相対性理論がわからないと。。。(ジョセフ・ガブリエラ) | Pepmalibuのブログ

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$Pepmalibuのブログ-相対性理論

相対性理論が分からないと、
グローバル・ブランドは構築できない?


コンウェー先生は僕が通っていた中学の先生でした。私が、中学1年の時から毎日彼の顔を見かけていました。しかし、実際に初めて彼の授業を受けたのは高校生になってからです。

その背景を説明しておきましょう。僕が当時暮らしていたアリゾナ州メサ市が急成長していた結果、新しい高校を建設することになりました。コンウェー先生は新しい高校に転勤してきたのでした。その結果、彼の授業を受けることができました。おそらくそれは今から25年以上前だったからかもしれませんが、実のところ彼に具体的に何を教わったかは覚えていません。

まあ、コンウェー先生の専門が社会科でしたから、きっとその分野の授業だったことは確かですが、彼の講義の内容はひとつも思い出せません。ただ、彼が優しく、その性格が好きだったことを覚えています。

もうひとつ覚えていることは、彼がいつか語った奥さんについての物語です。奥さんは「Tab」という、米国コカ・コーラが開発したダイエット・コーラが好きでした。

このコーラは、1963年に初めて発売され、70~80年代の間、人気商品でした。しかし、1982年以降、ダイエット・コークが市場に出てから、Tabの人気が落ちました。私が、最近アメリカに帰国したときに、近所のスーパーでチェックしましたが見当たりませんでした。

しかし、ある地域でまだ発売されているそうです。コンウェー先生の奥さんにとって、それはいいことですね。先生の話では、奥さんは愛用者で、殆どTabしか飲みません。

それだけでなく、缶からそのまま飲んでいるようです。2リットルのペット・ボトルを購入し、カップに注ぎ飲むことはしないと、言っていました。缶より安いにも関わらず。そして、ペットボトルのほうが、金属の味が付く缶のものより美味しいにもかかわらず。

コンウェー先生の説明によると、奥さんは缶で飲むときが最も美味しく楽しめるようです。反対に、カップで飲むとき、不満足を感じているそうです。奥さんの行動を、「可笑しい」と批判してはいけないかもしれませんが、どこか「非合理」な行動にみえます。

どうやら、日本にも、似たような非合理な行動を好む女性が存在します。

先月、今住んでいる阿佐ヶ谷の商店街に行き、お気に入りの八百屋に立寄りました。

普段から価格が安いこの八百屋は、時々、熟して少し傷んだ果物や野菜を檄安サービスとして処分しています。その日は、バナナを処分していました。普通は5-6本の房で100円かかるバナナですが、同じ100円で10-12本の房を提供してくれました。

興奮して、僕がその広告に気づいたとたん、隣のおばあさんに向かって、「凄いね」と叫びました。10房のバナナを手に取りながら、「斑点が付いていて、外見はあまりよくないが、完熟しているので、甘くておいしいよ」と僕が続けました。「おっしゃる通りですね」とおばあさんが丁寧に答えてくれました。

しかし、実際には、おばあさんは「でも、わたしは毎日、一本ずつ食べています」と付け加えながら、まだ完熟していない5本の房をかごに入れました。おばあさんは、私の考えに納得してくれましたが、「なるほど、残念ですが、仕方ないですね」と5本の房を選んだのです。

この彼女の行動に実は納得できない点があります。良く考えると、この行動も不合理なのです。彼女が10本の激安のバナナを購入したと仮定してしましょう。一本ずつ食べても、7本目まで食べられるなら(残りの3本は腐ってしまって捨てても)、「5本の房」よりの高い価値を受けることができます。そのうえ、食べた7本は皆完熟だったので、5本の房のバナナよりももっと美味しかったはずです。それも、10本の房を選択した場合の付加価値になるのではないでしょうか。

また、残り3本を他の用途にも使えるでしょう。私はバナナパンを焼きます。パンといっても、どこかケーキに近い食感や味で、コーヒーにぴったり合います。実は、未熟のバナナより、完熟のものを使った方が美味しいです。未熟のバナナはあまり甘くなくて、しっとしりした食感も生み出しません。

なぜ、このおばあさんも、コンウェー先生の奥さんのように、非合理な購買行動を行っているのでしょうか。もしかして、これは女性の常なのでしょうか?女性よりも理性的といわれることの多い男性は皆、合理的な購買行動を取っているでしょうか?

