スーパーストリートファイターIIX on 3DO | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

元カプコンの岡本吉起さんの下記の動画を拝見した。リアルタイムで知っている人間であれば非常に興味深く、確かに何故カプコンの大看板タイトルである「ストIIX」が、すでに斜陽に差し掛かっていた3DOで発売されたのか、と言うのは疑問であった。なので、ここでは私が思う限りの私見を述べていこうかと思う。

 

 

当時はネットなんてないので、情報の全てはほぼ雑誌だった。しかし、この3DO版が発表された頃はすでにゲーメストも、他の家庭用ゲーム雑誌も買うのをやめていたので、リリースを知ったのは立ち読みで読んだファミ通の記事だったと思う。それまでのシリーズは全て家庭用に移植されてきたので、当然ユーザーの間ではいつこのXが移植されるのか興味津々だったのだが、まさかこんな早く、しかも3DOというのはさすがに予想外だった。

 

当然、なぜSFCじゃないのか?という疑問はあった。それに関しては、スーパーコンボの残像グラフィックが再現出来なかった、という記事を何かの雑誌で見た。そう述べられたらそうなんだ、と思うしかなかったので、納得せざるを得なかった。しかし、ご存知のようにその2年後には、何とSFCに「ストリートファイターZERO2」が移植されてしまう。もちろん、スーパーコンボの残像ありで。なので、ここでXが移植されなかったというのはハード的な問題ではない事に気付いたのだ。

 

もちろん、1994年当時のSFCの容量は32Mビットが最高だったので、完璧な移植は到底無理な話である。しかし、それは当時としては当たり前の事だったし、SFC版のクオリティでも十分満足していたのだ。そして、6月にはスーパーがSFCとMDですでに発売されていた。という訳で、それと同等のクオリティであれば移植は無理ではなかったのだ。

 

ただ、それは前述の様にSFC版ZERO2が発売されてからのこと。SFCで移植出来ないのであれば、当然他機種でも不可能。モーションに関してはPCEのアーケードカードで再現出来たかも知れないが、それでもSFCで出来ないとなればPCEでも出せる訳がないと思っていた。まあ常識で考えたら、看板タイトルのXを、SFCでなくPCEで優先して出す訳がない事ぐらい分かる。

 

なので、私としては単にまともに移植できるハードが3DOしかなかったから、と単純に思っていた。もちろん、いずれも所有していなかったが、幸い行きつけのゲーム店でデモを見る事が出来た。さすがにSFC版のように画面が狭くなっている事もなく、解像度も含めてアーケード版と変わらないぐらいの出来に見えたものだ。それまで、ダッシュやスーパーがX68000にて発売されていたが、このモーションの完全再現というのはまさに当時のストIIゲーマーの夢だったものである。これだけでも次世代機の凄さを理解出来たものだ。

 

さすがに独占供給とまでは知らなかったが、PS・SS以降もなかなかXが移植されなかった事で、それには薄々気付いていた。それが解禁されたのが、1997年の事である。ようやく、両機種において「ストリートファイターコレクション」名義でXが発売された。ようやく待望のXが発売されたが、解像度や難易度の違いもあって、アーケード版そのまま、という印象はなかった。しかし、これでも3DO版よりも遥かに出来が良いと言うので、そこで初めてその移植がいまいちだと言う事を知ったのだ。

 

それはYouTubeを見てくれれば一目瞭然だろう。一番分かりやすいのは、なんと1994年発売の次世代機でありながら、多重スクロールが一切表現されていないPCE並の一枚絵なのだ。もし、このためだけにハードを買った人がいたならば、おそらく絶望した事だろう。のち、ドリームキャストダイレクト専売でDC版「スーパーストリートファイターIIX for Matching Service」が発売されたが、これが最もアーケード版に近いとされた。

 

現在、「ストリートファイター30thアニバーサリーコレクション」と、「カプコンアーケードスタジアム」でプレイ出来る。しかし、前者は遅延、後者は一部グラフィックの違いもあり完全移植ではないのが残念だ。また、動画でも述べているように、当時のユーザーは「いつまでストII出すんだよ」と皆思っていたものだった。なので、私などはもちろんプレイしたとは言え、CPU戦の難易度の高さ、そしてスピード向上による入力のシビアさにより、すぐにプレイしなくなってしまったものである。なので、ここまで長く愛されるソフトになるとは思いもよらなかったものだった。