何かを得るときには
何かを捨てなければいけない。
往々にしてそれは起こり選択を迫られる。
発病前に思い描いた青写真。
良くも悪くも満たされた時間。
発病して未来はおろか
現在を過ごすことすら苦痛になり
利かなくなった手から幸せが零れていった。
指の隙間から掬った水が零れ無くなるように。
後から後から水を注いで貰っても
水は無くなっていくばかりで
その手間も時間も水自体も
無駄にさせてしまっているようだった。
少しずつ取り戻してきた感覚は
掌に水を蓄えさせてくれた。
それができるようになったことが嬉しかった。
望まない病気を手に入れて
一番大切なものを失った。
神様は私に何を得させたいのだろう。