないし、しかも興味も一切ない者もいます。
私の場合、その両方の極端な例にはあてはまらず、中間的な位置にいます。私の父方の祖母は8歳のときに、イタリアから移民してきました。私の母は3世代のイタリア系アメリカ人です。したがって、私は、3世と4世の間に誕生したイタリア系アメリカ人だといえます。
母がよく私に嘆きます。私は、日本語が堪能で、中国語やフランス語もしゃべれます。でも、イタリア語は全然しゃべりません(笑)。
しかし、食事についていえば、イタリアの影響を受けています。典型的なアメリカ人より、パスタ類や野菜が多く、肉の摂取量は少ないです。それは、私の母が、彼女の母と他の親戚に教わった食事を作っていることに影響されています。
私の家族は、近親や他の親戚との絆が強く、いくつかの伝統を守っています。「家族中心的」なアメリカ人家庭だと評価しています。日曜日といえば、幼いときから、家族がお昼頃集まって、贅沢なパスタランチを楽しんでいます。クリスマスや他の祝日は私の母と妹、そして最近は妹の娘たちもくわわってビスコッテイを作っています。性格も本来のイタリア人のように、感情的で、表現豊かです。頭より心で考える傾向が強いと思います。
話を移民のパターンに戻しましょう。最後に、4世代以上前から先祖が移民してきたアメリカ人がいます。このような者のなかには、純粋民族もいますが、異人種間の結婚による混血の方が遥かに多いようです。彼らの場合、先祖の本来の文化について知識を持つにしても、表面的になってしまいます。
このような理由により、「ご出身はどちらですか」と訊かれるときに、相手に私の本格なアイデンテティを知ってもらうために、詳しく説明することにしています。
アメリカに比べれば、日本は、現在でも国際結婚が少ないし、学校でも職場でも周りにはほとんど外国人がいないような状況です。そうした環境にいる日本人は、私の出身に関する「事情」を果たして理解してくれるだろうかという疑問を抱いています。
私は、私自身が、幼いところ大好きだったスーパーマンやスパイダーマンと同じではないかという感覚を持っています。両者とも人間のように見えながらも、普通の人間と違う優れた能力を持っています。
同様に、私はアメリカ人でありながらも、イタリア出身とイタリア系の親戚から受け継いだ特別な能力や考え方を持っています。私のアメリカ人の部分とイタリア系の部分が組み合わさっているといえます。ですから、日本人と接するときでも、それを意識的に分離できるわけではありません。両方の影響の元で、私は行動しています。
少なくない日本人は、ある意味でとても純粋な文化に生まれ育ってきています。ですから、私のような状況は発生しにくいかもしれません。
よくいえば、日本人としてのアイデンテティはもっと安定しているはずです。悪くいえば、異なる民族、人種との接触が少ないため、いかに外国人と接したらよいのかさっぱり分からない日本人も少なくないでしょう。
バイリンガルの通訳がつく団体旅行以外には、日本を出るつもりはない日本人なら、これは大した問題ではないでしょう。しかし、海外市場の進出が不可欠となった現在の日本経済では、日本の国内外ともに外国人と接する頻度が増えて、緊密さも深くなってきています。そうした状況をふまえると、異文化間の交流の経験不足は深刻な問題になっていきそうです。
それを解決するために、いったいどうしたらよいのでしょうか。私は、次のように考えます。最初にタイトルで示した英雄の比喩を使えば、日本人はもっと「ウルトラマン」のようになった方がよいでしょう。ウルトラマンが必要なときに変身するように、土台となる純粋の文化のうえに立ちながら、「必要なときに」日本人も変身すべきだと思います。
そうするためには、新しい技能、行動や考え方を学ぶ必要があります。もちろん、その場合、日本人としてのアイデンテティを捨てる必要はありません。皆さん、安心してください。
むしろ、外国人と一緒に仕事をしているときにのみ、グローバル・リーダーに変身し、仕事が終わったら、生来の日本人に戻ればいいのです。
では、グローバル・リーダーに要求される行動や考え方とは何でしょうか。実際には、たくさんあります。でも、以下の5つを徹底させれば、周りの外国人にはグローバル・リーダーに見えるでしょう。
1.意思決定力: 相反する意見や情報の中、方針を決める技能
2.実現力: 自分の能力に加えて、他人の技能を活かし、決定したことを速やかに、かつ、徹底的に遂行する能力
3.リスクをとる自信: 起こるかもしれない失敗を恐れず、計算済みのリスクを積極的にとる姿勢
4.自己主張力: 攻撃的にならずに、自信を持って他人に自分の意見を伝える能力。それも、強い説得力をともなって。
5.対人能力: 決まった目標の達成に向けて、自分と違う他者と密接に協力する能力
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上記のリンクをクリックしてください。ミネソタ州立大学のカールソンビジネススクールが提供している授業の概要を紹介するビデオが視聴できます。それを聴きながら、下記の真偽問題(◯または×)に答えてください。
_____ The greatest barrier to cross-cultural communication is often not knowing exactly what we do not know.
_____ When not achieving desired results in another culture due to inappropriate behavior, foreigner managers tend to blame themselves or headquarters staff rather than local staff.
_____ To work effectively with in other cultures, managers need only know how those cultures differ from their own.
_____ How people deal with hierarchy, risk, and time are some of the important cross-cultural concepts that must be considered when working with individuals from other cultures.
_____ Learning about other cultures typically broadens managers’ perspective, often making them aware of previously unnoticed influences on global business.
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このブログは、ジョーが執筆し、皆様にお届け致します。ジョーことジョセフ・ガブリエラは、2000年に来日したアメリカ人。格闘技ファンなら誰でも知てる、K-1ファイターのアンディー・フグ氏にそっくり!
1989年米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクールを卒業。その後ペパーダイン大学を皮切りに、イリノイ大学、南フリダ大学を卒業。MBAを含め2つの修士号と博士号を取得しました。日米合弁IT関連企業、スイス系証券会社、米系銀行、そして日系外食企業など幅広い業界の勤務を通して様々なビジネス経験を積みました。趣味は、水泳、読書(村上春樹氏の大ファン!)、ピアノ、そして様々な国の言葉を勉強する事です。ちなみに、2年前から新たに中国語勉強に励んでいます!この記事についてのご質問、感想、また意見を歓迎します。また、共同研究者である杉本有造氏とともにコンサルティング業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。
ジョセフ・ガブリエラ 博士/MBA
東洋大学
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「世界のどこでも働ける日本人になろう」
「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!」
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杉本 有造 博士/MBA
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(The Institute for the International Education of Students, Tokyo)講師
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