実に、そうではありません。定期的に、非合理な購買行動をしている男性を見受けます。認めたくないですが、僕はその一人なのです。

弁解に聞こえるかもしれませんが、それは私のせいではありません。いつも合理的に商品を選択するために、いくら努力してもそれは不可能なのです。なぜなら、こうした行動には人間の心理が圧倒的に影響しているからです。

購買行動の前提として、値段、量のような絶対的な次元のみを考慮して価値の最大化を図るのではなく、過去の経験、個人的な好みなど主観的な次元も視野に入れているのです。そのため、10人が同じ商品を同一の条件で試しても、それから感じる知覚価値が異なる可能性が高いはずです。それは、価値が相対的なものだからです。

マーケティングの観点から見ると、これは最悪の状態です。いくら巧みに、商品とサービスの特徴、価格、広告宣伝、さらには流通方法から成り立っているマーケティング・ミックスを組み立ても、全ての消費者を満足させることができないのです。消費者それぞれの「こだわり」が異なっているのです。

それにもかかわらず、ある国の文化を考察すると、個人的な好みのうえに、共通の価値観が存在していることが分かります。

先ほどの八百屋の話に戻りましょう。私の購買行動は、典型的なアメリカ人の考え方を反映しています。「More is better」(多ければ、多いほど良い)という決まり文句で簡潔にまとめられるこの哲学に従って、バナナの品質より、大量の商品を低価格で購入することを重視しました。対照的に、おばあさんは、典型的な日本人に見られるとおり、量より、商品の質を優先しました。

グローバル・マーケティングの秘訣は、それぞれの文化を分析した上で、どのようにマーケティング・ミックスを調整したら適切かを判断することです。しかし、そうする前に、まず、自社のブランドの本質とは何かをしっかり把握することが必要です。具体例として、スターバックスを取り上げましょう。

いまだに多くの人が、スターバックス社がコーヒー会社だと思っているそうです。私も以前、そう思い込んでいました。でも、それは勘違いなのです。

この会社は「スターバックス・エクスペリエンス」という、部分的に物理的な商品で、同時に部分的に無形の体験である「商品」を販売しています。もちろん、その主な物理的な商品はコーヒーですが、スターバックス・エクスペリエンスと呼ばれる自社商品の中では、サービスがより重要と位置づけられています。

ふと耳にした話を紹介しましょう。採用面接を行っているスターバックス社のマネジャーが説明したことです。「At Starbucks, we do not serve coffee, we serve customers.」。意訳すると、スターバックス社では、コーヒーを販売しているではなく、接客しています、となりますが、英語的には、同じserveという言葉が繰り返されるので、インパクトが強く、響きもよい文章になっています。

スターバックス社の例に見られるように、いったん自社のブランドが何かをはっきり把握できたら、次に目指している市場の文化を踏まえた上で、マーケティング・ミックスの調整を行います。

スターバックス社の場合は、「ノン・スモーキング」という会社の方針を日本にもそのまま導入したので、全店舗が禁煙だそうです。

正直に言えば、10数年前にスターバックスが日本市場に参入したところ、成功しないのではないかと思いました。喫煙率の高いサラリーマンが常連客にならないと思ったからです。でも、スターバックスが正しく判断したように、「スターバックス・エクスペリエンス」を望むのなら、喫煙サラリーマンも短時間、禁煙が我慢できるのです。

