【今回の記事】
「うつ、ひきこもり、拒食症、パニック、暴力…子供の心の悩みと向き合う本」(KKベストセラーズ)森津純子著より

【記事の概要】
 心療内科医の森津純子氏が、うつ、ひきこもり、拒食症、パニック、暴言・暴力等の症状の子どもをお持ちの親御さんに対して、自分自身を見直すうえで大切だと指摘しているのが「子どもの良いところを7つ挙げ、毎朝必ず唱える」ことです。

 本著では、38歳の引きこもりの息子さんを抱えたお母さんが挙げてくださった例が紹介されています。
1. 性格が優しい 
2. 礼儀正しい 
3. 食器は流しまで下げてくれる 
4. 留守の時宅急便を受け取ってくれる 
5. 言葉が丁寧 
6. 昨日「ありがとう」と言えた 
7. 仕事を見つけようという気持ちを持っている

【感想】
 この息子さんは、現在仕事を見つけようと言う気持ちを持っているとのことです。立ち直りの可能性が十分あると言えるでしょう。その一方で、「8050問題」に陥っている、仕事を見つけようという気持ちもない深刻な引きこもりのご家庭もあります。この違いは何処から生まれるのでしょうか?

 私は、次の言葉に注目しました。
昨日『ありがとう』と言えた
引きこもっていない近所の知り合いと比較する等のように、子供以外のものと子供とを比較するのではなく、昨日までの子供と今の子供とを比較して伸びたところに注目できていることが分かります。前者の“子供以外のものと比べる”考え方は、その比較対象は、子どもの身内や知人に限らず、親の価値観と比べて善悪を判断する等、どの親御さんでもありがちなことです。この“子どもの中の伸び”に気がつくことが出来ている親御さんの子どもであるからこそ、仕事を見つけようという気持ちを持っているのだと思います。こういう親御さんを持っている引きこもりの子どもは、本当の意味での「愛情エネルギー」(下表)の充電ができていると言えるでしょう。

 子どものどこに目をつけて褒めるか?とても大切なことです。本ブログのダイジェスト記事「【褒め方】〜生活意欲を高めるために、“子どもの中の良さ”と“努力”と“人への貢献”を褒める〜」をご参照ください。

 因みに、引きこもりではない子どもをお持ちの親御さんは7つ言えるでしょうか?親が子どもの良さを知っているかどうかは、引きこもり云々に関係ない子育ての基本だと思います。なぜならば、もし我が子の良さが理解できていれば、きっとそれが普段の褒め言葉の中に自然と現れ、その繰り返しによって、初めて子どもの自己肯定感が育まれていくと思うからです。