ヒッグス粒子の発見の可能性が高まったと、欧州合同原子核研究所(CERN=セルン)の実験チームが13日に発表した。
世界の研究者が50年にわたって探し続けているヒッグス粒子は、
発見されれば素粒子物理の標準理論に必要な素粒子がすべて出そろい、理論が完成することになる。
 歴史的な快挙に注目が集まったが、データが足りず確実に発見したとはいえないという。
日本が参加するアトラス実験チームと、欧米中心のCMS実験チームが発表しており、データをグラフ化したところ
両チームともともほぼ同じ位置に、ヒッグス粒子を示す部分が見つかった。しかし、アトラスチームのデータが正しい確率は98・9%。
物理学上の発見は99・9999%以上が求められ、確定にはデータをためることが必要となる。
実験のペースを3倍にあげ、来年前半には結論が出るという。



 
 同粒子は宇宙誕生の100億分の1秒後に、すべての真空を満たすように宇宙全体に広がって「ヒッグスの海」をつくったと考えられている。それまでクォークやレプトンなどの素粒子は、重さがなく真空中を光速で飛んでいた。ヒッグスの海ができると水のような“抵抗”を受けて動きが鈍り、質量が生まれた。同粒子は今も空間を満たしているが、光子はヒッグスの抵抗を感じないため光速で飛べる。
 <素粒子物理学の標準理論> すべての現象の基本となる素粒子の反応を説明する理論。クォークを結び陽子や中性子をつくる「強い力」、磁石や静電気に働く「電磁気力」、粒子を変化させて核反応を起こす「弱い力」の三つの力を扱い、ほとんどすべての実験に合致する。一方で、素粒子の質量がなぜその値なのかを説明できず、重力も含まれないなど課題もある。

 <LHC> スイス、フランス両国にまたがる大型加速器。1周27キロの環状トンネルに2本の加速管が走る。双方の管で陽子を逆回りに加速して正面衝突させ、宇宙誕生直後の高温状態を生む。アトラス、CMSの二つの測定装置があり、衝突で生じる無数の粒子の中からヒッグス粒子を探す。