風が股の間を吹き抜けていく。

実に爽快な気分だった。

素直に自分の気持ちを伝えることができた。


「チョメ吉さん。わたしも。わたしも愛してる!」

下から彼女の声。

最高だった。


僕は両手を高く青空にかかげた。



ぐい。



上げた腕を強くつかむ手。

見れば警察官だった。

「きみは、素っ裸で何をやっているのかね?」


僕は頭に血がのぼるのを感じた。

「僕は素っ裸なんじゃありません!」

「何を言ってるんだ!素っ裸じゃないか!」


「見てください!ちゃんと腕時計をしています。

 彼女の愛のこもったプレゼントなんです」


警察官は時計をマジマジと眺めて

下のチョメ子に。

「本当かね?」


彼女は無言でうなずく。


彼女と僕を見比べる。


「仕方がない。今回は大目に見ようじゃないか。

 しかし、以降。こんなことのないようにね」


警察官は去っていった。

地上に降りてきた僕に彼女は泣き笑いで

白いパンツを差し出してくれた。


白いパンツも彼女からのプレゼントだった。


そう。

このパンツをもらったのも

こんな暑い日だった…



(ああ、また先送りしてしまった

 と反省しつつ 第九夜につづく)