遠い遠い北の街
初めはずっと西の街
その人との出会いは本当に偶然だった
大海原にて
もう10年も前の話
紡ぎ出される言葉の世界は
不思議なほど静謐で
それでいてユーモアもあって
とても好きだった
渡米します と連絡が来て
その世界に触れることができなくなって
年単位で時間が過ぎて
たまたま連絡をしてみたら
3日前に帰国したところ
そんな再会
自分のあらゆる感覚が麻痺をして
悲しいことを悲しいとも
苦しいことを苦しいとも
判断はおろか認識もできなくなるほど
心が壊れてしまった時に
ひとつの物語を贈ってくれました
さりげない優しさで
崩れそうなまでの繊細さで
驚くほどの短い言葉で
綴られたその物語は
とろりと私を包み込み
銀糸を織り込んだ布で
温められたようでした
ポテトスープを好きな猫は
今でもポテトスープを好きなまま
その場所に居る
今の君に
この音楽を贈ります