帰省してきた。久しぶりに長時間、車を運転する。片道7時間超はしんどいだろうと、少々尻込みしていたが、あっという間だった。ずっとオペラを聴いていた。行きも帰りも、トリスタンとイゾルデを聞き、次にラインの黄金を聞く。すると、ラインの黄金の最後20~30分が聞けないくらいでたどり着く。考えてみれば、一人っきりで、立て続けに7時間という時間をとれるのは長距離ドライブくらいしかない。さすがに、椅子に座ってテレビにかじりついても、7時間立て続けとなるとちょっと飽きてくるか、お酒で眠くなる。ドライブだと逃げ場がない。お酒も飲めない。おかげで、じっくりと音楽に聴き入ることができる。第1幕のギスギスした、とげとげしいイゾルデの声が、2幕では甘い、愛を語る、恋する女の声に変わってトリスタンにうなだれる。それが第3幕、幕切れでは、愛と哀しみが入り交じり、神々しさを帯びてきたところで息途切れる。ベームの指揮の下、ビルギット・ニルソンは見事にこの声の移り変わりを表現する。実にすばらしかった。妻はトリスタンなんか聞いてたら眠くならないの、といってたが、ずっと緊張感を持続したまま聞き入っていた。今度はクライバーかバーンスタインのトリスタンをお供にする、4時間の旅先を捜している。