【今回の記事】

【記事の概要】
   赤ちゃんはパパよりママなのか-。自民党の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行(54)が講演で、母親による育児が前提の子育て論を展開し、波紋を広げている。子育てに向き合うパパやママたちからは「育児をしたことがない人の意見」「女性も働けと言っているのはどこの政権?」と批判が噴出。識者からは「性差別に敏感な国では考えられない」との声も。

   札幌市の会社員宮越康平さん(31)は「娘からは『パパもママも好き』と言われる。萩生田氏には男性の子育てのイメージがないのではないか」と憤る。三歳とゼロ歳の娘の保育園送迎など育児は妻と分担。「女性だけが子育てするという考えは今の時代に合わない。子どもは保育園を楽しんでいるし、妻も仕事を持つことで充実した生活を送っている」と話す。
   東京都の男性会社員(32)は、昨夏の第二子誕生を機に育児休業取得中だ。第一子のときは妻に任せきりだったが、積極的に関わるようになって懐いてもらえるようになった。男性は「要は関わる時間や密度の問題。男性が女性に劣るとは思わない」と話す。
   講演で、萩生田氏はゼロ歳から保育園に預けることについても「赤の他人様に預けられることが本当に幸せなのか」と懐疑的な考えを語った。これに対し「保育園を考える親の会」代表の普光院(ふこういん)亜紀さん(61)は「子育ての悩みを相談できる保育園は、保護者の精神的な支えになっている」と強調。母親の孤立による産後うつや、児童虐待防止など、保育園の果たす重要な役割を挙げる。

【感想】
「女性だけが子育てするという考えは今の時代に合わない。」
「要は関わる時間や密度の問題。男性が女性に劣るとは思わない」
「子育ての悩みを相談できる保育園は、保護者の精神的な支えになっている」
との指摘。
   確かに、現実にイクメンに取り組んでいるお父さん方や保育園運営に当たっている方々からすれば、「0~3歳児の赤ちゃんに『パパとママ、どっちが好きか』と聞けば『ママがいい』に決まっている。」「『男も育児だ』とか言っても、子どもにとっては迷惑な話かもしれない」「生後3~4カ月で、“赤の他人”様に預けられることが本当に幸せなのだろうか」という表現の萩生田氏の指摘は、自分達の努力を無視されたように感じるのだと思います。選んだ言葉が適切ではなかった、その点は否めません。
   しかし、今この点について議論しておく事は、今後の日本の為に重要だと考え、今回敢えてこの記事を取り上げました。

  それにしても、「女性だけが子育てするという考えは今の時代に合わない。」という声が上がるようになったのは本当に素晴らしい変化だと思います。ただ、子育ては“育児”だけではありません。例えば、“育児”と“家事”と全て一人でこなし追い詰められている「ワンオペお母さん」がいるという現実があります。それならば、“家事”を手伝うことも子育てにとって重要な仕事なはずです。きっと健康的な子育てができるはずです。また、「男性が女性に劣るとは思わない」という指摘も全くその通りです。ただ重要なことは、単なる“優劣”ではなく、それぞれの“性”にはそれぞれの異なる良さがあるということです。それは子育てにおいても同じです。父親には父親にこそふさわしい子育てがあり、母親には母親にこそふさわしい子育てがあるです。
   更に、「子育ての悩みを相談できる保育園は、保護者の精神的な支えになっている」という指摘もその通りです。親であれば、誰にとっても子育ては人生に一度のことですから、誰かに相談できる環境はいつの時代にも必要です。ただ、一番の主役である当の赤ちゃんにとってはどうでしょうか?「子供への対応が微妙に異なる複数の大人に面倒を見られる赤ちゃんは、実は戸惑い不安に駆られている」という、わが国の「愛着」研究の第一人者である精神科医の岡田氏の指摘は、私にとって、正に“目から鱗が落ちる”思いがしました。
   そんな岡田氏の数々の指摘を元に、萩生田氏の指摘の真意について、先日ブログ記事で紹介させていただいています。まだご覧になっていない方はご参照ください。