ダジャレ


というと中年男性が

一人だけ楽しそうに放つ一撃必殺の

殺し文句のような印象がある。


ダジャレは放った本人だけが楽しめるものなのだろうか?


否。


ダジャレの楽しみは、きっと聞く側にもあるはずだ。

今回のシリーズは、ダジャレのシチュエーションに

想いを馳せることで楽しみを探してみることにした。




「博士、履かせて」



シチュエーション;

大学の研究室。

男女二人の押し殺したような息遣い。

閉められたカーテンの隙間から時折もれる稲光。

雷光に照らされた室内には衣服が散乱している。

「雨ね」

と女の声。男は何もこたえない。

「全然気付かなかったわ」

女は窓に寄り、細い隙間から外を見る。

「そろそろ行かなきゃ」

「ああ」

ため息のような男の返事があって。

「ねえ… ねえ博士、履かせて」

雷電に青くうつる裸体。

男はいそいそと床の衣服をまさぐった。