次に、「施設に預けられている子どもの養育者の交代」についてです。
   保育園児は、日中は複数の保育士によって養育されています。子どもからすると自分の保護に関して責任を持っている人が「ただ一人の特別の人」というわけにはいきません。子どもが何らかのシグナルを発しても、保育士によって対応の仕方が違っていたということになれば、子どもは「自分がこうすればこのような反応があるだろう」という予測をすることが難しくなります。予測が難しいということは、特に愛着形成の臨界期(1歳半)前の子どもであれば、大人が考える以上の戸惑い不安感を感じることになるでしょう。これは、愛着形成にとって大切な「愛着の選択性」を妨げる環境と言えるでしょう。
   また、保育施設では、何人もの子どもが預けられているので、子どもに何か困ったことが起きて泣いている時に、保育士が他の赤ちゃんの世話に追われて、その子の世話をできないということも起こります。
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特に無力な赤ん坊にとっては不安感がつのり不快な環境として意識づけられてしまうかもしれません。それでその環境に入りたくないという気持ちから、母親と離れることに抵抗を示すということも考えられます。

   しかし、現実には保育所に預けなければ生活は成り立ちません。重要なことは、以上のリスクがあることを親御さんが自覚したうえで、前回の「愛着を形成する時期における親の不在」と同様、家庭で子どもと一緒にいる時間を大切にすることです。その中で、たとえ5分間でも毎日「子供を“見て微笑み”ながらの“抱っこ”」を行う(「愛着7」の実施)ことで質の高い養育を行い、子どもが保育所で抱えたストレスを出来るだけ軽減させることが必要となるでしょう。