(前回からの続き)


2.経済面のサポート(同「最低1歳になるまで」「直接世話をする」の保証に該当)

 従来の毎月の手当て以外に、子供が最低1歳になるまでは母親が働きに出ることなく家の中で直接子育てをすることができるだけの生活費を給付する。このサポートが無いと、子供は実の母親と関わる時間が減り、母親に対する愛着を形成しにくくなる。

 因みに、「最低限0歳の間だけでも保育手当を給付するべき」と主張する岡田尊司氏による計算方法に現在の数値を代入すると、年収103万円以内で働く場合の月収は8万5千円。そこから子供を保育所に預けるための保育料として4万2千円(認可保育園0歳児平均費用)を支払うとすると、手元に残るのは4万3千円。つまり、それだけの現金給付を受けることができれば、働きに出ることなく家でわが子を世話することができる。1年間の出生数である約81万人に毎月4万3千円を支給するとしても年間4180億円あれば足りる。これで少子化が改善されるとなれば安い出費だと思う。

 

3.子育て助言面のサポート(同「適切な育児方法によって」の保証に該当)

 どの家庭の子供も健全な大人に育てるために、妊婦さん家族が適切な育児環境や育児方法等について助言を受ける機会を公的に設定する。(例→拙案下記記事参照)…


この事業によれば情報伝達の機会は90分間の一度だけ。コストはプレゼン時に配布する別冊紙資料代のみ)。このサポートが無いと、たとえ満たされた環境の中で愛情深く育てているつもりでも、価値観の多様化や親世代からの誤った育児情報の伝達などのために、いつの間にか不安定型愛着スタイルの人間を育ててしまう(「状況性の母性喪失」)ことがある。

 昨今特に起こりがちなのが、親がスマホ等に気を取られて「子供を見る」「子供に微笑む」「子供の話を否定せずに聞く」等の支援行為が不足すること(パーソナルメディア機器の普及については、岡田尊司氏も「回避型」化の特に大きな要因として警鐘を鳴らしている)。すると、どんなに乳児期に安定した愛着を形成しても、後天性の性質が強い愛着は不安定状態に変わってしまう。因みに拙事業案では、どの親御さんでも実践に移しやすいように、上記の具体的な支援行為を「安心7支援」(下記記事3枚目のスライド参照 )…


として紹介し、意図的に子供に働きかけるよう伝えている。

 なお、拙事業案プレゼンでは、子供が「回避型」等の不安定型愛着スタイルを持つ大人にならないことに主眼を置いて伝えているが、直近の次世代を対象にしたアンケート調査(下記記事参照)…


によると、「将来子供を持ちたくない」とする理由として、経済的な問題よりも、「育てる自信が無いから」「子供が苦手だから」「自分の時間を制約されたくないから」という、正に他者(ここでは子供)との絆を避ける「回避型」愛着スタイルに由来する理由が上位に挙がっている。このように経済的支援が有効打にならないという状況下にあるだけに、不安定型愛着スタイルに陥らないことに主眼を置いた子育て法の共有は今後更に必須の課題になると考える。


 繰り返しになるが、正しい子育てによって健全な大人に育てれば、その効果は、少子化だけではなく、虐待やネグレクト、ひきこもり、いじめ、非行や犯罪と言った、不安定な人格に由来する様々な社会問題の予防にも表れる。

 しかも、妊婦さん家族に限らず今の子育て世帯全体に対して、正しい子育て法(特に母性と父性の適切な使い分け方)を拙案プレゼンテーション(第3,4章参照)によって周知することで、少子化等のような“次世代”における効果だけでなく、今現在ある、いじめ、家出、ひきこもり、犯罪等に関わっては、“現世代”において効果が期待できる。


 以上です。一か所でも参考になる点があれば幸いです。