友人と二人して台湾に行ったことがある。


往復分の飛行機のチケットだけ持って

宿もとらずに日本を出発した。


空港で出迎えてくれたのは

口の中が血まみれの愛想のいい男性だった。


「ドコ行クノ?台北?オッケー来イヨ」


とフランクに笑う男性。

この怪しさ満点の男性に何故かついて行く二人。

空港の外れの方へ向かって歩いていく男性。

やっぱりヤバい。

友人と顔を見合わせて、走って逃げた。


「オードコ行ク?台北コッチ」


と追いかけてくる男性。

空港の中に逃げ込むことで、

何とか男性を撒くことができた。


結局バスに乗って

目的地の台北に着いたのは

既に夕方だった。


ガイドブックを頼りに安宿探索が始まった。

地図を見てもほとんどわからない。

電話をかけてみるにも語学力が全然足りない。

(年をとった方には結構日本語が通じるけれども)


無計画に歩き回るうちに

日が暮れてしまった。


野宿を覚悟し始めたとき

友人が偶然、目的の安宿を見つけた。


細い階段が汚れた建物の上に伸びている。

薄暗くて先が見えない。


(第二夜につづく)