【今回の記事】
《エイレン・N・アーロン著「人一倍敏感な子」(1万年堂出版)》
《明橋大二監修・太田知子著「うちの子はひといちばい敏感な子!」(1万年堂出版)》
【記事の概要】
今回はHSC (Highly Sensitive Child)の提唱者であるアーロン博士の著書を中心に、HSCの年齢別の配慮の仕方について紹介します。
今回は乳児期編です。
◯HSCかどうかの判断基準
敏感なHSCの子供の場合、普通の赤ちゃんよりもよく泣くことが多い。例えば、生後4ヶ月以上で一度に2時間以上泣いたり、1日に合計3時間以上泣く日が週に3日以上あったりする場合には注意する必要がある。
しかし、赤ちゃんが泣くかどうかは、HSCかどうかを判断するための最終的な根拠にはならない。なぜなら、親が子供のために環境を万全に整えていた場合に敏感な赤ちゃんも泣かずに済んだという例がたくさんあるから。むしろ、母親の様子をしっかり目で追う、何もない天井に注目する等、観察力や注意力の高さの方が有力。
他にも、顔を親から背ける(刺激を軽減しようとする行為)、怖い夢をよく見る、抱っこ(触感刺激)を嫌う等の特徴が挙げられる。これらのサインに気づかず、抱き上げたり食事をさせたり一緒に遊んだりして刺激を与え過ぎることがありがち。
◯敏感な赤ちゃんのための刺激の減らし方
赤ちゃんがHSCだと思われる場合、次のような方法で刺激を減らしてみる。刺激を減らすことによって90%は泣かなくなる。
・無理に喜ばせようとしたり、大きな声を出したりしないようにする。
・おもちゃ、携帯電話、ベビー用品等をベッドの周りから片付ける。
・眠っている間だけでなく、日中も音を減らす。
・子供が気に入りそうな生活パターンを見つける。
・できるだけ遠出を避ける。
・綿100%の柔らかい服を選ぶ。
・室温、食べ物、風呂の温度が子供に合うように気を配る。
・眠る時には部屋を暗く静かにする等、眠りに入る前の習慣を作って子供が眠りやすいようにする。
・視覚的な刺激を与えるよりも、抱っこやおんぶをして親が側にいることを子供に知らせ安心感を与える。
・できれば1日に何時間かは外に出て昼寝の時間をとる。
・親が興奮せずリラックスして過ごす。
◯泣き止まない時の配慮
一般的な要因(例→https://oshiete-dr.net/2018/05/01/post-381/)を確認しても泣き止まない場合には、抱っこしたり話しかけたりせず、親の手を体に添えてやることによって、手の重みで「親がここにいてくれる」と言う安心感が得られる。
因みに児童心理学者のソルターは自身の著書の中でこう述べている。「親が対処できる痛みや問題ではない時、赤ちゃんは無理に泣きやませようとしないほうがいい」泣くのは不快を表すサインであり、子供にとっては体や心の緊張を解放させる手段でもあるため、子供を見守り、好きなだけ泣かせておくことも必要。
◯生後6ヶ月から1歳の子育てのキーワード「愛着」「同調」
《愛着》
HSCは、大人との愛着で安心感を得ていれば、初めて刺激の強い状況でも、警戒心を見せるものの、非HSCに比べて特別大きなストレスを受けるわけではない。その一方愛着が不安定なHCの場合は、刺激の強い状況に怯えるだけでなく脅かされる。HSCは僅かな危険の匂いも感じとるため、まずは安全だと思えることが必要。安定した愛着が得られていないHSCは、世の中に出て新しい出来事に出会うたびに「自分は誰にも頼れない。多分上手くいかないだろう」と感じる。
《同調》
「同調」とは、親が「そうね。楽しいね」「そうだね。分かった、分かった」等と子供の気持ちを理解し共感し合うこと。そのことによって子供は「お母さんは今、自分のことを分かってくれている」と感じることができる。
【感想】
特に乳児の場合、多くの親御さんの頭を悩ませるのは睡眠だと思います。詳細なデータはありませんが、よく泣く子供の中にHSCタイプの子供がいる確率が高いことが予想されます。
しかしアーロン博士によれば、