【今回の記事】
「HSCを守りたい」斎藤暁子代表著(風鳴舎)より

【記事の概要】
 文科省が実施した調査(平成29年度)によると、不登校の小中学生は、過去最多の14万4000人となりました。

要因は複合的ですが、その背景には「教育機会確保法」(平成28年12月成立。2か月経過した日から施行)の施行があり、「不登校は問題行動ではない」という考え方が浸透してきたというポジティブな要因も考えられます。同法では、これまで学校復帰を前提としてきた不登校対策を転換させ、「休養の必要性」や「学校以外で学ぶことの重要性」を認めています。親子が罪悪感を抱くことなく「学校に行かない」選択をし、一人ひとりに合った学びを自由に選べる社会への第一歩となりました。

(以下は、学校に行かない場合の学びの機会や支援体制)

公共による支援(根拠となる法律「教育機会確保法」)
《教育面》
・教育支援センター(適応指導教室)
→不登校になった児童や生徒が学校へ戻れるようになるまでの支援機関として各自治体に配置。フリースクールと違う点は、学校へ戻ることを目的としている点。
・夜間中学
《相談面》
・スクールカウンセラー
・いじめ相談ダイヤル
・児童相談所

民間による支援
・フリースクール
→学校以外の居場所を提供する民間教育施設。教育機会確保法が施行されたことにより、今後卒業資格として認定される施設が増えてくると予想されているが、原則的には認定されない。検討する際には「認可」「無認可」を確認する必要有。
・オルタナティブスクール(例:サドベリースクール、シュタイナー教育、モンテッソーリ教育、イエナプラン教育、フレネ教育)
→ある特定の教育思想に基づく民間教育機関

自宅学習
・通信教材
・家庭教師
・インターネット学習(学習コンテンツ、オンライン家庭教師)

による支援のための勤務形態(親の支援が必要な場合)
《在宅ワーク関係》
・フリーランス
・クラウドソーシング
・ネット事業
・ネット販売
《雇用型の就労》
・在宅勤務
・主婦特化型求人への応募
《今の仕事を続けることが難しくなった時》
・退職前→介護休業の申請
・退職後→失業手当受給期間の延長

親同士のコミュニティー
・親の会
・オンラインコミュニティ

将来の見通し
《大学や短大等の受験資格を得るための機関》
・定時制高校
・通信制高校
・高等専修学校
・特例子高卒認定試験
《高校大学への進路を選ばない道》

【感想】
 以上、ここで紹介できるのは、項目のみとなります。更に詳しい内容を知りたい場合は、冒頭の文献、または、その項目をきっかけとしたご自身での情報収集となります。

 個人的には、平成29年(2月)から施行されている「教育機会確保法」によって「『不登校は問題行動ではない』という考え方が浸透してきている」という指摘が印象に残りました。私自身、退職する1年前のことでノーマークでした。

 なお、ご家族の方々からすれば、「このまま社会に復帰できなくなってしまうのではないか」というご心配もあると思いますが、何より大事なのは本人の健康(例〜「休むな」という家族からの批判の中で子どもが不安な毎日を長く過ごしていると「過興奮性」をきたし、特に心配な事がなくても不安感を抱き、何か経験する度にその感情がつきまとうようになったり(以上「ひといちばい敏感な子」(1万年堂出版)より)、脳の自律神経系がダメージを受け、ホルモン系や免疫系の異常をきたしたり(以上「HSCを守りたい」(風鳴舎)より)するようになる)であり、社会復帰はあくまでその延長線上にある、つまり、登校刺激を与えて苦しませている限り社会復帰は望めないという認識が大切です。加えて、子どもが健康な生活を送りながら、コミュニケーション能力(家族との人間関係)と生活リズム、それぞれを維持することが、社会復帰への一番の近道だと思います。

 何より、今回のような情報を知っていれば、親が「不登校になったら、この先どうなるか分からない」という不安に駆られ、子どもに“健康に反する無理”を強いることも少なくなると思います。