朝、バスの時間がぎりぎりで、走って向かった。
後もう少し、角を曲がればバス停が!
本の数メートルのところで、バスが行ってしまうのが見えた。
次のバス停は、比較的近い。
運良く、バスが信号待ちに入った。
必死で走り、バスを追いかける。
だけど、荷物は重いし、そもそも足がめちゃくちゃ遅い。
信号が変わり、バスが進む。
次のバス停はもう見えている。諦めずに走った。
それでも、五十メートル以上はある。
誰も下りない、誰も待っていなかったバス停に、乗降中の表示をつけたまま、バスは停まっている。
私が着くまで、待っていてくれた。
お礼を言って乗り込んだ。
そして、降りるときももう一度、お礼を言った。
赤いホタル
一時間五千円。
その金額で私は緩やかに束縛される。