今思い起こしても不愉快な出来事なので、あまり詳細に触れたくはないのであるが、当時の秘書による告発は大スキャンダルとなり、ワイドショーと女性週刊誌の格好の標的となってしまった。ちょうど学校のテスト期間中と重なった事もあって、かの新間寿氏による会見も生中継で見る事が出来たものである。
この時、おそらくフジテレビだったかと思うが、かの人質解放にもケチをつけたりするなど、私自身も非常に怒りを覚えたものである。今でもそいつらはフジにいるのかどうかは知らないが、今でも顔を見る度にその当時の事が思い起こされ不愉快な気持ちになる事は言うまでもない。
結局、そのスキャンダルは拳銃密輸疑惑というありもしないデマにまで広がったものの、いつの間にか自然消滅となり、当然猪木自身が逮捕などされる事もなかった。しかし、それらのせいでテレ朝は猪木の試合中継を当面自粛せぜるを得なくなり、95年1月に解禁されるまで1年半以上もの間猪木の試合はテレビで見る事が出来なかったのである。
しかし、ちょうどそのぐらいの頃、学校帰りに寄る事の出来るレンタルビデオ店が相鉄線の駅前に存在したのであるが、一般のレンタル店ではありえないぐらいのプロレスのビデオが置いていた。当然、新日本が最も多かったのであるが、創立20周年記念に「激闘史」というビデオが3巻に分かれて発売されていた。
試合や大会がノーカット収録されていたビデオであれば何度も借りた事があったのだが、これに関してはダイジェストという事であまり興味がなかった。しかし、なんとなくであるが1から借りてみた所、初めてと言っていいぐらい全盛期のアントニオ猪木の動く映像を見る事が出来たので、それまで気づく事のなかった猪木の凄さを改めて思い知らされたものである。
プロレスの歴史を紐解けば一目瞭然であるが、当時の若手に関しては質・量ともに圧倒的に新日本が全日本よりも上回っていた。特に、佐山、前田、高田、船木、武藤などのイケメン枠に関しては、全日本はどう逆立ちしても敵わないものがあったのである。正直、レスラー名鑑などを見て、子供心にも何故新日本ばかり優秀な新弟子ばかりが集まるのか不思議で仕方がなかったのであるが、この激闘史のビデオを見て大変に納得したものである。