チャックをいつ開けるのか
それが問題だ。
小用を足しに行くとき。
トイレの入り口にさしかかった瞬間に
チャックを下ろしている自分に気がついた。
トイレの入り口でチャックを開けて。
開けたまま便器まで歩いていって。
そこで初めてぽろんちょする。
ちょっと待てよ…
チャックを開けるのは
便器の前についてからでいいじゃないか。
そう気づくことができたのは
入ったトイレの便器が
全部ふさがっていたときだった。
用を足している全員が
チラ見する視線を
全身で受け止めながら
僕はチャックを上げた。
これはフライングだ。
それ以来トイレに入るときには
油断しないようにしている。
油断すると
入り口でチャックを下げてしまうからだ。