アーケードスティックのお話・その14 Madcatz Arcade Stick EGO | ONCE IN A LIFETIME

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フィリピン留学から人生が変わった一人の男のお話です。

ずっと気になっていた新生マッドキャッツ初のアケコンであるEGOを購入した。その新生マッドキャッツの本社は、自身と縁が深い香港・九龍に構えているとは驚きであるが、当然の事ながら旧マッドキャッツの製品は全て廃盤であり、現行の製品も基本全て刷新済みである事は確かである。

 

なので、当然今なお名機とされるTE2なども全て廃盤であったのだが、昨年夏になってようやく初のアケコンが発表された。と、同時に失望の声が巻き起こったのも事実である。理由は簡単、ガワが、当時すでにAmazonで販売されていたGameSirのアケコンと全く同一だったからである。

 

2019年4月、XboxOneXを購入したはいいものの、肝心のアケコンがない。そこで、ちょうどタイムセールで1万円ちょいで発売されていた事もあり、この該当製品を購入したのであるが、それはもうレバーを倒した瞬間で分かるぐらいの遅延の酷さであり、それに非常にこだわる自分にとっては全く使い物にならず、すぐに売却してしまった。当時スイッチは未購入、PCも古いWindowsPCのためにSteamも始めていなかった事からも、PS4とXBXのみで試しただけなのであるが、いずれも酷い有様だった。

 

Amazonのレビューなどを見ると、遅延を感じないなどという書き込みも散見されるが、レトロフリークですら遅延を感じないという鈍感な人間が居る以上、この手の場合は確実に遅延がある、という意見を参考にした方がいいだろう。そして、述べたように完全に事実である。その後、天板のデザインが変わり見た目だけは良くなり、また、何故かごく最近インプレスでもレビューされ、PC上においては旧Pantheraとも差がない遅延との検証もされていたので、もしかしたら基板の改良もされているのかも知れない。しかし、まだ遅延があるというレビューやTweetも見られるので、やはり個人的には全くお勧めは出来ない。

 

前振りが長くなったが、これだけ物議を醸し出した製品とガワが一緒である以上、失望かつ信用出来ないのも当然である。そこで、購入を渋っていたのであるが、Amazonのレビューを見ても遅延があるという書き込みは一切見られない。中にはGameSirのアケコン所有者のレビューまであるのだから、これはかなり信憑性が高いものと言えた。

 

しかし、すでにかなりのアケコンを所有している、かつ最近発売されたWingmanシリーズのコンバーターが非常に出来が良かった事もあって、PS4のアケコンとそれらさえあればほぼマルチアケコンは不要となった。しかし、それでもずっと気にはなっていたのだが、最近定価よりもかなり安く販売出来る機会を得たので、ここぞとばかりに買ってしまった。という訳で待望のレビューである。

 

前述のよう、GameSirのアケコンは速攻売り払ってしまったのと、三和電子への拘り自体も薄かったので操作感はあんまり覚えてはいない。よってその感覚を味わう事自体も久々である。まず実機を見て思ったのは、ガワ自体は非常に良い事。個人的には水平な天板よりも、オブシディアンやVictrixのように、下に向かって傾斜があり、手のひらを完全におけるスタイルが好みなのだが、このEGOもそれに完全に当てはまっている事。かつ、その中でも最も傾斜が大きい。

 

 

 

 

ゲームセンターのコンパネはほぼ水平なので、そういう意味では合わない人もいるかも知れない。しかし、水平が好みであれば他のアケコンを選べば良いだけである。最も、現行では旧Pantheraが廃盤である以上、HORIぐらいしかまともな選択肢がないのは事実であるが。まあとりあえず、傾斜がある天板が好みな人であればかなりお勧めと言える。

 

そして、最も私が重要視するのがレバーの操作感覚である。もちろん三和電子の標準レバーであるのだが、前にも述べた通りに、スティック自身は同じものであっても、ガワの剛性によりフィーリングはかなり左右されるのである。ここがおそらく最も価格に比例する要素のひとつなのであるが、これが非常に私好みでしっかりしていた。

 

以前の記事にもあるように、この部分で歴代最強なのはまず間違いなく旧Pantheraだ。同じ三和電子なのに、何故ここまでフィーリングが変わってくるのか、と言うレベルであり、触れた瞬間に何故ここまでレビューが絶賛されているのか一瞬で理解出来る事だろう。次点でオブシディアンやVictrixが続いていくのであるが、正直このEGOはそれら高級機とタメを張れるレベルと言って良い。感覚的には旧Pantheraとオブシディアンの中間ぐらいといった所か。ガワと天板の作りがかなりしっかりしており、それなりに剛性があると思われるが、これはとにかく三和電子レバーとの相性は抜群である。ここが、日本のHORIがどうしても今ひとつな部分なだけに、もう少し頑張ってもらいたいものなのであるが。

 

 

 

 

そして、最重要な点が遅延である。まずSwitchで試したが、AXボタンを同時に押しながらUSBを差し込む、という手間が必要なものの、これだけは直差しだけで反応してくれる。そして早速、初代グラディウスを起動してチェックしたのだが、確かに遅延はない。それどころか、UFBやVictrixとコンバーターと言った最速レベルと比べても遜色ないほどである。グラディウスシリーズやダライアスCCなどは、PS4のそれらと比べて元々若干の遅延はあるので、それだけはどうしようもないのであるが、ひとまずSwitchオンリーのユーザーであれば十分過ぎる性能である。少なくとも、RAPを買うぐらいであればこちらの方が遥かに良い。

 

欠点としては、ボタン配置がXbox仕様となってしまうので、ABが完全に逆となってしまう事である。なので、他のアケコンと併用する場合は不便を強いられるのであるが、それを補ってあまりあるほどの性能である事もこれまた事実なのである。

 

そして、GameSirで遅延が起こる原因として最もありえたのが、純正コントローラーを使用しての認証製アケコンという仕様である。それが懸念され、このEGOでも遅延は避けられないのでは、という意見が大勢を占めていたのであるが、これが何と驚くべき事に全く遅延が発生しないのである。もちろん、他のフラッグシップ機と比べての事だ。これは本当に驚いたのであるが、紛れもない事実である。発表から発売まで1年近くかかったのは、もしかしたらこれに関しての開発に時間を要したのかも知れないが、とにかくこれは本当に驚いた。常に最高のゲームモニターとアケコン環境を揃えている自分の事、これは絶対に本当である。

 

XboxOneXはもうしまってしまったので、XSXで試すしかなかったが、新たにUSBC仕様となったこのコントローラーでは反応しなかった。しかし、奥からOneXのコントローラーだけ引っ張り出して接続してみた所、見事成功。もちろん、遅延も皆無であり、斑鳩も雷電IVも何の違和感もなくプレイ出来る。もちろん、Wingmanコンバーターも使用可能であるし、それを使えば360も対応可能だ。

 

以上のような感じであるが、すでに相当数のアケコンを所有している自分であっても、使いたくなるような出来である事は間違いない。これまで全くアケコンを持っておらず、かつPS4とSwitchのユーザーであれば、買っても損はしないだろう。それどころか、十分お勧め出来る製品である。