僕の通っていた高校には

柔道の授業があった。

着せられている感じを

惜しげもなく見せつけながら

僕も柔道着を着ていた。


本当に似合わなかった。


そんな柔道の授業での一幕。


その日は、

足払いの練習だった。

二人一組になって、

両腕をがっぷり組みながら

横移動をして

足を払う。

払われた人は受身をする。

何度かの練習の後、小テストのような形で

足払いを披露することに。


僕と組んだ友人は屈強な柔道部員。


両腕をがっぷり組んで。

横に移動。





ハイ。


僕が放った足払いは空振りだった。


が、その瞬間。



バシーン!!



豪快な受身。

自ら吹っ飛んでくれた友人。


ザワつく柔道場内。

「今、当たってなかったよな?」

ボソっと誰かの声。



バレバレだった。



一部始終を見ていた体育の先生が一言。


「ステファン2号、ええ友達もったのう」



そのテストが合格だったのかどうか憶えていない。


ただ、その心意気に感謝しています。