今から三年前、少女だったころ。

縛られることが嫌だった私は親の元から逃げ出して

都会の町に潜り込んだ。そこは歌舞伎町。

そのころはすべてが楽しく、自由な気分を味わっていたの。

まるで空を自由に飛べるようになった小鳥の様に…

(今思えば、餌のとり方も知らなかったのに。)

おもいっきり、毎日を楽しんだ。

目に映るものは全て新鮮で

夜、昼、朝なんて私には関係なかった。


これが自由だと喜んでいた、愚かな間違い。


人は時が来るまで気がつかないことがある

でもいつからか気がつき始めたの…

私は自分の選んだ道に迷ってしまったのだと。

前に進めなくなって暗闇の中をもがいていた日々もあった。


そんなころ私は彼と出会ったの。


少女だった私には彼が大人に見えていたが

初めは、気にも止めていなかった。


(そんな彼が私の今の大事な人になるなんて)


出会いは突然、時間もあっという間に過ぎて

いつからか私は彼なしの人生なんて考えられなくなっていたのね。


付き合って3ヶ月ごろ、体の異常を感じた


電車で帰る途中、私はめまいに襲われて

電車の中で倒れたのを覚えている。


その後、吐き気や、だるさ、微熱を感じて気がついた。


『生理が来てない。』




私は、不安に思いながらも友達のアドバイスで妊娠検査薬を

初めて買った。余分に2つも。


家のトイレで一人検査薬を使ってみた。


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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『えっ。』


見事な線がはっきりと写っていたのを

忘れない。 その瞬間、嬉しい気持ちと

不思議な気持ちになったのを覚えている。


『赤ちゃん…?』


(私の中に赤ちゃんが…?)


思わず、狭い狭いトイレの中で私は笑顔をこぼした。


でも高まる気持ちの反面、

暗い現実が少女の私を襲った。


『どうしよう…』


そのころ彼には私とすぐには結婚出来ない理由があったの。


私は17才。お金も家もない。家出少女。

よくあるパターン。


私は彼と同棲してたけど、ずっとここにはいられないと

思っていたから…


でも心の中で私の声はハッキリしていたわ。


『絶対に産む。なにがあっても守るから。』


病院にいって小さな、小さな心臓の動きと命の鼓動を

聞いて、私の決心はさらに強くなったの。


『ご両親には話をしてくださいね。』

先生は心配そうに言った。


私は病院を出ると迷わず彼に写真を見せたの。

彼は、ちょっと驚いたように『わぁ、もう大きいね。』って。


『うん。もう3ヶ月だって』 『すごい。』


そんな会話をしたのを覚えているよ。


それから私の人生観はかわったの。


生きる意味なんて分からない。


そんな日々から、私は生きる意味を少しづつ見つけたの。


妊娠、出産までは数え切れないほどの

たくさんの涙を流したの。

苦しいほどの孤独感や、逃げ出したくなるような現実も、

たくさんあった。それでも生きて来れたのは


『赤ちゃんがいたから。』


私の天使。


生きる意味だったの。



ギリギリ入籍して無事に出産して、

新しい生活が始まったころ


わたしはこれから歩みよってくるさまざまな

現実問題に気がつかないまま

なれない毎日を生きていた。

今思えば、まだまだ幼いなぁ…って

それでも幸せだったんだもん。

本当に。




そして、夫婦となった二人。

一緒になってからじゃないと気がつかない

さまざまな価値観、考え方、行動。


いつからかすれ違い、一緒に居ることさえ

苦痛になっていった日々もあった。


涙なしには語れない話もあったなぁ。




あれから一年後、2人目を妊娠。


2人目の妊娠にはすぐ気がついた。




1人目と変わらず私は産む事をきめていたわ。


反対する人もいたけど

私は、反対されてもやるほうだから


人の話は聞かない。




同じ様に、妊娠しても夫婦の間で

ケンカがあったり、すれ違ったり、泣いたり、傷つけあったり



いろんな事が嵐のように、雪吹雪のように

やってきたけど、赤ちゃんはすくすくと大きくなって


無事に私の元へやってきた。



一人目と同じように、赤ちゃんを抱いたとき

不思議な気持ちになる。


不死身のような感情。

この子のためならなんでも出来るって本気で思うの。


私の命よりも大切な大切な贈り物。







あれからまた半年、付き合ってから3年。



彼と私はいろんな事を乗り越えて

一緒に学んだせいかケンカもなくなって

あわないこともあるけど、愛情も一緒にいた

月日の分だけ強く硬くなった。



彼は、どんなことでもするの。

家族のためなら。

私を愛してくれたし、大事にしてくれた。





そんな彼と、





先月離れ離れになってしまいました。






心が引き裂かれるほど、苦しくて、辛くて、

怖くて、泣いてばかりの日々でした。




彼は、トラブルに巻き込まれて警察にいます。





しばらくは出てこれないので

私が2人の子供たちを育てています。





早く、一日も早く出てこれることだけを心から

祈ってます。




本当に人生は山あり谷あり。




やっと落ち着いたと思ったらこんなことに・・・ 



でも私は信じてます。  





谷の次には山しかないって。



私の前には幸せが待ってるって信じてるから


頑張れるの。



彼は今ごろ寂しく孤独な日々を送っているのかな…




それが辛い。



でも私たちは、生きていかなきゃいけない。



明日が待ってるから。




未来が待ってるから。




私は、ゆっくりと歩いてゆくの。






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