【今回の記事】

【記事の概要】
   大相撲の横綱、日馬富士が平幕の貴ノ岩を暴行した問題で角界が揺れている。
 精神科医で、『オレ様化する人たち――あなたの隣の傲慢症候群』(朝日新聞出版刊)の著者である片田珠美さんが、日馬富士暴行事件の裏に見え隠れする、相撲界の体質について分析した。 

アルコールの影響による「脱抑制」
(上記「今回の記事」参照)
「間欠爆発症」の可能性
(上記「今回の記事」参照)
横綱としての特権意識
   その背景に、横綱としての特権意識があるようにも見える。「自分は横綱で特別な人間だから、少々のことは許される」「普通の人に適用される規則は、自分には適用されない」などと思い込んで暴走したのではないか。
 強い特権意識ゆえに、殴られた相手痛み怒り想像できず、制御不能になってしまった可能性もある。いずれにせよ、横綱という特権的な立場ゆえの傲慢さが、強い特権意識と想像力の欠如の最大の原因なのだろう。
 もっとも、これは日馬富士1人の資質に帰すべき問題ではない。というのも、番付がすべての角界において、最高位の横綱が少々暴走しても許容する“空気”が漂っているように見えるからだ。

【感想】
   さて、記事中の精神科医の片田氏が指摘した「『自分は横綱で特別な人間だから、少々のことは許される』『普通の人に適用される規則は、自分には適用されない』などと思い込んで暴走したのではないか。」という横綱としての“特権意識”。片田氏は「強い“特権意識”ゆえに、殴られた相手痛み怒り想像できず、制御不能になってしまった可能性」を指摘しています(一昨日の白鵬の取組後の「無言の抗議」も横綱の特権意識の現れでしょうか?)。

   私が今回の記事を読んで最も関心を寄せているのは、特権意識”を持った人間は私たちの周りにもいるのではないか?と言うことです。もしもそうであれば、「相手の痛みや怒りを想像できず、制御不能になってしまう」人間によって、私達の生活の安全脅かされる危険性もあるのです。
   最も当てはまるのは、家族内のDV(ドメスティックバイオレンス)、つまり配偶者同居しているパートナーから受ける暴力行為(言葉の暴力や物の破壊を含む)でしょう。何故なら、この行為こそ「相手の痛みや怒りを想像できず、制御不能になってしまう」ものだからです。
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   何故このような特権意識”を持った人間が生まれるのでしょうか?現時点ではっきりしている事は、家族の中の「序列化」です。横綱は沢山いる力士の中でも最も強い存在であるが故に「横綱は絶対」という意識を持たれます。同じ様に、家庭という閉ざされた世界の中で、複数いる家族構成員の中で最も強い権威を持つ人間が“特権意識”を持つのです。

   私が担任した子供の中で、父親に対する態度非常に悪かった男の子がいました。休日、学校外のコンビニで偶然聞いたその言葉遣いは父親を父親とも思わないもの(「何やってんだよ!それじゃないって言っただろうが!」)で、明らかに「父親は自分より下だ」と思っていたようでした。
   また、私は以前次のような記事を投稿しました。
この記事の中では次のような内容を紹介しました。
「とあるテレビ番組に家族で出演した蓮舫一家。長女は、アナウンサーから“家庭内序列”を問われ、蓮舫氏の地位がズバ抜けて高いと言った。蓮舫氏は夫の“髪の毛”が後退していることについて、『そのうちフェイドアウトするんじゃないですかね。いなくなる』などと発言した。父親自身も『正直なところ最下位ではないか。植物以下だ』と認めた。」
蓮舫氏は公共の電波を通して堂々と父親を卑下する発言をしましたのです。これが“家庭”となると推して知るべしです。
   このように、“家族の中の序列化”という症状は、ある一人の人間(多くは親のどちらか)が他の家族を尊重することなく、皆が見ている前でその人間の悪口を言う事で生まれます。子供がいる場合は、自分にとって都合のいい大人側につくことで、家族内の不均衡に拍車がかかります。子供の前であっても母親が父親の悪口を言っていると、父親は子供達の信頼感失い家族の序列化の中の最下位に位置してしまうのです。
   先の男児の場合も、おそらくその子の母親に原因があると思われました。
   しかし、このように母親が序列のトップにいる場合はDVはあまり生まれません。なぜなら、母親には、子供を受容する「母性」が備わっているからです。母親にとって他人である父親には散々悪口雑言を吐いても、自分がお腹を痛めて産んだ子供達にはそれ程言わないのはその為です。
   DVが顕著に生まれるのは、父親序列化のトップに立った場合です。つまり、父親が家族の見ている前で、他の家族の“悪口雑言”を吐いていると、父親が家族の中の序列化のトップに位置し、そこに「特権意識」が生まれるのです。

   また、ニュースでの報道を見ても、家族内のDVは父親によるものが圧倒的に多いです。なぜでしょう?
   実は、「男性は、先天的女性よりもキレやすい特質を持っている」と言われています。人間の脳には、抱っこなどのスキンシップによって相手を思いやる」「優しい気持ちになる」などの働きを持つ「オキシトシンホルモン(別名「幸せホルモン」)」が分泌されるのですが、特に男の子に分泌される「男性ホルモン」と「バソプレシンホルモン「攻撃ホルモン」)」が「オキシトシンホルモン」の働きを鈍らせてしまうのだそうです(詳細は「本来キレやすい男の子をキレない子に育てる! 〜1才6カ月までにするべきこと〜」を参照)。
   しかし、世の中の男性が皆キレやすい傾向持っているかというとそうではありません。どうすれば男の子をキレにくい人間に育てることができるのでしょうか。そのことについても上記の投稿記事の中でふれています。実は、「オキシトシンホルモン」の働きを鈍らせてしまう「男性ホルモン」と「バソプレシンホルモン「攻撃ホルモン」)」を減らす方法はありません。そこで、「オキシトシンホルモン」の分泌量が決まると言われている1歳半までの間に、沢山の愛情行為(例「愛着7」)によって「オキシトシンホルモン」の量そのものを増やすのだそうです(詳細は上記記事を参照)。つまり、本来切れやすい男の子でも、1歳半までの間に沢山の愛情行為を行い「愛着(愛の絆)」を形成することで「オキシトシンホルモン」が増加し、キレない成人男性に成長させることができるのです。
   乳幼児期の「愛着」形成は、将来のDV家庭を減らす事にも繋がるのです。正に愛着は「第二の遺伝子」ですね。