また、サービスの側面では、私が見てきたところ、他の競合他社より、若干よいのではないかと思います。接客が他の店より早いし、より清潔でもあります。しかし、どこへ行っても、サービスの基準が極めて高い日本では、それはあまり目立ちません。

それより印象的なのは、温もりや雰囲気です。文化が違うので、日本では、米国のように、顧客の名前を訊くまでにはいたっていませんが、暖かく対応してくれます。また、何を訊かれても丁寧かつ、詳しく答えてくれます。

常連客なら、定番の注文を覚え、対応しなら、世間話をします。まるで、親友の家に立ち寄っている感じです。私がドトールへ行くと、サービスが事務的で、冷たい感じがします。もちろん、早いし、丁寧ですが、どこか冷たい印象を受けます。個人的には、ドトールのコーヒーが好きにもかかわらず、スターバックスのようないわゆる「エクスペリエンス」が感じられないので、何か物足りない気がするのです。

前に述べたとおり、コンウェー先生の授業で社会科について学んだ事実はひとつも思い出せません。でも、ほぼ30年が経った今から振り返ると、有意義なエクスペリエンスでした。高校で初めて学んだアインシュタインの相対性理論はいまだに理解できていませんが(笑)、大好きなコンウェー先生、そして彼の奥さんのお陰で、文化の相対性をもとに、グローバル・ブランドの構築について考え直し、そこから重要な教訓を学ぶことができました。



英語塾
グローバル・リスティングの練習

次のリンクをクリックすると、米国で放送されたスターバックスのCMを見ることができます。早口のところもありますが、画像をじっくり見ながら、聴けば、総合的な意味が把握できると思います。



確認質問
1. 一人のサラリーマンは上司によって何に招待されましたか。
2. なぜ、誘われましたか。
3. もうひとりのサラリーマンが入った部屋では何について話していますか。
4. このCMは、アメリカ人を笑わせる面白いものになっているはずですが、日本人として、面白いと思いますか。
5. このCMが、日本で、日本語で放送されるならば、効果的な広告宣伝になりますか。なぜそう思いますか。


<推薦図書>
本ブログの著者ジョセフ・ガブリエラと杉本有造は、両者ともにMBAの保有者であり、英語と日本語の両方でエレベーターピッチを実施する豊富な経験を有しています。くわえて、両者の経験を活かして、ビジネスパーソンに対して、仕事の現場で直ちに活用できるエレベーターピッチの技法について指導しています。エレベータースピーチのテクニックを習得したいと思われている方に、二人の共著『エレベーター・スピーチ入門~アメリカビジネスで成功するためのプレゼンテーション&自己イメージ作りの技法』を読まれることを強くお勧めします。

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このブログは、ジョーが執筆し、皆様にお届け致します。ジョーことジョセフ・ガブリエラは、2000年に来日したアメリカ人。格闘技ファンなら誰でも知てる、K-1ファイターのアンディー・フグ氏にそっくり!

1989年米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクールを卒業。その後ペパーダイン大学を皮切りに、イリノイ大学、南フリダ大学を卒業。MBAを含め2つの修士号と博士号を取得しました。日米合弁IT関連企業、スイス系証券会社、米系銀行、そして日系外食企業など幅広い業界の勤務を通して様々なビジネス経験を積みました。趣味は、水泳、読書(村上春樹氏の大ファン!)、ピアノ、そして様々な国の言葉を勉強する事です。ちなみに、2年前から新たに中国語勉強に励んでいます!この記事についてのご質問、感想、また意見を歓迎します。また、共同研究者である杉本有造氏とともにコンサルティング業務も行っていますので、お気軽にご相談ください。


ジョセフ・ガブリエラ  博士/MBA
東洋大学
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「世界のどこでも働ける日本人になろう」

「アメリカ・ビジネスの最前線を切る!」

「Venture Into Japan」

杉本 有造  博士/MBA
IES全米大学連盟・東京センター
(The Institute for the International Education of Students, Tokyo)講師
gpmalibu@yahoo.co.jp

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