気付かなくても良いことに
気付いてしまってからずっと
ざわざわと心が落ち着く暇がなく
ようやく呼吸ができるようになった頃に
気付いてしまった未来がひょっこりと
掌から月の石を持ち去っていった
静かの海に戻すのだそうだ
空には下弦の月が煌々と
ベッドに横になったまま見上げていると
少しずつ朝が近付いてくる
日中の月は陽の光に遮られ
その姿を隠してしまいがちだけれど
なくなったわけではなく そこにある
見えない もしくは 見えにくい だけ
見ていない だけなのだ と思う
探せば大抵は空の何処かにいて
新月であっても なくなってしまったわけではない
朝焼けに少しずつ その姿を薄くしていく月を眺めて
欠けて見えない影に より想いを馳せる
寺尾紗穂さんの『 風のように 』 を聴きながら