現在、家庭用アケコンのパーツに使用されている代表的なメーカーと言えば、アーケードの主要メーカーである三和電子とセイミツ、そして家庭用の雄であるHORIのHAYABUSAパーツが挙げられる。これらの違いに関してはすでに様々な方たちが述べているが、ここでは私の主観的意見を含む紹介を行っていこうと思う。画像は上げるのが面倒なのと、画像検索すればいくつでも出てくるので割愛する。
1.レバーについて
現在、家庭用フラッグシップモデルのほとんどに搭載されているのがこちらである。アーケードでは、バーチャファイターに正式採用された事から一気にシェアを伸ばしたとされ、現在の格ゲーのデファクトスタンダードとも言えるパーツである。
私自身がその名を初めて認識したのは、2002年頃、HORIが久々に発売したまともなアケコンである「鉄拳4スティック」の改造記事がきっかけだった。デフォルトのパーツもそこそこ良く、それ以前のファイティングスティックの出来など遥かに上回ってはいたのだが、さすがにアーケードのパーツがつけられるのであればそれを付けたい、という事で、当該記事を参考にして私も取り付ける事に成功した。
しかし、いざ使ってみると違和感バリバリ、こんなものだったっけ?と気づく。それもそのはず、私がゲーセンに通っていた頃、ほぼ100パーセントに近くコンパネに搭載されていたのは、セイミツレバーであったからである。そんな事情もあり、当時の私にとってはどうにも合わず、わざわざセイミツに換装して使用していたものである。しかし、現在ではすっかり私にとってもメインレバーとなっている。
現在ではアケコンのインテル、デファクトスタンダード的なレバーであるので、すでに数多くの人たちが体験済みだろう。個人的な意見としては、3種類の中では最も柔らかめであり、どの方向にも満遍なくスムーズに入力できる、というオールマイティな印象だ。そして、多少のスイッチ音が気になる、という事だろうか。しかし、私自身が考える、このスティックの最大の特徴と言えるのは、アケコンのガワ(筐体)によって大きく操作感覚が異なる、という事だ。つまり、このスティックの性能が活かせるか否か、というのは全てアケコン本体次第、という事になる。
具体的に言えば、最も影響を与えるのが、天板の剛性と厚みである。そして私の知る限り、その性能を最大限に活かせている、と思われるのが遂にドラゴンボールファイターズデザインが売り切れた事により、新品ではプレミア価格でしか入手できない旧パンテラだ。非常に静穏性が高く、それに伴い操作感覚もまるで他のアケコンとは異なり、これが非常に操作しやすい。このおかげにより、格ゲーのみではなく、シューティングにも向いているというまさにオールマイティと化しているのだ。
それに続くのが、新生マッドキャッツやオブシディアンだ。前者は元々はGameSirという製品のものであったのだが、マッドキャッツ社として発売された際に、前者で存在していた遅延がほぼ完璧に解消されていた事で、現在入手可能なアケコンとしては一躍トップクラスに躍り出た存在である。オブシディアンはデフォルトでは若干スティックが長めなのが欠点であるが、天板との相性自体は凄く良い。
それとはまるで対照的なのがHORIのRAP系だ。Vはともかく、Nなどは一見かなり剛性が強そうなボディに見えるのだが、実際は天板が薄くさらに中も静穏の工夫などは皆無なだけに、不快な金属音が響くので個人的にはかなりいまひとつだ。フラッグシップの刃はまだましであるが、それでも海外フラッグシップには叶わないし、しっくりもこない。日本のメーカーだけあって、保証や信頼性は一番だとは思うが、どうしても三和に拘る人であれば前述の海外メーカーを断然とお勧めしたい。
4万コンとして話題になったVictrixは前者とはかなりタイプが異なり、本来の三和が持つ柔らかさを最大限に活かせる天板の作りとなっている。その分、若干音が響くが、HORIのそれとは異なり安っぽさはない。
2.ボタンについて
こちらも、バーチャファイターがブレイクするまではアーケードのボタンはほぼ若干フラットさが特徴なセイミツであったのだが、個人的にボタンに関して言えばずっと三和一択である。マッドキャッツのXbox用の初代TEを購入した時、レバーはすぐにセイミツに換装したのに対し、ボタンに関してはそのままずっと三和で通した。単純に、とても使いやすいからである。形、押しやすさ、連射のしやすさと、とにかく最高、これに関しては三和以外はありえないレベルだ。
ただ、三和にもクリアバージョンのボタンがあるが、これに関しては通常色とは若干押した感触が異なる気がする。個人的にはオブシディアンが、最初にクリアボタンに換装したアケコンだったのだが、明らかに感触、そして音が異なるのだ。もちろん、それでも使いやすいのには変わりはないが、違和感は免れないので、感触を変えたくなければ通常色のもの限定に換装した方がいいだろう。
本当ならここで3種類全てに触れるつもりであったのだが、そうすると大変な量になってしまったので分割する事にした。次回セイミツ編に続きます。