【今回の記事】

【記事の概要】
   スピリチュアリストの江原啓之が、現代社会でさまざまな悩みに直面している人たちに温かい“ことば”を届けるTOKYO FMの番組「Dr.Recella presents 江原啓之 おと語り」。今回番組では、息子への接し方に悩む母親のメッセージを紹介し、江原が“ことば”を届けました。

◆“人を殺したい”息子の一言に呆然
「息子は現在、県内有数の進学校で大学受験に向けて日々頑張っています。しかし、最近成績が振るわず、今後どうするかを話し合いました。具体的には、携帯電話で動画ばかり観て勉強が手につかないので、携帯を親が管理するなどです。
  
すると、その話し合いの後、息子が去り際に「オレ、人を殺したいと思うんだけど、どうしたらいい?」とつぶやきました。思ってもみなかった言葉に私は呆然としました。今まで息子は誰かを傷つけたり、いじめたりしたことがありません。むしろいじめられることのほうが多く、心配してきました。毎日よく喋り、朗らかで優しい子だと思っていたのに。
   
この発言は私を困らせようとして言ったことなのか、勉強によるストレスからの一過性のことなのか。犯罪者のような欲求に駆られ、自分自身困惑した上でのSOSなのか……私が「どうして殺したいのか?」「死体が見たいのか?」「誰か憎い人がいるのか?」と追及してみても「わからない。ただ殺したい。僕は人の気持ちがわからないから。」と言うばかり。
   
夫に相談すると「カラオケか何かでストレス発散をさせてやろう。きっと勉強のストレスがたまっているのだから、お前はもう何も言うな」と。本当にこのまま様子を見ていていいのでしょうか。カウンセリングなど行かせたほうがいいのでは? もし人様にご迷惑をかけることになったら……と、非常に恐ろしく思います。私はただ見守るしかないのでしょうか」


◆江原からの“ことば”
「非常に深刻な話ですね。このメッセージを読んだかぎりだと、仕方がないなと思うのです。何故かというと、自分の心が殺されているから、人を殺したくなるんです。私がダメだなと思うのは、県内有数の進学校に行っていて、大学受験に向かって日々頑張っている。けれども、成績が振るわず身につかないと。それは、息子さんが本当にそれを望んでいないということだと思うんです。それなのに父親が「きっと勉強のストレスだからカラオケか何かでストレスを発散させてやろう”と。妻には“お前はもう何も言うな」と。そういう問題かな……?
   
県内有数の進学校に入学するということは、元々勉強のできるお子さんなのだと思います。でも、勉強ができたとしてもそれを本人が望んでいないのであれば仕方がない。犯罪などを犯してストレスを表したときに気づくよりも、なぜ今のうちから考えないのか……確かに世の中には「優秀な学校に行けば未来が安泰だ」という考え方もある。でもね、私はそんなことで人生は絶対に変わらないと思うんです。
   
私が今までしてきたカウンセリングの中で、一流大学を出て心を病んでおかしくなった人や、人生が狂った人をたくさん見てきた。それよりも大事なのは「人間力」。何回も学校に行ったり、落ちたり挫折しながら生き抜いている人は強い。お母さんが言っているようにカウンセリングとかに行くのもいいし、根本的に「道はひとつではない」ということを、父・母・子ども、皆で話し合って共有することだと思うんです。

 今、上っ面の部分だけ何とかしようとするのはもってのほか。私は「カラオケを歌えばストレスが発散できる」と言う人は嫌い。それって人の心をバカにし過ぎている。この言葉だけで、お父さんの姿勢が見えちゃう。それに「お前はもう何も言うな」と事実を見ようとせず、自分にとっていい妄想をしていたいと現実逃避にも取れる発言も。失礼だけど、これは子どもを愛していないのと一緒ですよ。お母さんがこうして番組にメールを送ってくれたというのは、息子のことを愛しているし、味方なんです。ちゃんとカウンセリングに行ったりしたほうがいいと思います。
   
携帯を管理したところで無理。いつも檻に入れているのと一緒だし、力づくではどうにもならない。どうして息子さんがそういう言葉を発するのか……息子さんが本当にしたいことは何なのか、どういう人生を歩みたいのか、親ならこの子の幸せを望むべきじゃないかな。人生っていろんな苦しみやつまずきがあるけれど、それを乗り越えていってほしい。私は思うんですけど、道に迷ったら絶対に突き進んではいけない。立ち止まってわかるところまで戻ることが大事。だけど多くの人は戻るのが面倒くさいから先に進もうとして、余計に時間がかかってしまう。実際に道に迷ったときと一緒で、わかる場所まで戻って、もう一度、地図を見ること。
「殺す」という言葉だけに過剰に反応するのではなくて「自分の心が殺されているよ…」というSOSなのだから、発しているうちはまだ見込みがあるんです。だから今、親の愛が試されているようなもの。親が子どもを愛するということは、成果主義ではないと思う。その子が思う人生を、責任主体でスクスクと生きていってくれたら、もうそれでよしと。人はいくら親子であっても、自分の人生は自分自身のことしか責任は負えない。だから、それを育むということではないかなと思う」


【感想】
  
子どものことを真剣に心配する母親、成績優秀な子ども。そんなごく普通の家庭に起きた子どもの異変。また、この息子さんは、たまたま親に「人を殺したい」と自分の気持ちを伝えることができましたが、世の中には、親にも伝えず周囲を驚かせる行動に出る子どもの方が圧倒的に多いような気がします。その意味でこの記事は他の家庭にとっても極めて要注意です。これまで扱ってきた記事の中で最も重い内容かもしれません。

  
さて、今回の江原さんの指摘の中で最も重要な意味を持っているのはこの言葉だと思います。
自分の心が殺されているから、人を殺したくなる

 ここで考えなければならないのは、以下の事柄だと思います。
①江原氏の言う「自分の心が殺されている」とはどういう状態なのか?
②なぜその状態に陥ったのか?
③その状態から抜け出させるためにはどうすればいいのか?

という事だと思います。

   次回はこれらの事についてお話ししたいと思います。(つづく)