【今回の記事】

【記事の概要】

  “臨機応変”、これこそが戦前の予想を良い意味で裏切る西野ジャパンのキーワードだ。選手同士がコミュニケーションを積極的に取って試合の状況に合わせて何をするかを決めていく。監督が全てを決めてそれを選手がやるのではなく、選手の意見を吸い上げながらチームの戦略に落とし込む。シセ監督の指示があって動くセネガルと、自分たちで決定権を持っている日本では、試合中の変化における修正スピードが明らかに違った。


【感想】

   その場その場で動き方を考えて“臨機応変”なプレーをした日本代表。これは、日本の選手達自らが「意思決定力」の訓練をしてきた成果だと思います。セネガルのように、指導者の指示で選手が動いているチームにはできないことです。

  “臨機応変”に動くための「意思決定力」を選手達が身につけようと思ったら、練習の時から、選手自身が「意思決定力」を身につけるための経験を積まなければなりません。下手に輝かしい実績のある指導者の下では、その指導者が指示の殆どを出してしまいがちで、選手達に任せる練習はできないことが多いと思います。特に、ワールドカップという「結果」を期待される大きな舞台になればなるほど、つい指導者が指示を出してしまいがちですが、そういう場であっても、選手達に任せて“意思決定”させてきた西野監督の大ファインプレーだと思います。


   因みに、この「意思決定力」は、子ども達を将来、自立した社会人を育てるための「キャリア教育」の中で大切にされている4つの能力のうちの一つです。

   子ども達にとっての監督でもある親御さんは、ややもすると、子どもに対して「あーしなさい」「こうしなさい」と指示を出して干渉しがちですが、親が“意思決定”していては、子どもに「意思決定力」は絶対に身に付きません。自立した子どもを育てるためのサポート法である「自立4支援」のように、活動を子どもに任せて親はそれを見守る姿勢をとって初めて子供達が「意思決定能力」等の能力を身に付けることができるのです。

   先の投稿でもお話ししましたが、子どもに“泳力”を身につけさせようと思った時に、どんなに優秀な指導者がプールサイドでアドバイスだけをしていては、いつまで経っても子ども達に変化は起きません。子ども自身が水に入って練習しないと身に付かないのと同じですね。


   ちなみに西野監督のもう一つの大ファインプレーは、監督の“お茶目”な一面がもたらす選手達との“距離感の近さ”だと言われています(本田選手も「人の意見を受け入れることに西野さんの強みがある」と発言している)。私は以前、以下のような記事を投稿していますが、過去に日大アメフト部を率いて選手達から「オヤジ」と慕われていた篠竹監督と西野監督に共通するのが、この“距離感の近さ”だと思っています。

日大アメフト部 篠竹元監督と内田前監督との違い 〜なぜ内田氏は選手達と心を繋げなかったのか?〜

監督と選手たちとの距離感が近いと、どんなことが起きるのでしょう。詳しくは上記記事をご参照ください。