【今回の記事】

【記事の概要】
“パブロフの犬”状態

   子どもが友達を突飛ばしました。ママが怖い顔で「“ごめんね”して!」と怒鳴って機械的に謝る子ども。“条件反射する犬=パブロフ”の犬のようです。

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   子ども自身が「いけないことしたな」「お友達にやり過ぎちゃったな」とまだ思っていないうちから命令されると親の言葉を“オウム返し”、“意味のない謝罪をするようになります。そんな時は子どもの目線にしゃがんで、「玩具を欲しいからってお友達をいきなり突き飛ばすことはいけないことだよ。」と、それをしてはならない理由をまずきちんと説明しましょう。更に「お友達の玩具が欲しい時は「『貸して』とお口で言おうね」とどうすれば良かったのか具体的に示しましょう。そして謝らせましょう。もし、また次回同じような場面で友達を突き飛ばそうとする気配察知したら、子どもの腕をサッと掴んでこんな風に言ってみましょう。「玩具を貸してほしい時はどうするんだった?」そして、子供が自ら気が付いて、突き飛ばす代わりに言葉で言えたら「お口で言うことができて偉かったね」と言葉で言えたことを褒めてやりましょう

時にはママの誤解もある

●例えば“兄弟喧嘩”

   どんな状況でも悪いことをしたらまず素直に謝らせたいですよね。

でも、もし“自分は全く悪くない”と思っていいたら?そこで、子どもの気持を理解しないまま謝らせるのはどうでしょう。

   例えば弟が泣いています。ママは「きっとお兄ちゃんが意地悪したに違いない」と決めつけ、現場を見ていないのについこう言ってしまうことがあります。「お兄ちゃんなのにどうして弟を泣かすの!なぜ、もっと優しく出来ないの!謝りなさい!」ここで「ごめんなさい」と無理やり言わされたら、上の子はとても悔しく理不尽な思いをします。その後、兄弟仲良くするどころか肩を持ってもらえる弟を憎らしく思い、親の見ていない時間や場所で下の子を苛めるかもしれません。

明らかに「自分の子どもが悪い」場合

   一度、(誤解を生まないように)子どもの言い分を聞きましょう。そして最後に「どうしたらよかったのかな?」と一緒に考えるのです。自分のとってしまった行動をきちんと理解させた上で、言葉にして心から謝らせることが大切です。素直に「ごめんなさい」が言えることはとても良いことです。でも、悪くもないのに謝らせたり、気持ちの入っていない謝罪をさせたりしていると「謝ればよい、ごめんといえば済む」という悪い習慣が付いてしまいます。   

   挨拶は「したい、したくない」関係なく相手から挨拶されなくても自分から「おはようございます」「こんにちは」と習慣化することが大切です。人から何かしてもらった時に「ありがとう」と言わせるしつけも大切です。でも、謝罪はむやみにさせない方がいいこともあります。



【感想】
   今回の記事の中の要点を上げると次のようなものになると思います。
子供が心から反省してから謝らせる。
子供がとった行動がなぜ良くなかったかを気づかせる。
自分の欲求をすぐに行動に表す前に、言葉に表して伝えるソーシャルスキルを身につけさせる
親の先入観で叱ってしまわないようにするために、まず子供の言い分を聞く。

   これらのことに気をつけた上で、改めてどのような流れで子供に働きかければ良いのかを考えてみたいと思います。

①決めつけた指導をしないようにするために、子供の気持ちや言い分を聞く
②子供の心を素直に反省に導くようにするために、子供の言い分を受け止める。(子供は自分の気持ちを分かってくれない大人には心を開かないもの)
意味のある謝罪にするために、自分がしたことや、今の友達の気持ちを考えさせながら、子供がとった行動がなぜ良くなかったかを気づかせる
④今回の失敗をこれからの生活に活かすようにするために、どんな行動とっていればよかったのかを考えさせる
⑤大人からの強制ではなく自分なりの言葉で謝ることが出来るように、友達になんと言えばいいかを考えさせる
友達に謝らせる。(大人はその様子をそばで見守っている)
素直に謝ることができたことを褒める

   次に、これらの流れを具体的な言葉に直して考えてみましょう。
子供の気持ちや言い分を聞く。
(穏やかな言い方で)どうして〇〇ちゃんを突き飛ばしちゃったのかな?
②子供の言い分を受け止める。
そうか、あなたは〇〇ちゃんのおもちゃが欲しかったのね。
③自分がしたことや、友達が今どんな気持ちになっているかを考えさせながら、子供がとった行動がなぜ良くなかったかを気づかせる。
でもあなたは〇〇ちゃんを突き飛ばしてしまったんだね。
突き飛ばされた〇〇ちゃんは今どんな気持ちかな?
(子「悲しい気持ちだと思う。」)
④どんな行動とっていればよかったのかを考えさせる。
お友達のおもちゃが欲しくなった時、どうしていればよかったのかな?
(子「〇〇ちゃんに『おもちゃ貸してくれる?』って聞けばよかった。」)
友達になんと言えばいいかを考えさせる。
〇〇ちゃんに何と言って謝ればいいかな?
(子「突き飛ばしちゃってごめんなさい。これからは『おもちゃ貸してくれる?』って聞くからね。」)
友達に謝らせる。
〇〇ちゃんに謝れるかな?お母さん見ているからね。
素直に謝ることができたことを褒める。
きちんと謝ることができて偉かったね。

   なお、これらの中で1番大切なのは冒頭の①と②です。これが出来れば、指導はほぼ成功したようなものです。子供は自分の想いを受け止めてくれた大人にだけその話に素直に耳を傾け、心からの反省ができるのですから。