以後、プレゼンでは、「安心7支援」(以下記事の2枚目のスライド参照)と


「見守り4支援」(以下記事の2枚目のスライド参照)

の各支援一つ一つについて、スライドを1枚ずつ使って補足していますが、ここではその中から主なものと、更にそのポイントだけを紹介します。



◯以下「安心7支援」について

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ある母親は、精神的に不安定になっていた小学2年生の我が子を膝の上に抱いていました。しかし、目だけはチラチラとテレビの画面を追っていたところ、その子はそのことを敏感に察して、「もうええ!」と怒って立ち去ってしまったそうです。たとえスキンシップをしていても、親がテレビやスマホ等に視線を奪われていれば、精神的に不安定になっている子供ほど敏感に見抜くのです
 

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1歳の子供に行ったある心理実験によると、机の上に子供の好きなおもちゃを置き、そばで母親が微笑んでいると子供は安心できるので、おもちゃを取りに来ましたが、母親が怖い顔をしていると一人も取りに来ませんでした。いかに子供が母親の表情によって左右されるかが分かります。
・母親が子供に微笑むことは、「私はあなたのことを良い子だと思っている」ということを子供に知らせ、自己肯定感を育みます。
 


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ある母親は、いつもゲームばかりやっている息子に、口が開けば「いつまでやっているの?!」「宿題は?」と小言ばかり言っていましたが、ある講演会で、“子供の話を否定せずに聞くことの大切さ”を知り、さっそくその日子供のゲームの話を我慢して最後まで聞いてみたそうです。すると、いつも反抗的だった子供が、「ねえ、ねえ」と自分からお母さんに寄って来て面白い動画を見せてくれました。そんな事はそれまで一度もなかったそうで、お母さんはとてもビックリされたそうです
子供の話を聞きながらその言葉を繰り返す「ミラーリング」技法によっても、子供との心の距離を縮めることができます。なぜなら、子供は親に自分の話を自分が話した通りに正しく受け止めてほしいと思っているからです。特に、子供の“感情”に関わる言葉(「うれしかった」「いやだった」等)は子供の心の内の現れですから、それらに対しては努めて共感する言葉を返したいものです。その際も、「うれしかった」には「嬉しかったね」、「いやだった」には「嫌だったね」とミラーリングによって返すだけでも、子供は「自分の気持ちを受け止めてもらった」と感じることができます。
 

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・親が何気なく使う「うるさい!」「はやくしなさい!」「何回同じことを言わせるの!」等、子供に対する親の否定的・支配的な言動は、家庭生活の中で最も子供を愛着不全に陥らせる可能性が高い行為です
・特に注意が必要なのは、語調が刺激的になりやすい指示注意。言い方としては「…しなさい」のような命令形ではなく、「…しようね」のような誘導形が語調自体も自ずと穏やかになるので好ましいです。この言い方を覚えておくだけで、子供への伝わり方が劇的に変わります。
 

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・親の価値基準で判断したり、他の子供と比べたりする等、本人の“”との関係で評価するのではなく、その子の”“にある良さや伸び(①その子らしさ②以前のその子と比べた伸び)を探して、それを褒めることが大切です。例えば、大人が、「80点以上でないと褒めるに値しない」等と思っていると、それ以下でありながらも伸びている子供を褒める機会を逃してしまいますし、兄弟や友達を評価の基準にして叱られると普通に叱られるよりも行動意欲が下がります。
 以下は「褒める」の応用編です。





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・以上の①〜⑦をまとめると、「安心7支援」の各支援は、「スキンシップ」は「あなたのことが大好きだよ」という親の気持ちを表し、「きちんと見る」は「あなたに関心があるよ」、「微笑む」「褒める」は「あなたのことをいい子だと思っているよ」等と、それぞれ親からの“自発的”且つ“肯定的”なメッセージを表しています。それらは、子供が何かできたら可愛がるという「条件付きの愛情」とは反対の「無条件の愛情」を子供に伝えると同時に、子供の「ありのままの存在」を認めるものです。このように日常的に「安心7支援」で接してあらゆる肯定的なメッセージを送ることは、言わば子供に対する「無条件の愛情”シャワー」なのです。親からそのように接してもらった子供は、「自分は親から良い子だと思われている」と実感し、自分を価値ある人間と自覚する自己肯定感を身に付けることができます。
非行や犯罪に手を染める人は、「どうせ自分なんか」という自暴自棄な感情に襲われがちですが、自己肯定感を持っている子供は、きっと自分を踏みとどまらせることができるに違いありません。
 

◯以下「見守り4支援」について。


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子供が熱中して取り組んでいる活動(遊びや趣味等に取り組んでいる時等)、子供が既に一人で活動できる課題(身支度や手伝い等に取り組んでいる時等)、それまで自分で出来なかったことをできるように努力している時も、子供の実態に合わせて任せてみましょう。特に反抗期は、本人の主体性に任せるよう意識しましょう。もちろん、怪我に繋がりそうなことは除く。




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子供からSOSを求めてきた時は、迷わずそれに応じます。アドバイスする時は、「しなさい」のような、上からの指示命令のような言い方ではなく、してみてはどう?」等のような、提案する言い方で穏やかに伝えると、本人の主体性や意欲が保たれます。躾に関わることで中断させた際にも、穏やかな口調で指導します。
・昨今いじめ被害を親に相談できないまま自ら命を断つ子供が増えていますが、その要因として、親からの「人の力をあてにしてはいけない」「自分の力で頑張りなさい」等のような過度な自立を求めるプレッシャーを挙げる専門家もいます。自力でやり通すことは大切なことですが、「SOSを求めれば親はいつでも優しく受け止めてくれる」 と子供が認識するようになれば、最悪の事態も防ぐことができるはずです。