京薬剤師の薬の話:三環系抗うつ薬 クロミプラミン塩酸塩(アナフラニール) | 紫野瀨﨑家

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医療用医薬品の歴史、今回は、三環系抗うつ薬のクロミプラミン塩酸塩(アナフラニール)です。

 

アナフラニールはスイス、J.R.Geigy社(現ノバルティスファーマ株式会社)で開発された三環系抗うつ剤、クロミプラミン塩酸塩の製剤です。クロミプラミンはイミプラミンのイミノジベンジル核三位の炭素原子に塩素原子を結合させたものです。
臨床成績は1961年の第3回国際精神神経学会で、W.Pöldingerにより強力な抗うつ作用と感情調整作用を有することが初めて発表され、その後広範囲の臨床報告がされ、各種うつ病、抑うつ状態に対する有効性並びに忍容性が確認されました。
日本では1967年8月より各種基礎試験ならびに臨床的検討が行われ、1973年1月にうつ病及びうつ状態の効能に対して承認されました。また、遺尿症に対しても有効性が認められたことから、国内での臨床試験の結果、1974年9月に遺尿症の効能が追加承認されました。
日本睡眠学会による本剤の「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」の効能効果追加要望に基づき、2013年4月26日開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、公知申請が妥当であるとの事前評価を受け、同日に厚生労働省から通知(薬食審査発0426第4号)が発出されました。本通知を受け、本剤の「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」の効能・効果の追加に係わる医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われ、2013年11月に承認されました。

引用:アナフラニール・インタビューフォーム

 

 

以下、引用

 

Ⅰ概要に関する項目
 

1. 開発の経緯
アナフラニールはスイス、J.R.Geigy社(現ノバルティスファーマ株式会社)で開発された三環系抗うつ剤、クロミプラミン塩酸塩の製剤である。クロミプラミンはイミプラミンのイミノジベンジル核三位の炭素原子に塩素原子を結合させたものである。
本剤の臨床成績は1961年の第3回国際精神神経学会で、W.Pöldingerにより強力な抗うつ作用と感情調整作用を有することが初めて発表され、その後広範囲の臨床報告がなされ、本剤の各種うつ病、抑うつ状態に対する有効性並びに忍容性が確認された。
国内においては1967年8月より各種基礎試験ならびに臨床的検討が行われ、1973年1月にうつ病及びうつ状態の効能に対して承認された。また、本剤は遺尿症に対しても有効性が認められたことから、国内での臨床試験の結果、1974年9月に遺尿症の効能が追加承認された。
日本睡眠学会による本剤の「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」の効能効果追加要望に基づき、2013年4月26日開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、公知申請が妥当であるとの事前評価を受け、同日に厚生労働省から通知(薬食審査発0426第4号)が発出された。本通知を受け、本剤の「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」の効能・効果の追加に係わる医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、2013年11月に承認された。
 

2. 製品の治療学的・製剤学的特性
1)脳内のノルアドレナリン取り込み阻害に比して、セロトニン取り込み阻害が強い(ラット)。
2)各種タイプのうつ病及びうつ状態の治療に適している。
3)イミプラミン等の従来の三環系抗うつ薬に比べ、臨床上の効果発現が早い。
4)感情調整作用や不安鎮静作用に優れており、絶望感、苦悶、希死念慮などを伴う症例に有効である。
5)遺尿症に対して効果が認められている。
6)うつ病・うつ状態での副作用は1,964例中673例(34.3%)に認められ、主な症状は口渇、ねむけ、立ちくらみ・めまい・ふらつき、食欲不振等であった。また、遺尿症での副作用は198例中69例(34.8%)に認められ、主な症状は食欲不振、早朝覚醒、口渇等であった。
また、重大な副作用として悪性症候群(Syndrome malin)、セロトニン症候群、てんかん発作、横紋筋融解症、無顆粒球症、汎血球減少、麻痺性イレウス、間質性肺炎、好酸球性肺炎、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)が報告されている。

Ⅱ..名称に関する項目名称に関する項目
 

1. 販売名
(1) 和名
アナフラニールⓇ錠10mg・25mg
(2) 洋名
ANAFRANILⓇTablets 10mg・25mg
(3) 名称の由来
特になし
 

2. 一般名
(1) 和名(命名法)
クロミプラミン塩酸塩(JAN)
(2) 洋名(命名法)
Clomipramine Hydrochloride(JAN)
Clomipramine(INN)
(3) ステム(stem)
イミプラミン類:-pramine
 

3. 構造式又は示性式

4. 分子式及び分子量
分子式:C19H23ClN2・HCl
分子量:351.31
 

5. 化学名(命名法)
3-(3-Chloro-10,11-dihydro-5H-dibenzo[b,ƒ]azepin-5-yl)-N,N-
dimethylpropylamine monohydrochloride(IUPAC)
 

6. 慣用名、別名、略号、記号番号
なし
 

7. CAS登録番号
17321-77-6(クロミプラミン塩酸塩)
303-49-1(クロミプラミン)