◯子どもから憎まれ続けた母親
   あるテレビ番組での事です。芸能人の親子関係について特集する内容でした。その番組の中で、ある女性の芸能人の方が涙を流しながらこう言いました。
「私は、我が子に何一つ不自由させる事なく育ててきましたし、あの子が楽をできるように一生懸命働いてきました。それでもあの子は、私に対する敵愾(てきがい)心を捨てる事は決してありませんでした。」と。
   この方はかなりのベテラン大物芸能人で、おそらく経済的にかなり恵まれていた方だったようで、子どもさんが望むものは何でも買い与えていたようでした。しかし、その母親がしたことはそれだけでした。金品しか与えてもらえなかったその子どもさんは、大人になった今でも、自分の母親を憎み続けて生活してきていたそうです。
   つまり、贅沢な暮らし、何不自由のない楽な生活をさせる事が「愛情」ではなかったのです。その子どもさんは、その事を母親に対して訴えていたのではないでしょうか。
   それでは、子供が心から母親を慕うようになる親の「愛情」とは、一体どんなもののことを言うのでしょう。

◯愛情とは、母と子を結ぶ愛の絆「愛着」を形成すること
   さて、皆さんは「愛着」という言葉をご存知でしょうか?「愛着」とは、J.ボウルビィという児童精神科医が提唱し始めた考え方で、一言で言えば、子どもと親(特に母親)との間に結ばれる「愛の絆」のことです。
   母親と「愛着(愛の絆)」で結ばれた子供は、母親を慕い信頼を寄せるとともに、母親を自分のストレスを癒す「安全基地」と認識するようになると言われています。そのように考えると、“子供に愛情を注ぐ”ということは、子供との間に「愛着(愛の絆)」を形成することと解釈することができます。
   では、具体的にどのようにすれば子供との間に「愛着(愛の絆)」を形成することができるのでしょうか?別項愛着形成 及び 愛着形成のやり直しの方法『愛着7』で紹介しています。