PCEと言えば、発売予定表に数年間載っていたのに、気がつけばお蔵入り、発売中止というゲームがざらにあった事だ。詳しくはググれば出てくるかも知れないが、「スペースファンタジーゾーン」なんてその際たるものだろう。割と画面写真まで掲載されていたのに、結局出なかった、という事は版権で揉めたのだろうか。まあタイトル的にもゲーム内容的にも無理があったのかも知れないが、そんな予定表の常連のひとつに「ストライダー飛竜」があった。
もちろん、元祖はあのアーケード版である。こちらは一足早くMD版に移植され、さすがにデモの音声はカットされていたものの、当時としてはかなりクオリティの高い移植であり、大魔界村と共にマニアからは絶賛されたものである。そんな飛竜であったが、実はPCE版もかなり前からラインナップに入っていた。しかし、その最初は確かSGであったかと思う。ゲームの性質上、演出は欠かせないので、その辺り多重スクロールを考慮してSGというハードになったのではないだろうか。
しかし、その肝心のSGが普及しなかったおかげで、結局媒体をCD-ROM2へと移行する事になる。当然、背景の多重スクロールの再現はなし。しかし、それでも一向に発売される気配がない。「まあ恒例のお蔵入りだろう」と皆が思っていた1994年9月、なんとアーケードカード対応として発売される事となった。
いわく「それでないと飛竜のアクションが再現出来なかったため」との事だが、確かにモーションは多いとは言っても、それでも「プリンス・オブ・ペルシャ」ほどでもないし、いささか謎の言い訳にも聞こえる。一応、オリジナルのアニメーション部分などはかなり凝ってはいるが、別に本編とは関係ないので別になくても問題はなかった。
それでも、すでにMD版を所有していた私は、どれだけあの飛竜が再現されているか、とだけは気になったので、数年後に安くなた時に買ってみた。正直、確かにモーションは完璧ではあったとは思うが、やはり多重スクロールなしというのはかなりショボく見えてしまったものだ。しかも、途中で蛇足とも言えるオリジナル面まで挿入されているし、CD音源も微妙なアレンジでもあったので、これならMD版で良かったという感じだった。
結局、すぐに売ってしまったが、やはり流通が少なかったためか、後年それなりのプレミアがついてしまったため、それなら取っておけばよかった、と思ったものだった。ただ、それから数年後、まさかの完全移植に等しいPS版が発売されたし、また今なら「カプコンアーケードスタジアム」でもプレイ出来るので、まあコレクターでもなければ必要ないだろう。