心・技・体をどう見るか 

 

アスリートを分析するときによく使われるのが「心・技・体」というフレームワークです。

 

私はこれをさらに分けて考えています。

 

まずは「体」です。体には大きく三つの要素があります。

 

ひとつは体格、もうひとつは体力、そして最後に俊敏性。

 

中学校くらいまでは、この体格や体力、俊敏性があるかどうかで大きな差が出やすく、前に出ていけるかどうかもここで決まることが多いと思います。

 

しかし高校以上になると、そこに「技術」が加わってきます。

 

体力が土台にあり、そのうえで技術を積み上げていくと、競技レベルは一気に高まります。

 

技術はトレーニングや経験によって伸びていく部分なので、基礎体力があるほど吸収が早く、結果につながりやすいのです。

 

そして最終的に差を生むのは「心」です。

 

体力と技術がある程度拮抗してくると、勝敗を分けるのは精神面の強さになります。

 

オリンピックや世界大会のように頂点を争う場面では、どれだけプレッシャーに耐えられるか、どれだけ自分を信じ切れるかが結果を決定づけます。金・銀・銅の差は、まさに心の差だといえるでしょう。

 

ただ時に、3年に1人、5年に1人、あるいは大谷翔平選手のように100年に1人という「逸材」が現れます。圧倒的な体格、圧倒的な技術、そして圧倒的な心の力――すべてを備えた存在です。こうした選手は、もはや通常のフレームワークを超えていると言えます。

では親としてどう意識して子育てをすればいいのか。

 

大切なのは「逸材をつくろう」と思い過ぎないことです。

 

むしろ日常の中で子どもの好奇心を尊重し、やりたいことに挑戦できる環境を整えてあげること。

 

その積み重ねの先に、数年に1人、あるいは100年に1人の逸材が生まれるのだと思います。